荒れ始めに効く!6月の学級レクリエーション+5種
6月の学級は、荒れが出てくる時期です。「荒れ始めたかな」と感じることがあったら、学級レクリエーションで子ども同士の信頼関係を温めましょう。前号記事大好評につき、さらに5本の楽しい学級レクを紹介します。
前号記事「6月の荒れ対策に有効!教室や体育館でできる学級レク5選」はこちら
目次
同じ動きで協力しやすい雰囲気をつくろう!
「合わせてパン!」
埼玉県公立小学校教諭・秋山義紀
協力しやすい学級の雰囲気をつくり、学校生活を充実させるレクです。短い時間でできるので、朝の会や帰りの会、行事を始める前の少しの時間で挑戦してみてください。
<ねらい>
・全員の手拍子を合わせることで、協力しやすい学級の雰囲気をつくる。
【進め方】
1.教師と子どもでハンドサインを決める。(例:教師が指1本出したら、子どもは1回手をたたく)
2.教師の投げかけで拍手をし、教師はハンドサインを出しながら「よーおっ!」とかけ声をかける。
3.子どもはハンドサインを見て手拍子の回数を判断し、学級全員で手拍子を合わせる。手拍子が揃うと、歓声が上がるでしょう。
【発展】
様々なハンドサインや手拍子が考えられます。そこで、いくつかそのパターンを紹介します。
・両手を広げる→「チャッ・チャチャチャ」と手をたたく
・両手を交差する→手を1回たたく真似をする
・指を4本出す→「チャチャチャチャッ」と手をたたく
【活動の様子】
ルールをすぐに理解できない子もいるので、一本締めなどの簡単なものから活動してみましょう。綺麗に揃えば、子どもたちから「おー」「やったぁ」「すごい」と次々に歓声が聞こえるはずです。
【教師の視点】
もしうまく揃わなくても、「惜しい!」「次はうまくいくといいね」等、肯定的な声かけをします。“間違っても大丈夫”という安心感のある空間づくりを心がけましょう。また、ねらいに迫るためには、繰り返し取り入れることが大事です。「みんなで気持ちを一つにするために拍手をしましょう」のように教師が投げかけると楽しく行うことができます。
みんなの力でポイントゲット
「ドキドキ イレイサーゲーム」
埼玉県公立小学校・蜂谷太朗
問題を工夫することで様々な子に活躍のチャンスがあります。問題が解けても高得点になるとは限らないので、最後まで手に汗握る展開になること間違いなしです。
<ねらい>
・仲間と一緒に考える楽しさに気付き、協力して学ぶ喜びを再認識させる。
【進め方】
1.3~5人ずつのチームをつくる。チームの持ち点は10ポイント。
2.黒板に50問程度の問題を貼る。
[問題用紙の作り方]
・A4画用紙を半分に折る(横向き)。
・内側に問題を書く(選ぶときには見えないようにする)。
・外側の片面(表)に問題番号を書く。
・もう片面(裏)にはイベント(その問題に正解したらどうなるか)を書く。
[問題の内容]
・都道府県名クイズやアナグラム、地図記号、授業で出てきた豆知識など
[イベントの種類]
・イレイサー(自チームが0点になる)
・チェンジ(他チームとポイント交換)
・プラス5点
・ポイント3倍 など
3.黒板にチーム別ポイント一覧表を書く。
4.くじで順番を決め、好きな問題番号を選び問題を解く。制限時間は20秒程度が理想。
5.解けたらイベント発生。解けないと得点は半分になり、次のチームがその問題に答える。
6.3周程度して、その時のポイントで競う。
【活動の様子】
問題に授業の内容を入れることで、授業をしっかり聞いている子が活躍したり、遊びの中で知識の定着につながったりします。
【教師の視点】
教師がMCとして楽しく仕切ることがポイントです。残り時間をカウントダウンしたり、イベントを見せるときにじらしたり・・・。テーマパークにいるような雰囲気をつくり出すことで、子どものワクワク感は一層高まります。
〈例題の答え〉①イヌ・石・岩・色・池など ②島 ③1(穴の数)
みんなで一緒にハラハラドキドキ!役者ぶりが光る
「ぐうぐうハンター」
福島県公立小学校教諭・大釜拓
ぐうぐうも、ハンターも、村人も、みんながドキドキハラハラするアクティビティー。
<ねらい>
・全員が全員の顔や表情をじっくり見る機会や雰囲気をつくる。
・ぐうぐう・ハンター・村人の三者の立場を経験しながら、その役割を楽しむ。
【進め方】
1.全員で円になって座る。
2.割りばしくじを用意し、役割を決める。
[ぐうぐう]→ハンターに見つからないようにウィンクで村人を眠らせる。
[ハンター]→ぐうぐうを見つける。指名できるチャンスは2回まで。
[村人]→ぐうぐうにウィンクをされると10秒後に眠ってしまう。
3.「ハンターは、だれ?」のかけ声で、みんなでハンターを確認してからゲームを行う。
4.ぐうぐうが村人の半分を眠らせるか、ハンターがぐうぐうを発見したら終わり。
【発展】
ぐうぐうの人数を2~4人と増やしていくと、ドキドキ感が格段に増します。だれがぐうぐうなのかは本人以外は分からないので、ぐうぐうがもう1人のぐうぐうを眠らせてしまうこともあります。
【活動の様子】
一体だれがぐうぐうなのかは分かりません。いつ、ぐうぐうがウィンクをしてくるのか注意深くお互いの表情を見つめます。ハンターは「1人も眠らせないぞ」と意気込みます。ハンターが首を動かしたわずかなタイミングを逃さずに、ぐうぐうがウィンクをしかけます。
10秒後、ウィンクを見た村人が眠りにつきます。「おっー! 最初の犯行が行われたぞ!」と教室がどよめきます。眠ってしまった村人だけがぐうぐうの正体を知っています。ウィンクを見てしまったのを後悔しつつもなぜだか笑ってしまいます。笑みをこらえつつ、眠りにつきます。
次のウィンクまで、また教室が緊張感に包まれます。「お前がぐうぐうだろ?」「いや、私じゃないよ。」そんな表情を浮かべながら笑顔の輪が広がっていきます。
【教師の視点】
教師も一緒に交ざってください。子どもたちの役者ぶりが光ります。教師がぐうぐうになり、喜びを隠しながら息巻いていると、「先生、ぐうぐうでしょ。」とあっさりハンターに見破られてしまいます。また、ハンターになってもぐうぐうを見付けるのに苦戦します。
ハラハラ・ドキドキが止まらない!
「無人島 危機一髪!」
奈良県公立小学校教諭・小野領一
「勝負ごと+スリル+非日常=一体感」これらの要素が全て入っていて、いつの間にか、子どもたち同士が笑顔で楽しみながら、協力し合う姿が見られます。
<ねらい>
・男女関係なく、みんなと力を合わせることの楽しさ・心地よさを感じる。
・互いの意見を遠慮なく出し合い、より有効な作戦を考える。
【進め方】
1.30人学級であれば、10人の3チームに分ける(くじ、生活班などで分ける)。
2.作戦タイムをとり、イスを並べて島をつくり、イスが減っても友達が落ちないようなイスの島をそれぞれに考える。
3.つくったイスの島にチームのメンバー全員で立つ。
4.各チームの代表を一人決め、その代表と教師とでじゃんけんをする。じゃんけんに負けたチームは島のイスが取られてしまう。
※代表は毎回違う子どもになるようにする。取るイスの数は、事前に教師がくじを引いて決めておく
5.イスの島から誰か1人でも落ちてしまったら、そのチームの負け。
【活動の様子】
「勝ち残りたい勝負心」「イスの上に立つ非日常感」「ハラハラドキドキのスリル感」3つの効果で、子どもたち同士の距離がグッと近くなり、一体感が生まれます。「大丈夫か?」「ちゃんとつかまって!」といった声かけも出てくるようになります。
ゲーム終了後、「やってみて、どうだった?」「なぜ楽しかった?」「それで?」など、質問を掘り下げていくと、子どもたちから深い意見が出てくるようになります。そして、出てきた意見を次回のゲームや普段の授業にリンクするようにもっていきます。
【教師の視点】
学級の状況によって、男女別チームにするといった配慮も必要です。荒れを感じてきた時、ルールをきちんと守らせることにコストをかけるよりも、全員が楽しく笑顔になることにコストをかけた方が、荒れを乗り切る大きなポイントになります。
友人関係と言葉を紡ぐ
「リレーおてて絵本」
新潟県公立小学校教諭・井上幸信
「おてて絵本」は、絵本作家のサトシンさんが提唱する言葉遊びです。手のひらを絵本に見立てて、即興で物語創作をリレー形式で行います。言葉で友達とつながっていく活動です。
<ねらい>
・協力して一編の物語を紡ぐことを通し、力を合わせて物事に取り組み、解決する楽しさを味わう。
・友達の言葉を聴き、その内容を尊重して自分の言葉を紡ぐ。
【進め方】
2回手を叩き、その後、本のように手のひらを開く。手のひらを絵本に見立て、本を音読する姿勢になる。
1.最初の語り手を決め、即興で物語を語らせる。
2.3~4文程度話したら、話し手を交代する。
3.交代するときには、両手でハイタッチをする。
4.物語が終わるまで、語り手を交代しながら即興での語りを続ける。
※「ハッピーエンドで終わる」「○人(○分)でストーリーをまとめる」などのルールをつくっておくとよいでしょう
【活動の様子】
【話し手Aくん】昔々、遠くの星に、おじいさんと、おばあさんと、レンジマンがいました。
宇宙の話だ!
レンジマンって何? ヒーロー?
レンジマンは電子レンジの中から出てきたヒーローです。レンジパワーで物を温めることができます。交代!(次の話し手を指名して、ハイタッチ)
【話し手Bさん】 レンジマンの星は、とてもとても寒い星でした。そこに、もっと星を寒くする冷凍庫星人がやってきたのです。
ナイスアイディア。冷たいのと温めるのだ。
レンジマンは、星を守るために旅に出ました。―――
ある日の冒頭の様子です。子どもたちは、思いもよらない不思議な登場人物や出来事を生み出します。そして、その人物や出来事を、実に柔軟な発想で繋いだり、盛り上げたり、収束させたりしてストーリーを紡いでいきます。静かにじっと聴くのではなく、歓声をあげたり感想をつぶやいたりしながら聴くようにすることで、学級全体でわいわい楽しむ活動になります。
【教師の視点】
話すことが苦手な子、言葉に詰まってしまった子には「誰が出てくるの?」「どこに行くのかな?」などと問いかけ、言葉を引き出してあげます。また、聞き手からのアドバイスを取り入れることも奨励していきます。「協力して物語を紡ぐ」ことを楽しめるように支援してください。
『小四教育技術』2017年11月号より
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