小6社会「源頼朝と鎌倉幕府」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校主任教諭・吉岡泰志
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都公立小学校校長・杉渕尚

目次
目標
武士による政治について、平清盛や源頼朝、源義経、北条時宗の働きに着目して、地図や年表などの資料で調べてまとめ、源平の戦い、鎌倉幕府の始まり、元との戦いを手がかりに、武士による政治が始まったことを理解できるようにします。
学習の流れ(6時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○武士の様子について調べ、学習問題をつくり、予想する。
【学習問題】
武士は、どのように力を強めていったのだろう。
○学習問題についての予想を基に、学習計画を立てる。
追究する(3時間)
○平清盛が力を強めたことや、源平の戦いで、源氏が平氏を破ったことについて調べる。
○源頼朝が鎌倉に幕府を開き、武士による政治の仕組みをつくり上げたことについて調べる。
○北条時宗は、どのようにして元の軍を退けたのか、調べる。
まとめる(1時間)
○平清盛や源頼朝、源義経、北条時宗の働きに着目しながら、学習問題についての考えをまとめる。
問題をつくる
武士の様子について調べ、学習問題をつくり、予想する。(1/6時間)
導入の工夫
武士の館や貴族の屋敷の警備を担う武士の様子について調べた後に、貴族を退け、都を行進する武士の資料を提示し、それまで調べた武士の様子との違いから、学習問題につながる問いをもてるようにします。
武士が生まれた頃の様子について、調べてみましょう。

貴族の屋敷とは、様子が違うね。
畑仕事をしながら、武芸を磨いていたんだ。
武士というと、威張っているイメージがあったけれど、最初の頃は貴族の屋敷の警備が仕事だったんだね。
貴族よりも位が低かったはずの武士が、貴族に道を開けさせて、偉そうに歩いているよ。
もしかして、武士が貴族よりも力をもったのかなあ?
【学習問題】
武士は、どのように力を強めていったのだろう。
年表を基に、学習問題について予想してみましょう。2時間目は、皆さんが考えた予想を交流しながら学習計画を立てます。見通しをもって、学習を進めていきましょう。

まとめる
武士たちの働きを振り返り、学習問題について考える(6/6時間)
まとめ方の工夫
平清盛や源頼朝、源義経、北条時宗の立場に立って、その業績を振り返り、学習問題について自分の考えをまとめられるようにします。
それぞれの武士は、武士が力を強めていくのに、どのような働きをしたと言えるでしょうか?
それぞれの武士になったつもりで考えてみましょう。

「私は、貴族同士の争いの中で力を伸ばし、太政大臣にまでのぼりつめ、武士の力を強めたぞ。」

「私が兄と共に平氏を破ったことで、武士が源氏のもとでまとまり、力を強めることができたのだ。」

「私が鎌倉幕府を開き、武士による政治の仕組みをつくりあげたことによって、武士の力が強まったのだ。」

「私が元の大軍を二度も退けることができたのは、武士による政治の仕組みを基に、全国の武士の力を動員することができたからだ。」
平清盛は貴族の政治の中で力を伸ばしたが、平氏を破り鎌倉幕府を開いた源頼朝は、武士による政治の仕組みをつくりあげた。北条時宗が幕府の執権になる頃には、その力は全国に広がり、全国の武士の力を動員して元の大軍を退けるまでになった。
年表にまとめて終わりではなく、その年表を基に、それぞれの武士の働きについて交流し、学習問題について自分の考えをまとめることが大切です。
単元づくりのポイント
本単元では、源頼朝をはじめとした武士の働きを年表に沿って追究し、武士が力を強め、江戸時代まで続く武士による政治が始まったことを理解できるようにします。そのために、年表と絵図を対比的に示したり、地図を活用したりしながら、武士が全国に支配を広げていった様子をつかませたり、当時の世界の動きを大まかにわかる地図などを活用して、元が広大な領土をもっていた事実などを視覚的につかませることも大切です。
イラスト/横井智美、栗原清
『教育技術 小五小六』2019年6月号より