小3国語「ちいちゃんのかげおくり」指導アイデア
教材名:「ちいちゃんのかげおくり」(光村図書 三年下)
指導事項:「読むこと」ウ、オ
言語活動:ア
執筆/香川県公立小学校・高橋直美
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、香川県公立小学校校長・川井文代
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、物語を読んで、場面の移り変わりに注意しながら読むことがねらいです。時や場所だけでなく、出来事から場面を捉える力も付けます。そのうえで、様子や行動に気を付けて、場面と場面とを関係付けながら読むことで、場面の移り変わりに注意しながら読む力を身に付けていきます。
②言語活動とその特徴
本単元では、物語を読んで自分が一番心を打たれたところの感想を、根拠とともに伝えるという言語活動を設定します。物語を読んで感想をまとめるには、感動の中心を捉える力だけでなく、感動した根拠を説明する力が必要です。
ここでは、自分が感動したところを説明していくことで、必然的に場面の様子や移り変わりに着目して読む力を身に付けられるようにします。
単元の展開(10時間扱い)
主な学習活動
第一次(1~2時)
①既習の物語の感想を聞き、感想を伝えるには、場面の移り変わりを捉えることが大切であることに気付く。
【学習課題】物語を読み、場面のうつりかわりをとらえて感想を伝えよう
②「ちいちゃんのかげおくり」を読み、初発の感想から心打たれたところについて交流し、心を打たれた根拠を明確にしていく課題を確認する。
→アイデア1 主体的な学び
第二次(3~8時)
③④心を打たれたところと、その理由について交流する。
→アイデア2 対話的な学び
⑤⑥自分の選んだ物語について、場面の移り変わりに注意して、心を打たれたところと、その根拠をはっきりさせる。
⑦⑧選んだ物語について、心を打たれたところと、その根拠を入れながら、感想文を書く。
→アイデア3 深い学び
第三次(9~10時)
⑨⑩感想文を交流し、感じ方や考え方に違いがあることに気付く。
アイデア1 感動を伝えるうえで、場面の移り変わりを捉える重要性に気付く
第一次で、既習の物語の感想を聞かせます。はじめに物語の山場だけを取り上げた感想(→①)を聞かせます。
次に、前の場面とつなげながら心打たれたところを紹介したモデル(→②)を聞かせます。2つを比べることで、心打たれたところの感想を伝えるためには、場面の移り変わりを捉えることが必要であることに気付かせます。
▼①山場だけを取り上げた感想の例
がまくんとかえるくんが二人で玄関に座ってお手紙を待っている場面が温かい気持ちになりました。二人がうれしい気持ちで待っているからです。
▼②前の場面とつなげて書いた感想の例
がまくんとかえるくんが二人で玄関に座ってお手紙を待っている場面が一番心が打たれました。どんな手紙かというと、お手紙をもらったことのないがまくんのために、かえるくんが「しんあいなるがまくんへ…」という手紙を書いて、かたつむりくんに届けるように頼んだ手紙です。かえるくんは、がまくんにそのことを話してしまいます。それを知って、そして二人がうれしい気持ちで、その手紙を今か今かと待っている場面がとても温かい気持ちになりました。
心を打たれた場面を紹介するときは、前の場面とつなげて説明すると分かりやすいな。
アイデア2 心を打たれた根拠と場面の移り変わりをつなぐ
第二次では、自分が選んだ心を打たれたことについて、「前は~だったけれど、ここでは~~」「ここが最後の~につながっているから」というように、心を打たれるわけを説明していきます。
交流していくなかで、一番心を打たれたところを説明するには、場面の移り変わりを捉えたり、場面をつないで読んだりすることが大切だと気付くことができます。
▼板書例
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2019年10月号より