文化祭、最も重要な事項は?【4年3組学級経営物語16】

11月①「豊かな学び」にレッツ・トライだ!
文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ
4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。「豊かな学び」には、学習環境の豊かさ、高い知的好奇心が必要。それを実現できる「指導力」を、教師は絶えず磨かねばならない。お化けを通して地域を学ぼう……今月は、「主体的な学びの場づくり」にレッツ・トライだ!
目次
<登場人物>

主人公。教職1年目。教師になる熱意に燃えて、西華小学校に赴任。 やる気とパワーは人一倍あるものの、時には突っ走り過ぎるのが玉にキズ。しばしば飛び出す口癖から「トライだ先生」と 呼ばれるようになる。4年3組担任。

教職20 年の経験豊富な学年主任。4年1組担任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。

教職3年目。4年2組担任。新採のトライだ先生を励ましつつも一 歩リード。きまじめな性格で、ドライな印象を与えてしまうことも。音楽好きでピアノが得意。
西華祭の出し物

「また悩んでるの?」
昼休みの職員室、葵ゆめ先生は、考え込む渡来勉先生に声をかけました。
「学級の出し物が決まらないんです。もうすぐ西華祭なのに…」
各学級が本格的に準備を開始する中で、まだ話合いが続く3組。
焦る渡来先生に、特活主任1年目で張り切る葵先生が助言。
「絶対無理だわ、お化け屋敷は。昨年から禁止になったし…。その提案者は大河内先生なのよ」
返す言葉がありません。
脳裏に浮かぶのは、カズたちの熱気溢れる表情。
「絶対やりたい!」
「前はできたのになぁ…」
「ヤル気なくなるよな」… *ポイント1
『お化け屋敷をやりたいんだよな。みんな…』
困った時には、いつも頼ってきた大河内巌先生。しかし、今度ばかりは最も相談しにくい相手です。
渡来先生は、大きな溜息をつきました。
これからの子どもたちに求められるのは、一人ひとりがインプットした知識や技能を、人と関わりながら自分が生活する場にある問題や課題を解決するためにアウトプットすることができる資質や能力です。知識の「暗記・再生型」の学習形態から、子どもたちが話し合いながら主体的に学び合う学習スタイルへの転換が求められます。そのためには、みんなで問題の解を考え、共に学び合うことができる学級集団づくりが不可欠になります。