小6社会「世界に歩み出した日本」指導アイデア

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執筆/東京都公立小学校主幹教諭・向井隆一郎
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登

目標

我が国の、世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などに着目して、大日本帝国憲法の発布、日清・日露の戦争、条約改正、科学の発展などについて、写真や絵画、地図や年表などの資料で調べてまとめ、明治政府の意図や世の中の様子の変化を考え、表現することを通して、我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことを理解できるようにする。

学習の流れ (7時間扱い)

問題をつくる(2時間)

○ ノルマントン号事件について調べ、船長が軽い罪になった理由を考え、学習問題を立てる。

<学習問題>
日本はどのようにして、条約改正を実現したのだろう。

○ 年表から学習問題の予想をし、学習計画を立てる。

追究する(4時間)

○ 大日本帝国憲法の発布や国会開設について調べる。
○ 日清・日露戦争について調べる。
○ 条約改正について調べる。
○ 産業の発展や日本人の国際社会での活躍について調べる。

まとめる(1時間)

○ 条約改正に成功した理由について話し合い、学習問題に対する自分の考えをまとめる。

導入の工夫

ノルマントン号事件を調べ、船長が軽い罪になった理由から条約改正を願う人々の思いを考え、条約が改正されるまでの年表と関係づけることで、学習の見通しをもてるようにします。

1時間目:ノルマントン号事件とは、どのような事件だったのだろう。

ノルマントン号事件のイラスト

この絵には、どんなことが描かれていますか?

海で溺れている人がいるよ。どこの国の人だろう?

ボートに乗っている人は助けようとしていないみたい。

イギリスの貨物船ノルマントン号が沈没しました。イギリス人船長や乗組員は全員助かりましたが、日本人乗客は全員亡くなりました。日本人を助けなかった船長は裁判の結果、軽い罰を与えられただけでした。

どうしてそんなことになったのだろう。

日米修好通商条約に領事裁判権を認めるとあったよ。

不平等な条約があったから、船長が軽い罪で済んだなんてひどいな。明治の人も不満に思ったから、条約改正を求めるようになったのではないかな。

※教科書や資料集などの年表から、条約が改正されたことを確認し、学習問題につなげます。

2時間目:条約が改正されるまでの年表から学習問題の予想をし、学習計画を立てよう。

年表から条約が改正された要因を予想します。

国会を開設したり、憲法を発布したりして、国をまとめたのではないかな。

2度の戦争があるね。戦争の結果が影響しているのではないだろうか。

条約改正に活躍した人がいるぞ。この人たちの働きがあったからかな。

製鉄所ができた。産業が発展したからじゃないかな。

問題をつくる(1、2/7時間)

ノルマントン号事件について調べ、船長が軽い罪になった理由を考え、学習問題を立てます。

学習問題
日本はどのようにして、条約改正を実現したのだろう。

まとめる(7/7時間)

条約改正に成功した理由について話し合い、学習問題に対する自分の考えをまとめます。

関連づけて考える工夫

学習してきたことを関連づけて考え、話し合うことを通して、国際的地位の向上について理解を深め、学習問題に対する考えをまとめられるようにします。

7時間目:条約改正はどのような理由で実現できたといえるだろう。

ノルマントン号事件から関税自主権回復までの年表

どのような理由で条約改正ができたのでしょう。調べたことをもとに考えましょう。

ぼくは、憲法発布と国会開設によって、日本が外国と同じような近代的な国に変わっていったからだと思います。

私は、戦争で得た賠償金などを使って、製鉄所をつくるなどして、産業を発展させたからだと思います。

私は、日清・日露の戦争に勝ち、講和条約を結ぶことで、外国の日本に対する評価が高まったからだと思います。

ぼくは、野口英世や北里柴三郎などが、感染症の研究などで世界に認められ、注目されたからだと思います。

つまり、明治から大正の人々は、憲法をつくり、国の仕組みを整え、産業や科学技術を発展させ、日本の国力を充実させた。戦争にも勝ち、世界で活躍する人がでたことで、国際社会で認められるようになったから、条約が改正できたのですね。

児童が学習したことをもとに、関連づけて話し合うことができるようにします。調べたことを年表や関係図にまとめることで、関連づけて考えやすくなります。追究の段階から年表や関係図に少しずつまとめていくのもよいと思います。

単元づくりのポイント

本単元では、明治から大正期にかけて、我が国の国力が充実し、国際的地位が向上したことを理解できるようにすることが目標になります。そのために、不平等条約改正に向けた当時の人々の努力を取り上げています。

伊藤博文が中心となった憲法制定から始まり、陸奥宗光や小村寿太郎の外交努力による条約改正までの事象を調べ、これらの事象を関連づけて明治政府の意図や世の中の様子を考える学習を通して、目標の達成ができるような単元構成にすることが大切です。


イラスト/横井智美、栗原清

『教育技術 小五小六』2020年11月号より

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