通知表・評価を無理なく作成するためのポイント
「通知表」は、子供に自己の成長を実感させ、次への意欲を高めさせるものです。そのためには、日常的な評価の積み重ねと無理のない作成計画が重要です。
執筆/福岡県公立小学校教諭・池上詠子
目次
成績づけのToDoリスト(やることリスト)の例
通知表の完成までに、やるべきことを書き出した一覧表です。「いつするか(いつまでにするか)」を明らかにし、完了したらチェックを入れます。今の状況が「見える化」できます。
日常的な評価の積み重ね
ノートやワークシート
授業後にノートやワークシートを集めた際は、コメントを入れると同時に、定めた観点(例えば、課題解決の仕方、意見やふり返りの内容、まとめの書き方など)を評価して、◎○△や簡単な所見などを名簿に記録しておきましょう。
写真で保存
図画工作科や家庭科などの制作や実習、調べ学習等では、児童の活動の様子や準備した材料、作品などを写真に撮って保存しておきましょう。観点に照らし、後でじっくりと見て評価することができます。
座席表の活用
普段の授業でも、児童名を入れた座席表を手元においておき、学習や活動の様子を短くメモしておきます。ねらいに沿って評価する観点を決めておきましょう。メモが入らなかった児童は、次回の学習や活動で観察するよう心がけます。
子供自身による自己評価
日常的な振り返り
授業中に「印象に残ったこと」「気づいたことや考えたこと」「自分自身の心の声」などを教科書やノートにメモしてよいと伝え、実践させます。これは子供の自己評価ですが、教師の評価と連動させることで、通知表の学習の所見を書くときに活用できます。
子供たちに、メモ用の付箋紙等を与えることで、子供の自己評価を確実に把握し、回収することが可能になります。
学期末のふり返り
学期末に、自校の評価項目に合わせたふり返り用紙を作成し、子供が自己評価して記述する時間をとります。
特別の教科 道徳の所見文例
子供の「学習状況や道徳性に係る成長の様子」について、発言や会話、作文や感想文、ノートなどを通じて、他者の考え方や議論に触れ、一面的な見方から多面的、多角的な見方へと発展しているかを見取ります。
特別活動の記録・行動の記録
評価の観点は、各学校で定めることになっていますが、そのもととなる「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」別紙4(平成31年3月29日、文部科学省)でも内容を確認し、参考にしましょう。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2020年7/8月号より