小5外国語:スリーヒント・クイズの指導のポイントを教科書編集委員が解説します

連載
英語授業Q&A特集:教科書編集委員が指導法やポイントを解説!

神奈川県公立小学校教諭

長沼久美子

「スリーヒント・クイズ」では、1つ目のヒントから質問等のやりとりをしていい? それともヒントをすべて聞き終えてから答えるようにした方がいい? 効果的に学習が深まっていく指導のポイントについて、小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生が解説します。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子

英語のイメージ
写真AC

Q1 スリーヒント・クイズでは、3つのヒントを聞き終えてから答えたほうがいいですか。それとも、1つ目のヒントから質問等のやりとりをしてもいいですか。

(開隆堂『Junior Sunshine5』P.29)

A. 「ヒントを聞きたい」と思う場面設定が期待されます。3つのヒントをすべて聞いてから答えるように工夫してみてください。ただ、子供から質問が出た場合は、意味ある英語のやりとりに発展する可能性が高いので、積極的に質問できる時間を保障してあげてほしいです。

スリーヒント・クイズでは、答えを連想しにくいヒントから出題することが多いと思います。例えば、ウサギが答えなら、「ピョンピョンとぶ」よりも「白色」の方が、連想するものが多くなるため、ヒントとしては難しくなります。

このように3つのヒントの順序には意図が隠されているので、1つ目ですぐに答えてしまうのは、答える側が複数いる場合は聞く機会を失うことになるため、避けたいところです。

ゲーム性を取り入れていますが、「聞く」を優先させて、3つのヒントをすべて聞いてから答えを確認するように工夫しましょう。

ただ、ヒントを出したときに子供から質問が出た場合は、ちょっと立ち止まって、質問タイムなどを取り入れてみると、主体的な言葉のやり取りが展開します。

例えば、

Is it an animal?

Yes! That’s right.

などのように質問によってやりとりが自然に展開されるようになり、学習が深まっていきます。

Q2 アルファベットをなぞって練習するために、薄く文字が書かれています。子供がはみ出して書いたら、やり直す方がいいですか?

(光村図書『Here we go! 5』P.48.49)

A. 多少はみ出して書いていたとしても、やり直す必要はありません。学習のねらいは、大文字と小文字の形で気付きを引き出すことにあるからです。

ここでの練習は、大文字と小文字の形の違いや類似点に気付いてほしいことがねらいです。もちろん、はみ出さずに練習している子供がいたら、「丁寧に練習したね」と声をかけていきたい場面ですが、このページの練習だけで、4本線を正しく使って大文字と小文字を書けるようにならなければいけないということではないからです。

「はみ出ているからダメ」「やりなおし」を学習の軸にするのではなく、

書いてみて、何か気付いたかな?
似ているところはあるかな?

といったように、大文字と小文字の形に対する気付きに目を向けてください。

書写の硬筆で文字の形を意識して書く練習をするときは、マス目を使って指導します。その経験から、「はみ出さないように書きましょう」と、声をかけたくなるところですが、ここでのねらいは「大文字と小文字の形に注目させて気付きを促す」です。

ただ、原型がわからないほどはみ出ているときや、あまりにいい加減に書いている時には、さすがに「もう少し丁寧にやり直そうか」と、ひと声かけてみてください。

Q3.示されている単語を読めない子供がたくさんいます。カタカナなどで発音を書いて教えるような支援をしてもいいですか?

(啓林館『Blue sky 5』P.41)

A. 教師が英語の単語にフリガナをふって読み方を指導してはいけません。読めない子供には、発音を聞かせてあげてください。

動物園の掲示板を見ながら案内を聞き、質問に答える活動です。見ただけで読み方がわかる子供は多くはいないでしょう。

発音を聞き、子供自身が聞こえた音として、自分で単語にフリガナをふることは、全く問題ありません。しかし、教師が支援として単語にフリガナをふることはやめてください。

英語の単語には、母音ではなく子音で終わる音もあり、日本語にない音を聞いた場合は、人によって音の認識の仕方に違いが出てきます。

例えば「sea」にふりがなをふるとすると、「シー」と書く子供もいれば、「スィー」と書く子供もいます。名称を知っているアルファベットで「C-」と書く子もいるかもしれません。

子供自身が音を聞き、自分が知っている文字を使って、聞こえた音を文字化して書くことは問題ありません。

しかし、教師が黒板に「シー」と書いてしまうと、その瞬間から、「シー」と発音しているようにしか聞こえないという子が出てきてしまうのです。耳以外から他に受ける刺激がないときは無意識に聞こえていた音も、目で「シー」と読み、「シーなのだ」と思うことで、もはや「シー」としか認識できなくなってしまうことがあるのです。

読めない子供がいる場合は、ぜひ、ALTなどに読んでもらったり、音声資料などを活用したりして、声に出して発音を聞かせてあげるようにしてください。

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長沼久美子先生プロフィールイラスト

長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)

イラスト/横井智美

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