小4算数の授業づくり「2桁のわり算」編【動画】

連載
髙橋朋彦の「トモチャンネル」

千葉県公立小学校教諭

髙橋朋彦

【トモ先生の算数チャンネル】第13回

小学校の算数の授業づくりをお手伝いする『トモ先生の算数チャンネル』。今回は、4年生のわり算「2けた÷2けた」編です。単元後半の難しい問題や筆算に発展させていく前に大事な「見当づけ」とは? トモ先生こと髙橋朋彦先生が、学習指導要領に基づいた授業のポイントを解説します。

このシリーズでは、小学校高学年の算数を専門とする髙橋朋彦先生が、小ネタや道具に頼らずに、基本を大切にした質の高い授業づくりができるアイデアをお届けしていきます。

Step 1: およその数「(何十)÷(何十)」で既習の計算と結びつける

今回は、4年生の「2けた÷2けた」のわり算です。

学習指導要領にはこのように書かれています。

計算の仕方を考えること
(中略)
96÷24の計算についても、90÷20とみたり100÷20とみたりすることで、商の見当を立てるなど、既習の計算を用いることができる。

小学校学習指導要領解説 算数編(H29年7月告示)より

2桁のわり算の導入は、だいたいの数字を使った「(何十)÷(何十)」が取り入れられています。

それはなぜかというと、例えば90÷30の場合、90は10の集まりが9つだから、9÷3=3、答えは30の集まりが3つ、と既習の計算を用いて考えることができるからです。

「90を30ずつに分けると、10の集まりを3つずつ囲んだものが3つ分になりますね」と学習を進めていきます。

このように、90÷30の90を「10のまとまりが9つ」と捉えると、9÷3と同じように計算できるということを理解させるのが最初の大事なポイントです。

9÷3と同じように計算できる!ということがまずは大事と捉えさせる

Step 2:「だいたいいくつ?」で『見当づけ』をする

その上で、96÷32のような(何十何)÷(何十何)を解いていきます。

今度は(何十何)÷(何十何)

これはどうやって解くのだろう?と思いますよね。

その時に出てくるのが『見当づけ』です。

私は、「だいたいいくつになりそう?」という言葉を使っています。

「だいたいいくつになりそう?」という言葉を使わせている

具体的な授業の進め方

まず、
「93÷32は、だいたいいくつになるだろう?」
という問いかけから始めます。すると、

「96は『だいたい90』、32は『だいたい30』と考えられそうだね!」

⋯なるほど!!

となります。

「90÷30だから、答えはだいたいいくつだろう?」

「3!」

「そうか、では96を32ずつ囲んで本当に3になるか確認してみよう」

そして、32のまとまりが3つできることがわかり、

「90÷30で見当づけたものとだいたい一緒になったね。こうやって『見当づけ』をしながら計算していくよ」

というように学習を進めていきます。

90÷30で見当づけたものがだいたい一緒になっている!

ポイントは『見当づけ』!

単元の最初にこのように捉えることによって、「見当ってこうやってつけていくんだ!」ということがわかってきます。

単元が後半に進むと見当づけが難しくなってきますが、とにかく「見当づけが大事!」と繰り返し見当づけの大切さを子供に伝えることで、後のわり算の筆算へと発展させていきます。

見当づけが大事

このように、わり算の筆算へ進めていく前に「見当づけができるようになること」が大切なポイントです!


とても複雑に見える2桁のわり算ですが、「見当づけ」から始めるとずっとやさしい問題に見えてくるから不思議です。キーワードの「だいたいいくつになりそう?」の繰り返しで見当づけの思考回路が構築できれば、子供たちが苦手意識を持つことなく、単元後半の難しいわり算へとスムーズに学習を進めていけそうですね!

4年生の算数の授業づくりはこちらもチェック!
小4算数「1億を超える数」:学習指導要領のポイント


トモ先生の「ちょこっと学習指導要領」全3回で学習指導要領の軸となるテーマを押さえましょう!

●Part1『主体的な学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント①『主体的な学び』は5ステップ!
●Part2『対話的な学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント②『対話的な学び』のポイントは3つ!
●Part3『深い学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント③『深い学び』のキーワードはコレ!


髙橋朋彦先生
撮影/田中麻衣

髙橋朋彦●1983年千葉県生まれ。第55回わたしの教育記録特別賞を受賞。教育サークル「スイッチオン」「バラスーシ研究会」に所属。共著に『授業の腕をあげるちょこっとスキル』『学級づくりに自信がもてるちょこっとスキル』(共に、明治図書出版)がある。算数と学級経営を中心に研究中。
Twitterアカウントは @tomotomoteacher  https://twitter.com/tomotomoteacher
トモ先生のインスタ https://www.instagram.com/tomotomotea/
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