仲のよい学級づくりのために! 自己紹介&係決めでの「子どもへの声かけ」ポイント
新学期、中学年を受けもつ担任として、子どもを成長させながら子どもと仲よくなれる「声かけ」とは? 東京都公立小学校主任教諭 佐々木陽子先生から、子どもへの「声かけ」についてアドバイスをもらいました。
目次
【1】自己紹介の挨拶
初めての中学年担任や転勤したばかりの場合、経験は浅いけれど、親しみを感じてもらいつつ、子どもたちとつながるような自己紹介をしたいものです。どんな声かけが効果的でしょうか。
×言いがちなNGワード
「三年生(四年生)の担任になるのは初めてなので、いろいろみんなに教えてもらうこともあると思います。みんなと一緒に成長していきたいので、先生のことを助けてくださいね」
初任の先生など、経験の浅い先生ほど、子どもたちと一緒に成長していきたいという気持ちから、「初めてなので」と自分の経験のなさをアピールしがち。また転任したばかりの先生も、「先生はこの学校に来たばかりなので、この学校のことをみんな教えてね」などと、助けを求めるようなフレーズを使いがちです。
しかし、新学期の子どもは新しい先生にどのようなことを期待しているのでしょうか? 最初の挨拶では、子どもたちに助けを求めるのではなく、子どもたちをワクワクさせ、期待度を高めるようなことを「宣言」したいものです。
◎言い換え例
「先生は遊ぶのが大好きだから、曜日を決めて毎週先生と遊ぼうね」
「先生は誰かの長所を見付けるのが得意なんだ。みんなのよいところ、どんどん見付けるからね!」
子どもたちは先生と遊ぶことが大好き。初日に「みんなと遊びます」と宣言してくれると、子どもたちの期待度が高まります。また中学年では、進級をきっかけに「自分を変えたい」と思っている子も多いものです。
特に前年度に先生からマイナス面ばかり指摘されてきた子ほど、今年こそ変わりたい、先生に自分のよいところを見てもらい認めてもらいたいと思っています。だからこそ、「みんなのいいところを見付けるよ」と伝え、その場で「○○さん、姿勢がいいね」など、初日からどんどんほめていきましょう。
こんな言い方もOK!
「先生の好きなものは○○です」
自分の好きなものをたくさん話すこともよいでしょう。共通や共感は、子どもたちに好きになってもらうキーワードです。先生と共通の好きなものがあると子どもは安心感を持ち、「この先生にはなんでも話せそう」という印象を持ちます。
さらに、子どもたちの好きなものもたくさん聞いてあげるとよいでしょう。子どもに人気のYouTuberやお笑い芸人などをチェックしておくと話題も広がります。
【2】居場所をつくる声かけ
学級開きで行う係決め。中学年からは、係活動はお手伝い的な活動ではなく、学級のために役立つような活動内容や役割を自分たちで考えられるように「声かけ」も工夫しましょう。
×言いがちなNGワード
「係を決めます。学級に必要な活動はわかりますね」
「自分のやりたい係を選んで、リーダーと役割分担を決めてください」
学級開きの段階では、子どもたちに「このクラスには自分の居場所がある」という安心感を与えたいもの。そのためにも、子どもたちそれぞれが持ち場を持って活躍できる、「場所」と「システム」をつくることが肝心です。その一つが係活動です。
でも、中学年ではリーダー的存在がある程度決まっているので、その他の子は、そのお手伝い的な存在になってしまいがちです。そこで、係活動を決める際には、自分たちが活動をつくっていくという意識を高め、自発的・自治的な活動になるような声かけが必要です。
◎言い換え例
「クラスはみんなでつくるものだよね。先生は、一人ひとりが学級のために輝けるようなクラスにしたいと思っています。係もそんな活動にしたいよね。みんなも自分たちが学級のためにやってみたいことを考えてみよう」
最初に係活動を決める際、「一人ひとりが活躍できるクラスにしたい」という目標を掲げ、さらに中学年からは、誰かの指示で動くのではなく、自分から動くことが大事であることを伝えます。
「会社活動」などとネーミングを変えて、より創造的な活動にするのもよいでしょう。例えば、「歌が好きなので歌で学級を盛り上げたい」という係や会社ができたら、朝の会など、活動できる場を提供し、ほめて価値付けしてあげます。
すると、「好きなことを表現してほめられる」→「クラスに自分の居場所ができる」→「自信が付く」→「学習や学校生活にも意欲的になる」というプラスのサイクルが生まれ、「一人ひとりが輝く」というクラスの文化となります。
POINT 子どもの後ろに保護者あり!
新学期は保護者も新しい担任への関心が高いもの。帰宅後、子どもたちに「今度の先生どう?」と必ず印象を聞きます。だからこそ、初日から数日間の言葉がけは重要。自己紹介で自分の経験のなさをさらけ出すのは、そのまま保護者に伝わるのでNG。
保護者からの信頼を得るためにも、学級開きの段階では、子どものよさを引き出し、徹底的にほめることが大事です。子どもたちが自宅で、「今回の先生は私のこんなところをみんなの前でほめてくれたよ」などと報告すると、保護者は必ず好印象を持ちます。
イラスト/藤井昌子
取材・文/出浦文絵
『教育技術 小三小四』2019年4月号より