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【木村泰子 緊急寄稿】虐待、貧困etc.……コロナ危機で苦しむ子どもたちに対し「今、できること」

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木村泰子の「学びは楽しい」【毎月22日更新】
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大阪市立大空小学校初代校長

木村泰子

本誌でもおなじみの大空小学校初代校長・木村泰子先生が、このコロナ禍の中でどれだけ子どもたちが苦しんでいるか、見過ごすことはできないと緊急寄稿してくださいました。子どもたちに関わる人間の一人一人が、この問題を真剣にとらえていかなくてはなりません。学校関係者、保護者の皆様、学校をとりまく地域の皆様、ぜひお読みください。

文/大阪市立大空小学校初代校長・木村泰子

木村泰子

木村泰子(きむら・やすこ)全教職員、保護者、地域の人々が手を取り合って「すべての子どもの学習権を保障する」学校づくりに情熱を注ぎ、支援を要すると言われる子どもたちも同じ場でともに学び、育ち合う教育を具現化した。『「みんなの学校」が教えてくれたこと』『「みんなの学校」をつくるために―特別支援教育を問い直す―』(ともに小学館)等、著書多数。

困っている子どもの声が届いていますか?

全国の先生たち、大変な状況が続いていますが元気にしていますか? 焦っていませんか?  笑っていますか? 今は何を一番大切にして仕事に向かっていますか。

ある日突然、休校の要請が出て目の前の子どもの姿が見えなくなるという現実を突きつけられました。それも、一年の最後のまとめの時期と、新たな集団での学びがスタートする学校での大事な時期です。外出を自粛してからは、社会の動向はメディアを通して見聞きするしかありません。そんな中で強く思うことがあります。それは、国が危機に遭遇すると、弱者の声は届かなくなるということです。言い換えれば想定外を乗り越える力は日常でしかつけられないということです。対応が後手に回ったり、人のせいにしたりする中で人の命が失われていくのが、今の日本社会の現実です。

他人事ではなく自分事として遭遇している危機を学校現場に置き換えると、先生たちが焦りを感じて困ってしまうと子どもたちの声が聞こえなくなることと同じだと思います。教育格差が……遠隔授業が……家庭教育で……評価は家庭教育の結果で……夏休み返上で授業日数の確保を……など、すべては「いかに教師が教えることを取り戻すか」に終始した報道しか入ってきません。家庭教育をこの間の学力の評価にするとの考えなどは、もってのほかです。従前の学校教育の中で「家庭教育」で全国学力調査の結果が上がるなどとの手段を鵜呑みにしてしまっている学校現場の姿勢も問い直す必要がありますが、この非常事態においても「子どもを主語に」学校教育を問いなおそうとしない声には怒りすら感じます。

オリンピックより人の命が大事であることを再認識した日本社会です。文部科学省の穴埋め対策に学校が寄り添っていませんか。文科省は学校現場の事実は知りません。一人一人の子どもがこの間、大人の指示で学校から遠ざかってどんなふうに毎日を生きているかなど、知る由もありません。

おそらく文部科学省も、今の状況では多くの規制を緩和せざるを得ない状況にあるはずです。文部科学省や教育委員会の指示に依存しないそれぞれの地域の学校の子どもの学びを問い直すことが、今の先生たちの優先すべき仕事ではないでしょうか。

この危機を乗り越えた先には、従前の悪しき学校教育を断捨離して、新たな学びの場としての「学校」をつくることが求められています。「子どもが学校に来る意義は何なのか」先生たち一人一人が「子どもを主語」に自分の考えを持ってください。

「先生」である前に「一人の人」として

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