• 勉強マーク小学館ロゴ
  • facebookアイコン
  • twitterアイコン

5月の学校経営─管理職の職務のポイント

2019/5/13

新年度開始から1か月経過し、校務が忙しくなる5月。年度当初の学校経営目標
に向かっているか、また軌道修正の必要性があるかなどを確認する時期です。 埼玉県川口市立公立小学校校長・熊谷茂樹先生に、この時期の職務のポイントをまとめていただきました。

校長の職務のポイント

現場に足を運び、自分の眼で見る

4月の課業日は15日程度ではないでしょうか。27日からは10連休が始まります。これまで授業中だけでなく皆さんは何回教室を訪問したでしょうか。学校経営の基盤は学年・学級経営です。その現場に足を運び、自らの眼で見ることは、最高経営者である校長の仕事です。

見て、感じて、かかわる

教室に一歩足を踏み入れれば、学級の空気感・雰囲気を感じることができます。誰もいない教室であっても同じです。4月当初から床にごみが落ちている、黒板が汚れている、掲示物がはがれている、机が乱れ、ロッカーが乱雑な教室は、教師と児童、児童相互の人間関係に乱れが生じる兆しです。給食や清掃指導の時間帯は空気感・雰囲気を感じ取る絶好の機会です。

今月は課題のある学級に足しげく通い、具体的な改善策を担任に指導することになります。学年主任や副校長・教頭に担任に指導するよう指示します。校長が直接指導します。「荒れ」が顕在化してからでは遅いのです。範となる経営があれば、それを皆で共有するための策を講じます。5月――校長室に籠もっている時間はありません。

基本は「ほめる」こと

学校として、学年として朝の会、帰りの会、給食や清掃指導、学級掲示のガイドラインがあります。これを「指導できて当たり前」にせず、「できていればほめる」のです。担任に直接声をかけます。「この学級のここがよい」を校長だよりにして配布します。課題があり、指導した後は改善を見届けます。そしてほめます。見事に整っている清掃用具ロッカーを撮影し、校長だよりでほめるのは、乱雑な教室を経営している担任への指導資料にするためです。

学級経営で重要なのは集団マネジメントです。高圧的な指導や同調圧力を求めるマネジメントは必ず綻びます。児童が相互に認め合い、支え合うための取り組みがあれば、そのスキルではなく、それを支える教育的愛情の「イズム」を絶賛したいものです。

イラスト/イクタケマコト

副校長・教頭の職務のポイント

職員室の担任としてマネジメントを進める

校長が教室訪問をしながら学級経営の指導をしていますが、副校長・教頭が思うようにそれができないのは、4月・5月に処理する事務量が膨大だからです。日に1回は校内巡視をしているでしょうが、1単位45分の授業参観は難しいと思います。想定以上に身動きがとれない今月だからこそ、教師集団のマネジメントに力を注いでほしいのです。

例えば、学級経営のガイドラインに沿ったチェックリストを作成してはどうでしょう。「5月の生活のめあて」が「整理整頓」であれば、「退勤前の教室チェックポイント」を3つ挙げ、それを学年で徹底するよう学年主任に指導します。「今月の月・水曜日の放課後、学年全員で全教室を巡回する」ように指導します。

このねらいは、学年・学級経営の充実とともに、教師相互をかかわらせ、集団のマネジメントを図ることにあります。初任者のOJTにもなります。副校長・教頭が校長のように直接学級経営にかかわれない今月だからこそ、教師が相互に高め合う雰囲気を醸成することが大切です。

「皆さんは、互いに支え合い、高め合う集団になれることを信じています」と声に出してほしいものです。

●教職員への声かけ●

「授業で児童指導も教育相談もできます」

喧嘩した児童が級友の発言に何度も頷きました。「素晴らしい。あなたの心には人を認める優しさがある」とほめます。エピソードを添えて話すことが大切です。

「失敗を責めるより、今何をするか」

若手教師は失敗して仕事を学びます。失敗したことを叱責するより「あなたは何を学んだか」を問いましょう。成功は部下の手柄。失敗は上司の責任です。

文/埼玉県川口市立公立小学校校長・熊谷茂樹

『総合教育技術』2019年5月号より

関連する記事

職員室記事一覧

【教師の働き方改革】教室仕事を効率的にこなす2つのアイディア

自分自身の時間や家庭での生活を大切にしながら、楽しそうに働く先生は、その姿を見ている子どもにとって実は、それだけで大きな教育効果を生みます。教師という仕事を輝か…

2019/7/15

新教師力
学習指導要領2020で求められる「新・教師力」

「主体的・対話的で深い学び」を子どもに求める上で、教師のレベルアップが必須となります。特にこれからの教師が、新学習指導要領に則った指導をするために必要な「教師力…

【教師の働き方改革】いつも笑顔でいるために、仕分けて任せる

毎日笑顔で、子どもたちの前に立つことができていますか? 日々の業務に忙殺されて自分の時間がほとんどもてないような状態では、自然な笑顔で子どもと接することはできま…

2019/7/9

岩瀬直樹
若手教員を育成できる学校組織のあり方とは

新学習指導要領全面実施を控えて教員の資質能力向上が急務です。一方、ベテラン教員の大量退職と若手教員の急増で学校の教育力の低下が危惧されており、社会や教育の形の…

2019/7/6

授業しているイメージ
外部の「指導員」が若手教員を育成 学校全体の教員スキルアップ!

埼玉県富士見市では、市独自の制度として2017年度より市内の全公立小学校に「若手教員育成指導員」を配置するなど、各校の若手教員育成を支援しています。なかでも、富…

悲しむ子供の後ろ姿
後を絶たない、虐待・いじめを苦にした自殺事件

子どもの虐待死や、いじめを苦にした児童生徒の自殺が相次いで発生しています。こうした痛ましい事件を防ぐために、学校に何ができるのか。教員はどう対応すべきなのか。虐…

2019/6/27

働き方改革
【教師の働き方改革】仕事を減らすための マインドセットと理論武装

学級の子どもたちはもちろん大切です。でも、だからこそ、教師がまず自分自身を大切にし、笑顔で子どもたちの前に立つことが必要です。担任のレベルで明日からできる「働き…

中学年の通知表
4つの視点に基づいて書く4年生の通知表

この時期から、新学習指導要領をふまえ、日頃から主体的・対話的な学習を意識し、創意工夫を生かした特色ある教育活動を進めていきましょう。学習指導要領の改訂にもあるよ…

2019/6/19

〈学校レポート〉「いじめのない学校づくり」に取り組む

「いじめのない学校づくり」を目標に掲げ、教員、児童、PTA、地域が一丸となって取り組み、着実に成果を上げている、神奈川県横浜市立白幡小学校の事例を紹介します。

「親による虐待がある」と感じたとき、学校・教師ができること

子どもへの虐待による事件が相次ぎ、深刻化している今、虐待やいじめを防止し、子どもを守るために、学校や行政は何をすべきで、教員にはどのような意識をもつことが求めら…

もっと見る