小2生活「生きもの なかよし大作せん」指導アイデア
執筆/神奈川県公立小学校教諭・平野大
編集委員/文部科学省教科調査官・渋谷一典、文部科学省教科調査官/愛知淑徳大学准教授・加藤智、神奈川県公立小学校校長・二宮昭夫
目次
期待する子供の姿
知識及び技能の基礎
生き物を飼育する活動を通して、生き物が成長していくことや、自分たちと同じように生命をもっていることに気付く。
思考力、判断力、表現力等の基礎
生き物を飼育する活動を通して、生き物の育つ場所、変化や成長の様子に関心をもって働きかけることができる。
学びに向かう力、人間性等
生き物を飼育する活動を通して、生き物への親しみをもち、大切にしようとする。
単元の流れ(10時間)
どんな生きものがいるのかな(1時間)
校庭の石の下にダンゴムシがいたよ。
近くの川には小さい魚がいたよ。
ダンゴムシは近くの公園にもいたね。ほかにも生き物がいるのかな。
【評価規準等】
態生き物に関心をもって関わろうとしている。
※評価規準等の知 =知識・技能、 思=思考・判断・表現、態=主体的に学習に取り組む態度の観点を示しています。
生きものをさがしに行こう(3時間)
こんなところに生き物がいるんだね。
次は虫かごを持ってこよう。
学校に戻って図鑑で調べたいな。
捕まえに行くときには、危ない場所や生き物に気を付けないといけないね。
生き物博士に教えてもらったやり方で捕まえてみよう。
【評価規準等】
知生き物によってすみかや捕まえ方が違うことに気付いている。
思生き物や生き物がすんでいる場所の特徴に着目して、生き物を探す場所や捕まえ方を考えている。
生きものをそだてよう(3時間+常時活動)
野菜のときのように名前を付けたいな。
すんでいた場所と同じようにしたほうがいいのかな。
エサはどうしたらよいか、図鑑で調べよう。
【評価規準等】
思生き物の変化や成長に関心をもって観察したり世話をしたりしている。
態自分が世話をしている生き物に親しみをもって接している。
生きもののことをつたえよう(3時間)
捕まえたときよりも2㎝も大きくなったよ。
元気がないときには新しい葉っぱを入れるといいんだよ。
一年生のときより、続けてお世話ができたよ。
捕まえた場所に返してあげよう。今までありがとう。
【評価規準等】
知生き物は自分たちと同じように生命をもっていることや成長していることに気付いている。
態生き物に親しみや愛着をもったり、自分の関わりが増したことに自信をもったりしたことを実感し、生き物を大切にしようとしている。
活動のポイント1
飼育活動への意欲を持続させる工夫をしよう
生き物を飼うことは、命を扱うということです。興味本位で飼う活動に終わらないように、子供たちの飼育への意欲を継続させるための工夫が必要です。
また、生き物に対して抵抗感を感じる子供たちもいることが想定されます。生き物の生態や成長過程、体の特徴などの面白さや不思議さを紹介することで、関心を高めることができます。
さらに、一人一つの虫かごや水槽を準備することで、自分だけの生き物という思いをもつことができるでしょう。
飼育への意欲や関心を高めるために、子供が生き物について調べやすい環境をつくる
地域の図書館や学校図書室と連携を図りましょう。タブレットPC やデジタルカメラなどを教室内に常備しておくこともおすすめです。
主体的な問題解決を促すために、人的資源を確保する
職員や保護者・地域の方に、困ったときに相談できる「生き物博士」をお願いしておきましょう。生き物博士から採集方法や飼育方法を教えてもらうことで生き物への関心が高まり、よりよい関わり方を考えられるようになります。
飼育活動への抵抗感を減らし、わくわく感を引き出すための言葉がけや準備物を工夫する
- 学習のめあて:「めざせ!生き物探検隊!」
- 作戦グッズ:画用紙を虫眼鏡の形に切り取ったもの。
- 生き物マップ:学校・町探検で使用した大きな地図に子供が見付けた生き物の写真や絵を添付したもの。
教師も一緒に生き物の世話をしたり、生き物に名前を付けたりすることで、子供たちの飼育に対する意欲や生き物への親しみが増すことが期待できます。
活動のポイント2
気付きの質を高める工夫をしよう
※生き物と触れ合った後には必ず手洗いなどをさせ、感染症の予防に努めましょう。
※地域の自然環境や生態系の破壊につながらないように、外来生物などの取扱いには十分配慮しましょう。
※子供のアレルギーなどについて、事前に保護者に尋ねるなどして十分な対応を考えておきましょう。
※虫めがねを使用する際は、「虫めがねで太陽を絶対に見ない」「集めた光を人や衣服、物に当てない」などの安全指導を事前にしておきましょう。
※学習活動の実施に当たっては、新型コロナウイルス感染症に関わる各自治体の対応方針を踏まえるなど、子供の安全の確保に向けて十分配慮することが必要です。
イラスト/高橋正輝、横井智美
『教育技術 小一小二』 2020年7/8月号より