学級として成長できる!低学年の運動会指導
運動会では、学級での一体感や、力を合わせることの楽しさを感じたりすることで、学級として成長していきます。個人としても、学級としても、学年としても大きく成長するチャンスと捉え、支援していきましょう。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・塚本裕美
目次
力を合わせる楽しさ、一体感を経験
運動会は、子供たちにとって1年のうちの一大行事です。当日はもちろんですが、その日までにどんな取り組みをしてきたのかということがとても大切になります。その取り組みのなかで、学級での一体感や、力を合わせることの楽しさを感じたりすることで、学級として成長していきます。個人としても、学級としても、学年としても大きく成長するチャンスと捉え、支援していきましょう。
一年生は、小学校での初めての運動会です。幼稚園・保育園で「運動会」を経験している子供もいますが、発達段階が違う上級生の演技や競技を見て、憧れの気持ちを抱く子供もいることでしょう。一年生には、運動会の意義や楽しさを事前に伝え、ワクワクする気持ちを高めましょう。
運動会で身に付けたいこと
一体感
演技や応援合戦では、一体感を味わうことができます。「力を合わせると大きなことができる」「みんなでやると楽しい」という高揚感は運動会ならではです。
全力を尽くす気持ち、諦めない気持ち
運動会の醍醐味は、勝利をめざしてみんなで力を出し合うことではないでしょうか。「1点でも多く取りたい」「1位を取りたい」という気持ちで自分の力を出し切ることの気持ちよさを経験できるようにしましょう。
運動に親しむこと
体を動かすことが心地よい、みんなで演技や競技をするとより楽しいと感じられるように、事前の練習から工夫をすることが大切です。ひたすら、できないところを繰り返すばかりでは、子供たちは楽しさを感じることはできません。
低学年は、ある程度、教師主導にはなりますが、そのなかでも、子供たちが創意工夫できる部分を設け、考えたり話し合ったりできるようにするとよいでしょう。
集団行動
学年、全校など大人数で動くには、時間やきまりを守ることが大切です。また、運動会では、普段と並び方が違う場合もあります。運動会当日を想定して、子供が混乱しないように的確に指示を出しましょう。
特別な支援が必要な子供にとって、運動会のような大きな行事の前は、普段と生活リズムが異なるので、落ち着かなくなることがあります。運動会までの予定をカレンダーに書き込んだり、予定表を掲示したりしておくなど、先の予定が分かるようにしておくと効果的です。運動会が初めての一年生にも有効です。
運動会アイデアいろいろ
学校によっては、学級のなかで運動会用の色が分かれていることがあると思いますが、学級の△△を高めるという視点で盛り上げられることを考えてみましょう。
歌づくり
学級の歌をつくっている場合は、その歌を運動会バージョンにしてみてもよいでしょう。また、学級の歌がない場合にも、運動会に向けて学級の気持ちがワクワクできるような歌を考えてみると、さらに楽しんで取り組むことができます。
オリジナルフラッグ作り
子供たちの「がんばろう」という気持ちを込めた旗作りもおすすめです。「学級のみんなで一つのものを作る」ことで、子供たちの気持ちが高まります。
二年生なら、自分のめあてを書き込むこともできるでしょう。一年生は、運動会でがんばっている自分の絵を描いて貼ってもよいでしょう。
かけ声づくり
朝の会や帰りの会、ちょっとした時間にすぐできます。学級のみんなで声をそろえて言葉を言うことで、みんなの気持ちが一つになっていることを感じることができるでしょう。「この学級(学年)のみんなと、がんばっていこうという気持ちをもつことができて、学級の一体感も増していきます。
オリジナル応援グッズ作り
割り箸に色画用紙を巻き付けたミニ応援旗やペットボトルの中にビーズやリボンを入れた応援マラカスなど、短い時間ですぐにできる応援グッズを持って応援すると、さらに応援に力がこもります。
キラキラメッセージ
「○○さんは、声を出して一生懸命がんばっていたよ」「○○さんは、友達の応援をたくさんしていたよ」など、子供たちは友達の輝いている場面をたくさん見付けることができます。
そのことを帰りの会で発表したり、メッセージ用紙に書いたものを教室内に掲示したりしておくのもよいでしょう。
「クラス応援団」で応援を盛り上げる
応援合戦で活躍する応援団は、低学年にとって憧れの存在です。多くの学校では高学年が担当していたり、人数が決まっていたりします。「ぼくたちも応援団みたいにやりたい」と真似をし始めたら、希望者全員を「クラス応援団」に任命し、応援席を盛り上げるのも有効です。
朝の会や帰りの会で応援コールや応援歌を歌ったりする際に、「クラス応援団」が前に出て積極的にみんなを盛り上げます。クラスで活躍の場をつくってあげることで、自信につなげることができます。クラスの応援を盛り上げることから、一人ひとりが自然に応援できるような態度を身に付けていきましょう。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2020年4/5月号より