学校行事におけるグループづくりでリーダーシップを育てよう
子供たちが成長する貴重な機会である自然教室や修学旅行。その際のグループづくりのポイントを紹介します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・木村大輔
目次
子供たちの成長につなげよう
自然教室や修学旅行は子供たちの貴重な成長の場です。細部まで丁寧にマネジメントし、子供たちのよりよい成長につなげましょう。行事を充実させる大切な準備の1つに、グループづくりがあります。
グループとは
教育活動のめあてに沿って活動するための小集団
- グループのメンバーで目標や課題を共有し合い、協働することで学習活動を進める。
- 1つの学校行事で1人の子供が複数のグループに所属することもある。
- グループ名やグループカラー、シンボルマーク等を考えることで活動をより楽しくしたり、連帯感を高めたりすることができる。
グループのつくり方
課題解決意識が十分高まった学級集団になると、自然とめあてに沿ったグループの形成が期待できます。
教師が様々な配慮事項を考慮してグループをつくることも多いでしょう。教師がグループをつくることで、人間関係の幅を広げ、子供に本来取り組ませたい学習のめあてに意識や労力を集中させることができます。
教師主体でグループをつくる際には、次のような順序で複数の観点を持ち、グループのリーダーおよびメンバーを編成するとよいでしょう。
①リーダーを決める
まずグループの要となるリーダーを集団内から選出し、各グループに配置します。
リーダーには学習のめあてを常に意識し、メンバー間の調和を保ちながら活動を推進していく力が求められます。
②メンバーを決める
活動内容によって男女比や役割、学級内での人間関係を考慮しメンバーを決定します。
各行事の実行委員は並行して複数の仕事をこなしていることが多いため、1つのグループに集まり過ぎないように注意しましょう。
リーダーとの関係性
実際に活動が始まれば、リーダーがグループ活動の中心となり、物事を進めていきます。
教師以上に各グループ内で指示を出したり、人間関係の調和を図ったりする機会が多くなります。
グループのメンバー構成は、教師のリーダーに対する最大の支援だともいえます。
学級内の人間関係
互いのよさや可能性を引き出し合えるようなグループ編成を考えましょう。
その際は、教師がより注意深くグループを観察し、活動状況や一人一人の思いなどをきめ細かに聞き取っていくなどの支援が必要です。
③でき上がったグループ編成を再考する
でき上がったグループを他の教職員にも見てもらいましょう。
担任の気がつかなかった人間関係を他の職員が把握している場合もあります。複数の職員に違った視点から見てもらうことで新たな視点が生まれます。
クラブや委員会活動の先生、昨年度までの担任や養護教諭や教務の先生等に相談し再考してみましょう。
すべての子供に育成したいリーダーとしての力
リーダーの目
- メンバーの長所や努力を見つけて生かすことができる。
- メンバーの特性を捉え、どんな気持ちやどんな考えで活動に臨んでいるかを見極めることができる。
リーダーの心
- 学習課題の解決やグループのめあての達成に強い情熱を持つことができる。
- グループの調和を保つため、メンバー間のコミュニケーションの要になることができる。
- メンバーの士気を高め、グループの一体感や協調性を大切にできる。
リーダーの思考
- 学習やグループのめあてに対し、必要な手立てを考えることができる。
- グループの課題を把握し、メンバーの役割や長所を生かして課題解決に当たることができる。
- メンバーの意見や活動の成果をまとめ、常に新しい課題を見つけていくことでグループを高めていくことができる。
リーダーの足(行動)
- 学習やグループのめあてに対し、必要な手立てを考えることができる。
- グループの課題を把握し、メンバーの役割や長所を生かして課題解決に当たることができる。
- メンバーの意見や活動の成果をまとめ、常に新しい課題を見つけていくことでグループを高めていくことができる。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2020年9月号より