キャリア教育につながる「ポートフォリオ」活用事例

キャリア教育につながる「ポートフォリオ」の活用方法について紹介します。

執筆/福岡県公立小学校教諭・桑野美咲

ポートフォリオ

ポートフォリオとは

ポートフォリオという言葉は様々な業界で使われています。教育界では、子供たちの学習の過程や成果などの記録や作品等を集積して、それを評価に活かすという「ポートフォリオ評価」として使われることが多いです。この考え方は、キャリア教育の記録としても活用できます。これからのキャリア教育は、学んだことをこれからの人生にどう生かすかという視点も求められます。

子供は、自身の学びをプリントや写真、作品や電子ファイル等、様々な媒体で残し、自分の学習状況やキャリア形成の振り返りに活用していきます。

ポートフォリオの例

どのような場面で、ポートフォリオを残していくことができるのかをご紹介します。

社会科

学習の成果物を残しましょう

社会科の学習で作成したパンフレットや新聞等もポートフォリオとして残しておき、学びを自分で見返すことができるようにしましょう。

成果物だけでなく、作成する途中に収集した情報や資料も一緒に整理して入れておくと、さらにわかりやすくなります。

小6社会「日本とつながりの深い国々」で作成したリーフレット

小6社会「日本とつながりの深い国々」で作成したリーフレット

体育科

単元を通した学習の記録を残しましょう

単元の最後にどのようなことができるようになりたいのか、目標を書かせます。その目標に対してや、できたことや難しかったこと等を書いていきます。友達と一緒に見ることで、交流に活用することもできます。

小5体育「5−1跳び箱W杯をしよう」で使用した学習プリント

小5体育「5−1跳び箱W杯をしよう」で使用した学習プリント

道徳科

1年間の学びを見返せるようにしましょう

学習した内容をノートやプリントに1ページずつ残していくこともできますが、1枚に1年間の学びをまとめることもできます。一度に学びの記録を見返すことができるので、評価にも役立ちます。

学びの記録

1学期のめあて

振り返りを通して自分の成長に気づかせましょう

まず、学習面や生活面等について、「なりたい自分」をイメージさせましょう。そのためにどのようなことをするのかを考えさせて、記入させます。そうすることで、振り返るときに、「なりたい自分」に近づくために頑張ったことに気づかせることができます。

ファイリングの工夫

ポートフォリオを活用できるように、ファイリングの方法を工夫してみましょう。

ファイリングの方法

子供の実態、ポートフォリオの内容に合わせた方法でファイリングしていきます。

冊子型

〇安価である
〇ばらばらにならない
〇ファイリングできる量に限りがない
△途中の変更が難しい

冊子型

クリアファイル型

〇プリントでないものも残しやすい
〇綺麗に保管できる
△種類によってはファイリングできる量が限られる

クリアファイル型

置き場所の工夫

ポートフォリオを見る子たち

キャリアパスポートへのつながり

ポートフォリオとして残しておいたものを、キャリアパスポートに活用することができます。

ポートフォリオの中から児童が選択し、A4判のサイズにして、キャリアパスポートの中に入れることができるようにしましょう。

A4判のものならば、そのまま使うことも可能ですが、残したいところを切り取って貼りつけていくとよいでしょう。

イラスト/種田瑞子

『教育技術 小五小六』2020年7/8月号より

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