休校明けの荒れないクラスづくり|「居場所づくり」と「絆づくり」

一年中「荒れのない」学級にするために、担任教師は、「個と集団への対応のバランス」を意識することが大切です。そして今、コロナ禍の中でできることについて考えていきます。

執筆/神奈川県公立小学校総括教諭・青木洋俊

休校明けの荒れないクラスづくり|「居場所づくり」と「絆づくり」
イラストAC

「居場所づくり」と「絆づくり」どちらも大切

子供たちが落ち着いて学級生活を送るためには、担任による一人ひとりの児童理解を前提として、個への対応と集団への対応のバランスが大切です。

まず、個と集団という関係性の中で考えると、個への対応に比重が傾いている場合に、学級が落ち着かなくなることが見られます。一人ひとりをていねいに見ようとすること自体はよいことです。しかし学級には、自分に構ってほしくて騒いでしまう子など、さまざまな支援が必要な子がいます。そうした子ばかりに目が向きすぎると、他の多くの子たちは、「先生は自分たちを見てくれない」と不満を抱き、次第に学級が落ち着かなくなっていってしまいます。

逆に、集団ばかり見てしまう例もあります。さまざまな本などから指導方法などを学び、熱心に授業をしているけれども、形式的になってしまい、一人ひとりの児童理解に基づいた指導ができていないといったケースも見られます。それでは子供一人ひとりの「もっと知りたい」とか「分からないから質問したい」といった思いが満たされません。そうなるとやはり、「先生は自分のことを見てくれていない」と感じ、学級が落ち着かなくなっていきます。

また、学級経営や教科指導などを通した担任を主体とする「居場所づくり」ができているかということと、子供が主体となって自分たちで「絆づくり」ができているかということのバランスも大切です。

子供たちが落ち着かなくなるケースとして、教師主体で学級経営ばかりに目が向いている場合もあります。

教師がやるべきことを考え実践することは、悪いことではありません。しかし、子供たちが主体的に学級をよりよくしていくという視点が欠けると、指示待ちになったり、やらされ感が出てきたりしてしまいます。そうではなく、子供たちが自らの学級や学級生活をよりよくしていくという風土をつくることが大切です。

逆に、子供主体が大事だと考え、なんでも子供たちに任せるというのは、単なる放任になってしまい、必要な資質・能力を育むことができません。

教師主体の「居場所づくり」も子供主体の「絆づくり」もどちらも必要で、そのバランスをとることが大事なのです。

このような二つの軸のバランスを下図に整理してみました。それを基に、何を行っていけばよいかを考えていきましょう(資料参照)。

資料

右側の「絆づくり」に関しては、主に特別活動を通して育むものだと私は考えます。例えば、「絆づくり」について集団を育てる視点で捉えると、学級会や係活動、集会活動といった学級活動の⑴を通して育てる自治的能力に関わる内容が、その中心となると考えられます。

一方、「絆づくり」を個の視点で捉えると、個人のめあてを意思決定して実践する学級活動の⑵と⑶で育てる自己指導能力に関わる内容を大切に扱っていくことが必要であると考えます。こうした力を、学級活動を通して育んでいくことが大切です。

左側の「居場所づくり」に関する内容は、特別活動などの指導だけでなく、一日の大半を占める教科指導を通しても、実現したいところです。

「居場所づくり」について集団を育てる視点で捉えると、学びに向かう集団づくりを教科指導の中で行っていくことが大切だと考えます。教科指導の中で安心して「困った」「分からない」と言える学級風土であれば、学級が自分の居場所になると考えます。「居場所づくり」について個を育てる視点で捉えると、個に応じた指導が大切であると言えます。一人ひとりが「分かった」「できた」を実感できるように配慮したいものです。このような取り組みのバランスを意識して指導にあたると、経験が少ない教員であっても、比較的学級は落ち着くのではないかと考えています。また、経験があっても、どこかに傾いてしまうと、クラスも傾いていくことになるのではないでしょうか。

制約の中でも夢と希望を見出して実現していく

現在の新型コロナウイルスによる状況は、人類がこの百年の間、経験していないものです。ソーシャルディスタンスを確保し、対面で話さないということになれば、求められる資質・能力の育成も難しくなるのではないかと危惧されるところです。

しかし、5月15日に文部科学省より出された文書には、「学校教育ならではの学びを大事に」という説明がなされていました。その趣旨を踏まえると、さまざまなことを簡単に禁止するのではなく、制約の中でも必要な対策を講じたうえで、子供同士の関わりを大切にしたいものです。それがなければ、子供たちが学校に来て学ぶ意味がなくなってしまうことでしょう。

例えば授業の中でも、対面を避けた状態で隣の児童と相談するなど、対話を通して深く学ぶ場面をつくっていきたいものです。また、学級活動における自治的活動の場面でも、人との交流があるから禁止とするのではなく、どうすれば自分たちの思いを実現できるのかを主体的に考え、話し合い、合意形成を図って協力して実践していくことが大切です。学級集会で鬼ごっこを行うとしたら、「タッチができないから、タッチなしで影ふみだったら楽しめるよ」などといった意見が出てくるかもしれません。

教員が一方的に禁止にするのではなく、制約の中で夢と希望を自分たちで見出しながら実現していく経験こそ、予測困難な時代の中で、持続可能な社会の担い手として、必要になっていく資質・能力だと思います。

教員もそうした子供の思いを受け止め、寄り添いながら一緒に考えていくことが大切です。

こういう時代だからこそ、担任と子供、子供同士、「心は密に」ということが、重要だと思っています。

取材・文/矢ノ浦勝之

『教育技術 小三小四』2020年7/8月号より

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