三学期のとっておき!授業の導入に使えるミニネタアイデア集
コロナ禍の中で迎える2021年、三学期の「授業の導入」に使えるとっておきのミニネタを紹介します。子供たちの学びの探求心を引き出しましょう!
執筆/兵庫県公立小学校校長・ 俵原正仁
目次
一年生
国語「こえに 出して よもう」
私はだぁれ?
光村図書『こくご一下』には「こえに 出して よもう」という単元があります。そこに、くどうなおこさんの「のはらうた」から2編の詩が紹介されています。1編が次の詩です。
そのまま紹介しても十分楽しい詩ですが、教師がひと手間加えることで、楽しさはさらにアップします。そのひと手間とは、「隠す」ということです。子供たちに題名と作者名を隠して紹介し、こう問いかけます。
この詩を書いた人は誰でしょうか?
①かまきり りゅうじ
②いのしし ぶんた
③かたつむり でんきち
④いるか ゆうた
自分の考えを挙手させて確かめます。立ち位置をはっきりさせることで、友達の意見をしっかり聞くことができるようになります。
この中で一番速く走りそうなのは、いのししだから、②だと思う
でも、イルカのほうが速いよ
イルカは泳げるけど、走れないと思う
『ゆめのなかでは』と書いているから、ほんとは速くないのかもしれない
子供たちの意見を聞いた後、正解を発表します。歓声やどよめきが上がること間違いなし。この後は、後半部分を隠したワークを渡し、それぞれ何かの生き物になったつもりで、「あのね ぼく ゆめの なかでは ね」の続きを考える学習活動を組んでいきます。
算数「大きいかず」
じゃんけん大会どっちの勝ち?
子供たちはゲームが大好きです。授業の導入時にゲームっぽいことを取り入れることで子供たちのテンションは上がります。最近は、教科書でも導入時にゲームを扱うことが多くなっています。
「大きいかず」の単元でも、2位数の大小比較の導入で、おはじきを使った点取りゲームが、教科書(啓林館)に載っています。
おはじきを10回はじいて、10のゾーンに入れば10点、1のゾーンに入れば1点というゲームです。楽しそうです。でも、実際にやってみると、教科書の例示のようによい感じに得点ができません。10のゾーンに1回も入らず、2位数の大小比較を行うという学習活動ができない状況も出てきます。
そこで、この点取りゲームをおはじきではなく、じゃんけんに変更します。じゃんけんをして「勝ったら10点。負けたら0点。引き分けは1点」というルールにするのです。
これを10回行います。10回連続でじゃんけんに負ける子はそういません(もしいたら、レア中のレアということでほめてください)。
これで、どの子も楽しみながら2位数の大小比較を行うことができるようになります。
生活「ふゆとなかよし」
額縁たんけん「ここ、ど〜こだ?」
ここ、ど〜こだ?
授業の冒頭、子供たちに1枚の写真を提示します。段ボール製の手作りの額縁の中の写真には、1本の桜の木が写っています。
あっ、見たことある
バックネットの後ろだと思う
あえて分かりやすい写真を用意したので、子供たちもすぐに正解にたどり着きます。
正解です! これはバックネットの後ろの写真です。タイトルは『冬の桜』です
正解と告げられ子供たちは大喜び。楽しい気分になったところで、次の活動に移ります。
今から、校庭に出て、冬探しをします。友達に教えたい場所を探してください。今からみなさんにこの額縁を渡します。教えたい場所が見付かったら、この額縁に洗濯ばさみやセロハンテープなどでセットしてください。地面に置いてもいいですよ。みんなで見て回った後、先生が後で写真を撮っておきます
この後、体育の授業の邪魔をしないなど、気を付けることを話したら、「ふゆの校ていに出てみよう」の学習の本番です。ボール紙で作った額縁を一人一つずつ受け取って、子供たちはキラキラした瞳で校庭に飛び出していきます。
二年生
国語「スーホの白い馬」
スクリーンプロジェクトで盛り上げる!
「お手紙」の音読劇では、かえるくんやがまくんなどのお面をかぶることで、子供たちのモチベーションが格段に上がったことと思います。このように音読をしたくなるような環境をつくることは重要です。三学期は、さらにグレードアップ。お面だけではなく、舞台そのものをつくってしまいます。
モンゴルの風景の写真があればベストですが、なければ教科書の挿絵でもかまいません。パソコンに映像を取り込んで、プロジェクターで黒板に貼ってあるスクリーン(または白の模造紙)に映します。その映像を背にして、教師が範読します。子供たちは真剣な表情で聞いています。読み終わってひと言。
今回も最後に音読劇をします。みんなもこのスクリーンの前でやりたいでしょ?
子供たちのやる気は爆上がりするはずです。
算数「九九のきまり」
インドの九九の表
今から九九の表を配ります。九九の表を完成させてください
答えの数字が入っていない九九の表のワークを配ります。ところが、ワークを受け取った子供たちがザワザワし始めました。
先生、このワーク19まであります
9の段までしか習っていません
計算通りです。教師はわざとらしく驚きながら、子供たちに配ったワークを確かめます。
あっ、ごめん、ごめん。間違えて、インドの九九の表を配っちゃいました。回収〜
「インドの九九の表」という耳慣れない言葉に子供たちは反応するはずです。
インドにも九九ってあるの?
ありますよ。しかも、インドでは9×9までじゃなくて、19×19まであるんですよ。99×99までするところもあるらしいです
子供たちにとっては衝撃の新事実です。
めちゃくちゃ難しそうだけど……でもね、九九にはきまりがあります。このきまりが分かれば、君たちにもインドの九九の表を完成させることができるようになります。みんなで九九のきまりを調べていきましょう
子供たちが初めて目にするインドの九九の表によって、改めて九九に対する関心が高まり、九九のきまりを調べていこうという意欲を高めることができるのです。
算数「100cmをこえる長さ」
動物大きさ並べクイズ
問題です。今から言う動物の身長を大きい順に並べましょう。
①ライオン
②ゾウ
③柴犬
④ニワトリ(雄鶏)
⑤カピバラ
黒板にそれぞれの動物の写真を貼っていきます。一番大きい動物は簡単です。二番目に大きい動物もすぐに出てきます。
一番大きいのはゾウ、次はライオン……
ただし、この後からは意見が分かれます。
柴犬、ニワトリ、カピバラだと思います
柴犬の次はカピバラだよ
一通り意見が出たら正解を発表します。
ライオン2m。ゾウ7m。柴犬50㎝。ニワトリ70㎝。カピバラ1m
子供たちは、カピバラの予想外の大きさにびっくりします。ウサギぐらいの大きさだと思っていた子が多かったようです。
カピバラの大きさはだいたい1mぐらいだそうです。これぐらいかな? 意外と大きいね
黒板に1mの紙テープを貼ります。
では、今から君たちにはカピバラさんと同じ1mの長さの物を探してもらいます。カピバラさんを探せ! 調査開始!
算数において、量感を身に付けることは大切です。この後、1mのものさしを使って、いろいろな事物を対象にして1mにあたる長さを体感させていきます。カピバラさんというキーワードとともに……。
生活「自分についてしらべよう」
みんなが生まれたときはどれくらい?
先ほどの算数の時間の終わりに新たな導入をします。黒板には、大きさ順に並べられた動物の写真が貼られたままです。
ちなみに、生まれたての君たちなら、どこに入ると思いますか? カピバラさんの次ですか? それともニワトリの次ですか?
子供たちの意見を聞いた後、話を続けます。
先生の生まれたときの大きさは48㎝だったそうです。だいたい柴犬と同じぐらいですね。でも、人によって違うかもしれないから、カピバラサイズの子もいるかもしれません
そんなに大きいはずないよ
子供たちは素直に反論してきます。
今度の生活科で勉強します。生まれたときの身長が聞ける人は調べておいてください
算数の時間に生活科の導入をしてしまうのです。これぞ、教科横断的な視点です(笑)。
イラスト/浅羽ピピ・横井智美
『教育技術 小一小二』2021年1月号より