コロナ下で『学びの保障』を目指す、文科省指針「学校での学習活動の重点化」とは

小学校で新学習指導要領の全面実施となった2020年度は、誰も予想し得ない事態でのスタートとなりました。休校措置以降も感染防止措置をとりながらの教育活動が続いていますが、この未曾有の事態を学校としてどう乗り越えていけばよいのかを考えます。

ソーシャルディスタンスをとって体育の授業
撮影/金川秀人

想定外の事態に見舞われた新学習指導要領元年

新型コロナウイルス感染拡大を受けての全国一斉の休校措置は3月初旬から始まり、長いところでは約3か月間にもおよびました。例年であればこの時期は、学年の仕上げの段階である学年末から、新たなクラス、新たな担任での新学年スタートの時期。年間を通じて最も重要ともいえる3か月でした。

ましてや2020年度は、小学校で新学習指導要領が全面実施となる《新学習指導要領元年》です。「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメントの充実」「主体的・対話的で深い学びによる授業改善」といった新学習指導要領が示す方向性に向けて、この数年、各学校では校内研修や校内体制の整備等を通じて準備を進めてきたはずですが、その準備を根底から覆しかねない、大混乱の状況での年度スタートとなってしまいました。

特に現場の教員の頭を悩ませているのが、「主体的・対話的で深い学びによる授業改善」ではないでしょうか。個による学びに加えて、友達とともに考え、学ぶことで新たな発見や豊かな発想を獲得していくというのが、「主体的・対話的で深い学び」のねらいです。しかし、休校明けの「学校における新しい生活様式」のもとでの授業では、密の状態が生まれやすいグループ活動や、近距離での話し合い活動などは避けなければならず、当初想定していた形での「主体的・対話的で深い学び」の実践が難しいという状況が生まれています。

さらに、休校措置による遅れを取り戻すための授業時数の確保や、教室の消毒・清掃、子どもたちの健康観察などで教員の負担は確実に増えており、新しい生活様式のもとでの授業づくりになかなか時間を割くことができないという現場も多いはずです。すべてが想定外というこの新学習指導要領元年をどう乗り越えるか、校長のマネジメントと学校の組織力が問われる事態といえるでしょう。

学習内容の重点化とICTの活用推進がカギ

文部科学省では、このコロナ下における効果的な学習保障のための学習指導の考え方のひとつとして、「学校の授業における学習活動の重点化」を挙げています。これはたとえば、教師と児童生徒が関わる活動、児童生徒同士が関わる活動など、学校の場でしか行いにくい学習活動は学校で行い、個人でも行うことができる学習活動の一部を、家庭学習など授業以外の場で行うという考え方です。さらに、理科の実験・観察や音楽における合唱・リコーダー演奏といった、感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動については、指導順序の変更などの措置を講じるものとしています。

さらに、コロナ下での「主体的・対話的で深い学び」を実現するうえで大きなカギを握るのが、ICTの活用です。今回の休校期間においては、ICT活用の進んでいた学校とそうでない学校との間で、家庭での子どもの学びの質と量に明確な違いが見られました。再度の流行拡大に伴う休校措置に備えるという意味もありますが、オンラインだからこそできる学習活動、ICTだから得られる学習効果を追究するという意味でも、今後のICT活用推進はすべての学校における共通課題となるでしょう。

コロナ下においても、新学習指導要領の理念は変わることはありません。子どもたちにどんな力をつけていくのか。そしてそのためにできることは何なのか。皆で知恵を出し合い、この難局を乗り越えていきたいものです。

構成・文/葛原武史(カラビナ)

『総合教育技術』2020年11月号より

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