運動会の練習が楽しくなるアイデアと指導のポイント

特集
人気種目や演出アイデア&指導法がわかる!運動会記事まとめ
関連タグ

新学期がスタートして、まだまとまりきらない子供たちを上手に指導して、クラス一丸となって春の運動会に向かわせたいものですよね。子供たちが運動会の練習時から本番まで楽しく実践できるアイデアを紹介します!

運動会
写真/金川秀人

監修/東京都「学級づくり」研究会

中学年に対する運動会の指導ポイント

ポイント①:集合のしかたを含め、導入時に叱らない工夫をする

なかなか集合しない、話を聞いてくれないような場合、「静かにしろ」「遅い!」「集中しろ」などと叱ってばかりでは、練習に対する意欲も下がります。特に練習に入る導入は重要。教師も子供も笑顔で楽しく練習に入るように工夫しましょう。

例えば、競技によって集合の場所をそれぞれ決め、その日に集合する場所を子供たちに予想させてみる。集合したらすぐに楽しいゲームをするなど、集合のしかたをパターン化し、集合するのが楽しみになるような工夫を取り入れたいものです。

ポイント②:安全性について子供に考えさせる

中学年になったら、どうすれば安全に取り組めるか、子供たち自身で考えられるような指導も重要です。練習内容を切り替えるタイミングで、「今日の競技の安全ポイントは?」などと問いかけ、気を付ける場所や動きを考えさせ、なぜ気を付けるべきなのか、理由とともに発表させるのもよいでしょう。

ポイント③:練習の流れを視覚化し見通しをもたせる

子供たちが練習中に勝手なことばかりする原因の多くは、その日にすることの見通しがもてていないことです。練習の前に必ず練習の流れを簡潔に伝えてから、スタートしましょう。「今日の練習のポイントはコレだよ」と、フリップなどを使って視覚化すると、より分かりやすくなります。

ポイント④:運動会の体験をその後の学級経営に生かす

運動会では、練習から本番までその経験をその後の学級経営にどう生かすか、意識しながら取り組みたいものです。クラスの実態に合わせて、運動会の体験を子供の中にどう残し、どう成長させたいのかを考え、練習に取り組みましょう。

おとなしいクラスであれば、自分の思いを友達に伝えられるようになるという目標を立てたり、まとまりのないクラスであれば、みんなで協力し合うことの楽しさに気付かせたりします。集中力のないクラスなら、集中するとこんなに伸びるということを体験させるなど、クラスをどの方向に向かわせたいのかを考えて取り組むことで、運動会がより有意義な活動となるはずです。

練習が楽しくなるアイディア

練習前に集中力を高めるサイレンス・インパルス

練習前に集中力と団結力を高める簡単なゲームを取り入れます。

全員で円になり、スタートの子が右隣の人の手をギュッと握ります。手を握られた人は、また右隣の人の手を握ります。1周して最後に手を握られた人は、「来たー!」と大声で合図をします。

1周するタイムを短縮することを目標にして何度か取り組ませると、さらに集中力がアップ! 基本的に最後の子供以外は声を出さずに静かに取り組むゲームなので、「静かに!」などと叱る場面もなく、子供たちのやる気を維持したままスムーズに練習に入ることができます。

子ども「キター!」
先生「前回よりも2秒早いよ!」
イラスト/宇和島太郎

練習前にその日のMVPを表彰する

MVPというと、最後に最も活躍した人に贈られる勲章というイメージがありますが、あえて練習前に、「先生が今日一番期待している人」という位置付けでMVPを発表します。

表彰理由は、「前日しっかりと話を聞いていた」「片付けをがんばっていた」など、前日の様子を思い出して価値付けします。特に、教師がその日にみんなにがんばってほしいことをテーマに選ぶとよいでしょう。練習前に価値付けされることで、そういった行動が認められるなら自分もがんばろう、と思わせることがポイントです。

先生「今日のMVPはAさん。昨日しっかり片付けしてくれたから。今日も期待してるよ!」
イラスト/宇和島太郎

日めくりカレンダーで目標を可視化する

クラスの人数分に1枚分をプラスした紙を用意し、日めくりカレンダーを作ります(32人のクラスなら33枚分)。カレンダーには運動会までの日数と、「今日の一言」という欄を設け、一人ひとり目標を書いてもらいます。最後の1枚には、先生からのメッセージを記入。目標は、運動会で自分が一番大事にしたいことを書いてもらいますが、できるだけみんなと違うことを書くように伝えます。

カレンダーは、毎日朝の会にはがし、「今日の一言」を書いた子が、自分の目標を発表。はがしたカレンダーは教室の後ろに並べて掲示します。

運動会日めくりカレンダー
イラスト/宇和島太郎

本番を盛り上げるアイディア

みんなの思いを込めた学級旗で応援

クラス全員でオリジナルの学級旗を作ります。模造紙を用意し、旗の上部もしくは中心には、クラス目標を大きく書き入れます。さらに、いろいろな絵の具でクラス全員の手形を押し、乾いたら手形の上に、一人ひとりの目標や運動会に対する意気込みを書きます。

手の形のシールを作り、それぞれ目標を書いて模造紙や新聞紙に貼るのもよいでしょう。この学級旗は、運動会後のふり返りにも活用できます。運動会後に旗を掲示し、自分が書いた目標をそれぞれふり返らせ、先生が一つ一つの手形に花丸をしてあげましょう。

手形のオリジナル学級旗
イラスト/宇和島太郎

オリジナルのかけ声で応援を盛り上げる

クラスみんなでオリジナルのかけ声を考え、応援を盛り上げます。手拍子を入れたり、替え歌をつくったりするのもよいでしょう。

かけ声は、必ず練習の時から取り入れるようにしましょう。本番だけかけ声を入れると、緊張してしまったり、調子を崩してしまったりすることがあります。練習の時から全員で繰り返しかけ声をかけ合うことで、団結力も高まり、さらに本番の日も、練習の時と同じ気持ちで平常心を保ったまま競技に取り組むことができます。

子ども「白組~」「ファイト、ファイト、ゴー!」
イラスト/宇和島太郎

ジェスチャーで気持ちを伝える

クラスの代表だけが競技するリレーなどでは、離れた場所から応援を届けることになります。「落ち着いて!」「がんばって!」「もう少し!」など、気持ちを伝えるサインを考え、遠くにいる子に体を使ってメッセージを送るのもお薦めです。

体を大きく使ったジェスチャーや紅白帽を使ったサインをみんなで考えて練習しておきましょう。一人ひとりサインを送るだけでなく、みんなで一斉に盛り上げたいときには、タイミングを決めて、全員でウェーブを送るのもよいでしょう。

応援の子ども『ファイト~』『緊張しないで』
選手の子ども『緊張しないで……だね。よし、かんばる!」
イラスト/宇和島太郎

取材・文/出浦文絵

『教育技術 小三小四』 2019年5月号より

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
特集
人気種目や演出アイデア&指導法がわかる!運動会記事まとめ
関連タグ

学校行事の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました