小5社会「貿易や運輸」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・小野優
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
目次
目標
交通網の広がりや外国との関わりなどに着目して、貿易や運輸の様子を地図帳や各種の資料などで捉え、貿易や運輸は、原材料の確保や製品の販売などにおいて、工業製品を支える重要な役割を果たしていることを理解できるようにする。

学習の流れ(6時間扱い)
問題をつくる(1時間)
○輸送手段や輸送するものについて考え、学習問題をつくる。
〈学習問題〉
日本の運輸や貿易には、どのような特色や役割があるのだろうか。

追究する(4時間)
○日本の交通網の広がりや輸送手段の特色について調べる。
○輸入品や輸出品の種類や貿易相手国、その取扱額について調べ、貿易の重要性について考える。

まとめる(1時間)
○日本の輸送や貿易の特色と役割についてまとめ、工業生産との関係をカルタにまとめる。
導入の工夫
前単元の学習を用いることで、工業製品とのつながりを想起しやすくし、他の輸送手段に目を向けることで問題意識をもつことができるようにしていきます。
日本で造られた自動車は、どこの国に、どのように運ばれるのでしょうか?
中国などの近い国もあれば、アメリカやヨーロッパなどの遠く離れた国にも運ばれているね。
自動車づくりの学習で見たように、船で運ばれるんだろうね。
いろいろな輸送方法を見てみましょう。何を運んでいるのしょうか?

原油は、いろいろな物の原料や燃料になるんだね。なくてはならないものだね。
自動車工場の学習では、関連工場が様々な部品をトラックで運んでいたね。
日本の中でも物が運ばれているから、トラックや列車で運ばれるものもあるんだね。
輸送方法によって運ぶ物に違いがありそうだね。どの輸送方法が多いのかな?
問題をつくる (1/6時間)
輸送手段や輸送するものについて考え、学習問題をつくる。
学習問題
日本の運輸や貿易には、どのような特色や役割があるのだろうか。
追究する(5/6時間)
日本がどこの国に輸出入をしているか、また、どのようなものを輸出入しているかを調べる。
資料活用の工夫
日本が世界の様々な国に工業製品を輸出していることや、多くの原料を外国から輸入していることを知り、貿易の重要性をつかめるようにしていきます。
日本の主要な輸出入先の国を、金額の多い順にそれぞれ5番目まで調べてみましょう。また、輸出入品についても調べてみましょう。
オーストラリアや中国からの輸入が多いのは、原料を買っているからじゃないかな?
日本の貿易相手は、世界中に広がっているね。
年々貿易額が多くなっているね。世界とのつながりも増しているんだね。
もしも、世界の国々と貿易ができなくなったら、日本はどうなってしまいますか?
原料がなくなるから、日本の工業製品のほとんどが造られなくなってしまう。
造るにも、造って売るにも、日本の工業にとって貿易はなくてはならないものです。
「日本の主な貿易相手国」と「輸出入の取扱額の変化」を関連付けて考えることが大切です。
単元づくりのポイント
新学習指導要領においては、「貿易や運輸」を独立して示し、それらが工業生産を支える役割を考えるようになっています。そこで、問題をつくる段階において、前単元の「工業のさかんな地域」の学習を想起させながら考える工夫をしました。追究する段階では、原料の輸入先や製品の輸出先、その量や価格について調べ、貿易や運輸が工業生産を支える重要な役割を果たしていることを捉えます。その際、「もしも貿易が止まったらどうするか」を想定するなどして、より具体的に工業生産における貿易の重要性を捉える工夫をすることも考えられます。
イラスト/横井智美、栗原清
『教育技術 小五小六』2019年10月号より