小3・4外国語活動「思考・判断・表現」をどう見取るか

連載
英語授業Q&A特集:教科書編集委員が指導法やポイントを解説!

神奈川県公立小学校教諭

長沼久美子

外国語授業のアクティビティの中で、どのように思考・判断が行われているのでしょうか? 小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生に解説していただきます。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子

小3・4外国語活動:「思考・判断・表現」をどう見取るか
Pixabay

Q1 好きな色を1つ選んで、その色の文字について尋ね合う活動では、どのような思考・判断・表現を見取ることができますか。

(『Let’s try2』)P.25 アクティビティ2)

A.質問に答えようとする中で、また、質問者が質問をしようとする中で、思考判断しています。

この活動は、いわゆる「好きな色当てあそび」です。

私の好きな色は、なーんだ?

それって(その色を文字で書くと)bがある?

といったようにやりとりをしていく活動です。

相手が好きだと思われる色を当てるために予想する中で、子どもは、自然とアルファベットを目で追い、声に出して名称読みをします。

また、「Do you have~?」のフレーズを必然的に何度も使うため、短時間で学習要素が盛りだくさんの充実した活動ができます。

例えば、

(相手の)好きな色は何だろう?

と頭の中で考え、

もしかしてblueかな

と予想し、質問します。

この時、その色のつづりを頭でイメージしたり、教科書で確認したり、それを発話して質問しようとします。そして、

質問するには、Do you have~?を使うんだ

と考え、気を付けながら発話します。

このように、様々な思考・判断をしています。

問題を出している子も、自分の好きな色のスペルを頭の中に描いて、質問を受けることになります。その時も思考判断を必要とします。

考えて止まっている時間も聞いてから黙っている時間も、その子どもにとっては大事な思考・判断の時間です。

このような活動を通して、子どもは、英語の言葉がアルファベットの組み合わせでできていることに気づき、アルファベットの音を意識するようになります。

もし、答えにたどりつかなくて気を落としている子どもがいたら、どこで分からなくてやり取りが止まってしまったのかを聞いてあげるなどの支援をしてみてください。自分の分からないポイントが見えてくることで、もう一度、思考が働きます。

【関連記事】 小3・4外国語活動:アクティビティを通した「思考・判断」の見取りのポイント

Q2 「名前の頭文字カードをもらって、□にはろう」の活動では、どの辺りで思考判断が行われているのですか。

(『Let’s try1』P.25 アクティビティ)

A.相手の名前の頭文字を考えて尋ねたり、やり取りをしている時に、思考判断をしています。

この活動では、自分や友達の名前にどんなアルファベットが使われているかについて考えます。

特に、頭文字を中心に扱うことで、その文字を自然と読む活動となります。

この活動を通して、頭文字を意識することで、思考判断がはじまります。

例えば、頭の中で、自分の名前をアルファベットで書いたときを思い出し、頭文字は何だったのかを思い出したり、何かを見て確認したりという照合する作業が行われています。そして、頭の中で、

Aは、使われていない。私の名前は、Kから始まるんだ

と、自分の名前に使われているアルファベットを自覚していきます。友達の名前を聞く時も同じです。そして、その文字を持っているか聞く、その時も、どんな文字なのか、どういう名称なのかを考え、思い出しています。文字への認識を深めながら、自然と思考判断を繰り返しているのです。

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長沼久美子先生プロフィールイラスト

長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)

イラスト/横井智美

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