授業中「下ネタや汚い言葉を連呼する子」への対応法|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

子供の「自ら成長する力」を引き出すことに定評のある、沼田晶弘先生。 今回は、
「授業中に、汚い言葉や下ネタを言って騒ぐ子がいます。止めるよう注意するのですが、 周囲の子も盛り上がってしまうので、授業が進めづらいこともあります。 どのような対応をするとよいでしょうか」
という先生の質問に、アドバイスをいただきました。

撮影/下重修

周囲が盛り上がるから、言いたくなる

授業中にわざと汚い言葉や下ネタを言って、周囲の気を引こうとする子はいるよね。

たとえ女子から白い目で見られても、男子は盛り上がってしまうこともあるから、授業が進めにくくなることもあるだろう。

では、なぜわざわざ授業中にそんな言葉を使うのか。
それは周囲が盛り上がってくれるからだ。

だから下ネタを言おうが、ウンチと叫ぼうが、周囲の子が盛り上がらなければ解決するはずだ。

誰も反応してくれなければ、そんな言葉を使っても意味がないことに子供も気が付くだろう。
実際、授業中にそんな言葉を使う子がいることに対し、嫌な思いをしていたり、冷ややかな気持ちになっている子のほうが多いはずだからね。

「『ウンチ』で喜ぶのは一年生まで!」と諭す

健康的な生活習慣について指導をしたり、保健体育の授業のときでも、特定の言葉に反応する子がいる。

例えば、「朝はちゃんと朝食を食べて、ウンチもしてくることが大事」と言うと、ウンチという言葉に大喜びしたり、大騒ぎしたりする子もいる。

中学年以降なら、「あのね、ウンチはみんなするんだよ。君はもう四年生だろう? ウンチという単語で喜ぶのは一年生までだからね」と諭すこともある

また、あえてスルーすることで、盛り上がっているのは自分とあと数名だけで、他の子は呆れているし、実はすごく恥ずかしいことしているんだよ、ということに気付かせたりもする

子供の「みてみて欲」に着目しよう

一番効果的だと思うのは、なぜそんな言葉を使うのか、その原因にスポットを当てて対応することだ。

例えば「ウンチ」を連呼する子は、「ウンチ!」と言うと注目が集まるので、自分が注目されている、みんなからウケていると勘違いしてしまうから、何度も言おうとするんだよね。

つまり、「注目されたい」「ウケたい」という思いが根本にあることに注目しよう。
拙著『one and only 自分史上最高になる』(東洋館出版社)では 、この「誰かに見てもらいたい」「認められたい」という承認欲求のことを「みてみて欲」と呼び詳しく解説しているんだけど、この「みてみて欲」をどう上手に取り扱うかが、子供を成長させる重要なポイントだと思っている。

知的なことを言うほうが注目される、という経験をさせる

大人でも、飲み会の席などで、必ずみんなが盛り上がる「鉄板ネタ」を披露する人っているよね。その鉄板ネタの引き出しをたくさん持っていればいるほど、その場も盛り上がる。
でも、子供は人生の経験が少なく、言葉や話題の引き出しが少ないから、盛り上げるために、汚い言葉とか、下ネタしか思いつかないんだよね。
だから、子供にも「そんな単語を連呼するよりも、もっと他のことを言ったほうがウケる」という経験をさせて、新たな「鉄板ネタ」の引き出しをつくってあげよう。
その子が得意なことや、興味のあることを上手に引き出しながら、「そんな言葉を使わなくても、君にはもっと面白いことを言えるよ」「もっと知的な言葉を使って注目を集められるよ」ということを教えて、「みてみて欲」を満たす経験を積ませてあげるといいと思うよ。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)、板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記(学校図書)他。
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取材・構成・文/出浦文絵

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