少しの工夫で好感度UP! 保護者との上手なコミュニケーションのコツ
新学年スタートの1か月は、子どもと同時に保護者との信頼関係をつくるために大切な時期です。人間関係づくりの上手なベテラン教師から、対保護者についてのアイディアを訊きます。
目次
学級通信で好感度UP!
子どものよさコーナーを作る
宇都宮大学私立小学校教諭 八巻修先生
学級通信のスペースを使い、一人ひとりの子どものよさを順々に紹介していきます。よさを掲載することで、保護者だけでなく、学級のみんなに伝えてくれるということが本人にとっても誇らしく感じられるようになります。
例えば、下校時、困っていた下級生に自分から声をかけて助けたことや学級会でクラスのためにアイディアを発信して皆が賛同したことなど。全員がバランスよくなるような配慮も必要です。
三角コーナーで保護者の参加を促す
埼玉県志木市立公立小学校教諭 藤井隆光先生
私は学級通信を毎週金曜日、A4(両面)1枚で発行しています。その学級通信に三角コーナーを設けています。ここでは、総合的な学習の時間で保護者にお手伝いを依頼したり、国語での短歌や俳句の学習時には、保護者の参加を募ることもあります。
連絡帳に書くには敷居が高い内容も、三角コーナーには抵抗がありません。教室には三角コーナーを入れる箱を用意しておき、保護者から預かったものを子どもが投函します。
連絡帳・電話で好感度UP!
子どもの成長や頑張りを伝える
東京都足立区立公立小学校教諭 相馬 亨先生
その日にあった子どもの成長や頑張ったことを、連絡帳か電話で保護者に伝えます。例えば、「今日とても嬉しかったことがあったのでお伝えします。ノートのふり返りに◯◯と書いてありました。学んだことをよく理解して学習をふり返ることが最近できるようになってきています。
これまで、学習のふり返りに何を書けばよいのかわからないと言っていたので、成長したな! と思います。今後もよろしくお願いします。」という具体的な内容です。普段、連絡帳や電話はトラブルなどがある時に連絡があると思われている保護者が多いので、とても喜んでもらえます。
自分にあげるミニ賞状を連絡帳に貼る
宇都宮大学私立小学校副校長 平塚昭仁先生
体育の単元や運動会等の行事が終わった後、一人ひとりに賞状を渡します。大きさはスナップ写真サイズ。その賞状には、「あなたは○○をがんばりました。」といった、○○の部分を書き加えられるようにしておき、一人ひとりが自分の頑張ったことを書き込みます。
それを連絡帳に貼り保護者にも見てもらいます。こうすることで、子どもたちの頑張りが保護者にも届き、感謝の言葉が多くなります。
欠席の子どもにも気遣う
兵庫県赤穂市立公立小学校教諭 東 豊先生
子どもが欠席した時にその日の朝一番で電話をします。私の地域の場合、病欠の時は連絡帳で伝えられることが多いのです。また、電話での連絡の場合、教頭が聞き、その後、担任が知るパターンがあります。その場合もすぐに折り返し電話をします。
また、朝、直接聞いた場合は、夕方、子どもの様子を聞くようにします。それは、電話をかけることによって我が子を気にかけてくれていると感じるからです。もし、相手が出られなくても、着信履歴が残っていることが大事です。とにかく「私はあなたのお子さんを気にかけていますよ!」というアピールをすることが重要です。
保護者会・個人面談で好感度UP!
スライドショーを見せる
東京都足立区立公立小学校教諭 相馬 亨先生
保護者会では、教師が一方的に話すのではなく、視覚でも訴えるスライドショーを使って学校での子どもの様子を具体的に示します。スライドショーでは、日頃から撮りためている授業風景、行事などの子どもたちの写真を使い、それらに音楽を付けて流します。個人の写真を一枚ずつ流して、それに子どもが書いたコメントを付けることもあります。
その後、保護者をグループに分けて、「宿題のさせ方」「お小遣いはどうしているか」「読書させるために」などのテーマで話し合いをするなど、保護者会を工夫して楽しい時間を過ごしてもらいます。その効果か、よく保護者のほうから話しかけてくださいます。
保護者紹介と合わせて子どもの長所を言う
埼玉県志木市立公立小学校教諭 藤井隆光先生
4月初めての保護者懇談会の時に、子ども全員をほめる方法です。ドキドキしながら行う保護者の自己紹介。教師から「〇〇さんは昨日落ちていたごみを拾ってくれましたよ」などと一人ずつ具体的にほめることで、「この先生はうちの子をしっかり見ていてくれる」という安心感につながります。
保護者自己紹介⇒その子どもの具体的ながんばりを伝える⇒次の保護者の自己紹介⇒その子どもの具体的ながんばりを伝える・・・これを繰り返します。
座席位置で親近感を演出
埼玉県志木市立公立小学校教諭 藤井隆光先生
個人面談の時、教師と保護者が正面に向き合うとお互い緊張しがちです。そこで、私は、少しリラックスして面接ができる座席位置を試みています。それは、机の配置は向かい合わせにしていても、座席位置例①のように、座席位置を斜めにすることによって対角線上で話をします。
机が広い分、子どもの絵や作品を見せながら、日ごろの活動を伝えることができます。また、座席位置例②も対角線上で話ができる位置になります。
その他の場面で好感度UP!
誕生日にコスプレ写真を撮る
宇都宮大学私立小学校教諭 八巻 修先生
帰りの会で、誕生日の子どもを中心にしてクラスの集合写真を撮ります。その際、100円ショップなどで購入した魔女のマントや帽子、「あなたが主役」といったタスキ、キラキラのモールハットやマント、各家庭で不要になった物の寄付などの小物で簡単コスプレをして撮影。
プリントアウトして誕生日の子どもに贈ります。持ち帰った写真は、どの家庭でも宝物のように大事にしてくれます。
表彰式の姿を写真に撮って贈る
宇都宮大学私立小学校教諭 八巻 修先生
全校朝会の時、子どもの表彰の姿を写真に撮って、プリントアウトして手渡しします。表彰は、年度はじめ、終わりの代表作文やスポーツ大会での表彰、ピアノ大会の表彰、四季折々の行事など様々です。
普段は見られない子どもたちの雄姿を撮って、クラスにある据え置きのプリンタで印刷して手渡します。それだけで保護者に大変感謝されます。簡単で手間もかからないので、実行しやすい実践です。
保護者の話は一旦全部聞く
兵庫県赤穂市立公立小学校教諭 東 豊先生
学校に不満があり話しに来た保護者とのコミュニケーションは、とにかく否定を一切せず、全て話を聞くことです。話の途中で、割って入ると、そこで話し手にフラストレーションが溜まるので逆効果になります。まずは、全ての話をその人の気が済むまで聞きます。
その後、要求は何かを聞き出し、学校でできることをきちんと整理し、最終的には保護者に決定を委ねます。要求への実行が無理な場合は妥協点を探し、やはり決定は保護者に委ねます。ただし、できないことはしっかりと断る勇気も必要です。それでも無理な場合は管理職を同席させましょう。
取材・文/浅原孝子
イラスト/フジコ
『教育技術 小三小四』2019年4月号より