科学的思考力を育む「自学」のポイントとは?

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子供たちが自らの力で困難を乗り越え、たくましく生きていくために養っておきたい力が「科学的思考力」です。科学で自学する児童を育てるべく、自らの学校環境を整え、ソニー科学教育研究会(SSTA)会長も務めた渕上正彦校長に、著書 『親子で学ぶ! 科学的思考力を育む自学のススメ』の内容について、詳しくお話を伺いました。

福岡県公立小学校校長・渕上正彦さん
福岡県公立小学校校長・渕上正彦さん

自然の中に溶け込み、昆虫や植物などとふれ合う体験をさせることが大切

―本書 『親子で学ぶ! 科学的思考力を育む自学のススメ』 ができた背景を、教えてください。

渕上 新型コロナウイルスの流行や頻発する自然災害などさまざまな困難が起きています。子供たちが自らの力で困難を乗り越え、たくましく生きていくために、今、養っておきたい力が「科学的思考力」です。

―「科学的思考力」とは、どのような力でしょうか。

渕上 「科学的思考力」とは、単なる記憶力や情報収集力ではありません。学んだ知識や集めた情報を基に、現象の出現を予測したり、身を守る手段を発想したりするなど、主体的によりよい未来を「創り出す力」です。

―「科学的思考力」を身に付けさせるためには、どのようにすればよいのでしょうか。

渕上 発達段階に応じた主体的な学びが必要です。子供時代には自然の中に溶け込み、昆虫や植物などと触れ合う体験をさせることが大切だと考えています。生き物に夢中になると、わずかな体のつくりの違いや変化、美しさに気付き、より深く主体的に学ぶ体験が豊富にできます。その観察や研究を、ノートに記録してまとめることも大事です。

子供たちは自分が興味をもったことに対し、とことん突き詰めていくことでしょう。その過程のなかで新たな疑問や発見が表れるのです。つまり、思考する基盤が培われていきます。

喜びを親子で分かち合うことで、子供の学ぶ姿勢は積極的になる

―本書の特徴を、教えてください。

渕上 小学一年生から六年生まで、子供たちが好奇心を発揮して、観察記録や自由研究をまとめた自学ノートを、子供が描いたノートそのままにカラーで紹介しています。それだけではなく、自学ノートをまとめた子供本人のインタビューや保護者のコメントも掲載しています。

科学的思考力が育つポイントも解説していますので、自学ノートをつくる際のヒントやアイデアがいっぱい詰まっています。

―保護者との関わりは、大きいのでしょうか。

渕上 子供の主体的な学びを促すうえで「親の関わり」はとても大きいと考えます。本書にある親御さんへのインタビューでもわかるのですが、子供がカエルやヘビを持ち帰ろうとも動じず、子供と一緒に家で飼育して、家族で生き物の変化を話題にして楽しんでいます。自然現象を解き明かす喜びを親子で分かち合うことで、子供の学ぶ姿勢は積極的になるのです。

「小さな自学」が、よりよい未来をつくり出す「大きな生きる力」につながる

―「自学」が目指す先にあるのは、どのようなことでしょうか。

渕上 本書には、私が校長を務める木屋瀬小学校を中心とした子供と親、教師が一緒に取り組んだ「科学的思考力を育む自学」の軌跡を掲載しています。子供の頃に取り組んだ「小さな自学」が、よりよい未来をつくり出す「大きな生きる力」につながると信じています。「自学」は、未来の困難を乗り越えるために重要な生きる力になることと思います。

この記事はウェブサイト先生のための教育事典「EDUPEDIA」でも配信します。あわせてお読みください。

取材・文/浅原孝子

『教育技術』2021年8/9月号より

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