授業時数不足を乗り越える!7つのアイデア

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千葉県公立小学校校長

藤木美智代

コロナ禍の影響による時数不足にどう対応するか。今、どの先生も頭を悩ませていますよね。朝学習の取り扱い方、ノート指導の時短化…など、時数不足を乗り越えるための7つのアイデアを、ベテラン教師が提案してくれました。

執筆/千葉県公立小学校教頭・藤木美智代

時数不足を乗り越える7つのアイデア
写真AC

15分を積み重ねる

多くの学校が、朝自習、朝学習、朝読書、朝の読み聞かせなど、1時間目の前に15分程度の学習時間を設けていたと思います。これからは、この15分の帯タイムに正式な授業を行い、15分×3回で45分の授業としてカウントしていきます。

子供たちに掃除はさせないという方針が出ているならば、掃除の時間を15分の学習にあてることも可能でしょう。

漢字の学習、言葉の学習、計算練習、映像教材の視聴など、細切れでも有効な学習を取り入れましょう。

「主体的・対話的で深い学び」を妥協する

奇しくも今年度から本格的に始めようとしていた「主体的・対話的で深い学び」ですが、これを行おうとすれば、濃厚接触を避けることはできません。オンライン授業も進められている今、「主体的・対話的で深い学び」の充実を目指すことは難しいでしょう。できる範囲で、できることをしていくしかありません。多少は妥協するくらいの気持ちでなければ、限られた時間の中で授業を進めることはできません。

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ノート指導の時短化

これまでは教材研究の際、発問や指示、板書などを考えると同時に、ノート指導をどうするかまで考えていたと思います。

これからは、1時間ごとにワークシートを用意することをおすすめします。大事なキーワードを記入させたり、考えや感想を書かせたりすれば、時間短縮が見込まれます。1時間に1.5時間分の内容を詰め込むことも可能でしょう。

ワークシートはノートに貼らせるか、ファイルに閉じて、学習の軌跡を残すことも大切です。

下位の子は個別に指導する

これまでは授業の際、全ての子供が理解できるように、下位の子に合わせた展開をしていたと思います。しかし、これからは、中の上くらいの子供のレベルに合わせて、テンポよく授業を進めなくてはなりませんね。

だからといって下位の子をそのままにしていいわけではありません。時間を見つけて個別指導することが大切です。

授業の中で、早く終わった子が、まだ終わっていない子に力を貸すという場面をつくっていくこともできますね。もちろん、あまり密接にならないような注意は必要です。

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宿題は画一にしない

これまでは宿題といえば皆同じ、ドリル〇番だったりプリント配付だったりしていたと思います。しかし、これから習熟度別にしていく必要があります。下位の子には基本問題、中位の子には練習問題、上位の子には発展問題というようにすればいいでしょう。

学習指導要領には、「最低ここまでは押さえる」というレベルが明記されているのです。ですから基本問題さえクリアできればいいと腹をくくることが大切です。それ以上ができる子には機会を与え、自主的に進めていくよう促すようにすればいいのです。

家でできることは家で行う

3密に当たるから、物を共有するから、といった理由で、教室で行うことができなくなった学習があります。これからは、おうちの方に協力していただくようにします。

例えば、国語の音読、音楽の歌唱やリコーダーの練習、家庭科の調理実習、体育の二人組で行う体操などです。家庭で各自が音読したり、歌ったり、リコーダーを練習したり、調理したり、親子で体操したりするようにお願いします。

教科担任制を導入する

これまでは、音楽等の専科以外の教科をすべて、担任が行っていました。それだけでも大変なことなのに、コロナ禍においては、個別指導、宿題の点検、そして下校後の校内の消毒、掃除など、益々先生方のやるべきことが増えています。

先生方が元気をなくしたり、心身の健康を保てずに休職してしまったりするようなことがあっては、授業も進められなくなります。そんな事態を防ぐために、これからは、小学校でも教科担任制を導入してはどうでしょう。

国語、算数は担任が行うようにして、例えば4クラスならば、社会、理科、体育、家庭科などを一人一教科受け持つのです。そうすれば、教材研究に費やす時間が軽減されると同時に、自分の受け持った教科については詳細な教材研究ができます。効率よく進める授業展開も工夫できます。子供たちにとっても、教師にとっても好都合、一石二鳥ではないでしょうか。


いかがでしたか? 自分の学校でできそうなものから一つひとつ、取り入れていけるといいですね。

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