「一人1台体制」を進めるため、文部科学省がチェックリストを作成【教育ニュース】

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先生だったら知っておきたい様々な教育ニュースについて、東京新聞の元教育担当記者・中澤佳子さんが解説します。今回のテーマは文部科学省がチェックリストを作成した「一人1台体制」についてです。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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5つの観点から計34項目でまとめられたチェックリスト

小中学校の子供たち一人に1台の端末を配る「GIGAスクール構想」が、新年度から本格的にスタート…と言われています。とはいえ、新型コロナウイルス禍を受け、オンライン学習対応を加速させるために予定を前倒しした実施。急ごしらえで準備した学校もあることと思います。

文部科学省は「一人1台体制」をスムーズに進めるため、各教育委員会や学校が確認するべきことを整理したチェックリストを作りました。端末の管理や情報通信技術(ICT)の活用、必要な研修や周知など、5つの観点から計34項目でまとめています。例えば、台帳を作り、使用する子供と機器の番号の対応表を校内で共有して管理するよう推奨。

他にも、セキュリティやインターネットで問題が起きたときの問い合わせ先を教職員、保護者、子供に周知したり、情報漏洩やネットいじめへの対応を検討したりするよう勧めています。

子供たちが端末を扱う際のルールも欠かせません。落とさない、濡らさないなど基本的なことを押さえつつ、ネットに個人情報を載せない、人の写真をむやみに撮らないといったマナー面にも言及。

興味深いのは、コロナ禍のような非常時も含めて、家庭学習に使うことを想定し、持ち帰りに関する留意点に触れたことです。内容も充電の扱いや使用時間、端末へのアプリ設定など、具体的です。

自宅の通信環境はまちまちのため、環境が整っていない家庭にモバイルルーターを貸し出すなど対策を講じることも勧めました。

43自治体で昨年度内の配備が終わらず

GIGAスクール構想は、小中学校のネット環境を整備し、子供一人に1台の端末を配備するのを、2023年度には達成するという計画でした。そこにコロナ禍が襲い、子供たちの学びの保障としてオンライン学習の確立が急務に。政府は追加予算を投じて20年度中に端末配備を済ませることにしました。急遽早めた実施だけに、端末とネット環境という形は整えても、いざ使い始めれば、混乱やトラブルも予想されます。

そこで、リストを踏まえながら着実に進めるよう促したのです。

ただ、その「形」も危ういようです。文科省が1812自治体に行った調査では、43自治体(全体の2.4%)が3月末時点で端末配備が終わらず、4月以降にずれ込む見通しと分かりました。二学期以降まで間に合いそうにないのは、22自治体あります。理由には「端末の需給の逼迫などによる納期遅れ」が多く挙がりました。義務教育の公立校で学びにばらつきが出かねない現状ということです。

とはいえ、現状で全ての学校で、ICTの利点を生かした授業や休校時に対面と遜色なく子供と教員がやりとりするオンライン授業ができる状態とも限りません。端末という道具でどんな学びを与えるか、授業の質をどう上げるかが、これからも問われ続けます。

『教育技術』2021年6/7月号より

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