ベテラン教師が伝授!失敗しない席替え・班替えの極意

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久保齋の「先生のための学校」
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学力研 先生のための学校校長

久保齋

担任が保護者からも子供たちからも信頼を得るために「班や座席の決め方」は、決着をつけておかなければならない問題。席替えや班替えで失敗しない方法を、二年生を14回も担任された ベテラン先生が伝授します。

執筆/「先生のための学校」校長・久保齋

 学力研「先生のための学校」校長・久保 齋
学力研「先生のための学校」
校長・久保 齋

くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。

班や座席はくじで決める!
このテキパキ感が信頼を生む

若い先生のクラスがいつもガサガサしていました。理由は班や座席の決め方でした。

その若い先生は「Aくんは自分のことがなかなかできないから、Bさんに面倒を見てもらおう。CくんとDくんはいつもケンカをするから、一緒にできないし……」と夜遅くまで、ああでもないこうでもないと自分で考えて、それをクラスに提案し、子供たちの意見を少し聞き入れ、「これでいいですか !! 」「は~い」とやっていたのです。だから、子供たちにも保護者にも班決めをするたびに不満が蓄積していました。

それは当然のことです。意図があれば、それに対する反論は必ずあります。第一、誰もが納得のいく班決めなんてあり得ないのです。若い先生が子供の不満を募らせるような危険なことをどうしてするのか、ベテランの先生は不思議だったそうです。

その先生の班や座席の決め方は、すべて「くじで決める」やり方です。

子供たちや保護者には理由をこう説明します。「人生、誰と、どこで、どうなるかわかりません。だから座席はこれから1か月ごとにくじで決める。大切なことは、席をどう決めるかということではなく、班で一緒になった人とどれだけ協力して、よい班をつくり上げるかです」。さらに男女の並びについては「世の中、男のそばには女、女のそばには男、これが世の中の常識。何か文句あるんですか」ということで決着がつくそうです。

撮影/大庭正美

子供はくじが大好きだ

4月はいろいろあっても、5月からはくじで班を決めます。封筒に入った男女別の番号くじを毎月の月末に引かせて班を決めます。子供たちは席替えが大好きです。「そんなに喜んだら、今の班の人に失礼でしょう」と言っても、誰も聞きません。みんな、くじが大好きなのです。

仮性近視なので前の席に……というような事情の子は、班が決まってから班ごと入れ替えて、 前のほうに移動させます。こうすると、「くじで決まる」という原則を崩さずに保護者の要求を満たすことができるとのことです。

班活動は楽しさがいちばん大切

「先生のための学校」の集会で「班決めをどうしているか」を聞いてみると、講師陣はみんなくじだったので、若い先生方が驚いた様子だったことを思い出します。

「先生のための学校」の講師陣は、班の決め方ではなく、班で何をさせるのかに重点を置いてクラスづくりをしているのです。

では、何が班活動で大切なのかというと、それは楽しさを感じさせること。快適な情動が班活動を活発にさせる唯一の方法だとのことです。

班が決まったら、最初に班で取り組むことは、 お楽しみ会の班の出し物を何にするか、それをどう実現するかということです。1か月に一度のお楽しみ会が、クラスづくり、班活動の中心的な取り組みです。休み時間を活動の時間として取り組むと、1か月あればかなりクオリティーの高いものが実現し、それがクラスの文化となって、さらに子供たちがキラキラしてくるそうです。

班での話し合いの仕方、班運営の仕方などはしっかりと5月に教えてしまえば、その後は子供たちが自分たちで進めるのですごく楽に班活動が進んでいくそうです。

学級会やお楽しみ会の運営では、班長会に司会や書記などをやらせると、二年生はかなりうまくできます。その原動力は班長会議だそうです。先生は班長会議にはアドバイスをしますが、学級会の事案やお楽しみ会の運営には口を挟まないの が子供たちの力を引き出す秘密だそうです。

5月から班活動、学級活動をスタートさせましょう。

久保校長からひと言
さすがはベテランの先生ですね。クラスがガサガサするような危険なことはやらない。それよりも、できた班でどんな質の高い活動をやらせるかに多くのウエイトを置く。これがベテランの味だと思います。
班長会議にはどんどんアドバイスをするけれど、学級会やお楽しみ会は班長会に仕切らせるというのも、子供集団を育てる基礎基本だと思います。
5月はクラスづくりの出発点です。イメージ豊かにクラスづくりを始めましょう。

『小二教育技術』2018年5月号より

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