「◯◯の資料どこ?」と聞けば、AIが秒で答えてくれる!生成AI活用「学年チャットbot」の作り方

大好評の「生成AIフル活用シリーズ」第6弾。学年の仕事に関する全情報を一元的に集約して作った「学年共有チャットbot」に、「4月の学年集会で子どもたちに話したことを箇条書きで教えて」「運動会の当日の職員の動きと、それぞれの分担を表にして」 などと尋ねるだけで、数秒で必要な情報を教えてくれる―――。今回は、そんな画期的な「学年チャットbot」の作り方をご紹介します。具体的な作成手順の解説は有料パートとさせていただきましたが、けっして損はさせません。ぜひお求めください。
執筆/鈴木優太(宮城県公立小学校教諭)・大内秀平(宮城県公立小学校教諭)
目次
1 職員室に溢れるデジタル迷子
「去年の引き継ぎ資料が見当たらない…」
「校外学習は、どのルートを通ったのかな」
「あの件、先月の学年会でどう決まったんだっけ?」
GIGAスクール構想のもと、1人1台端末が当たり前になり、学校のデジタル化は確実に進んできました。職員室でも、クラウド上の共有ドライブにファイルが保存されるのが日常の風景になっています。しかし、ここで1つの皮肉な現象が起きています。それは、資料のデジタル化により、「どこに何があるか分からない…」と頭を抱える先生方が急増しているという事実です。私たちはこの状態を、デジタル迷子と呼んでいます。
共有ドライブの中には、「令和◯年度」「行事」「会議録」といった無数のフォルダが複雑な階層を作り、似たような名前のファイルが乱立しています。膨大なフォルダ階層を行き来して一つの資料を探し出すだけで、朝や放課後の貴重な時間が削られていく……。
この悩みを解決する画期的なアプローチがあります。
「チャットbot」の構築です。
知りたい情報をAIに「尋ねる」だけで、ものの数秒で目的の答えにたどり着けます。今回はそんな魔法のようなシステムの作り方をご紹介します。
2 今すぐできる!「学校チャットbot」
まずは、最もシンプルな活用法から始めてみましょう。使用するのはNotebookLMです。
NotebookLMは、自分が指定した資料だけを情報源として回答してくれる、Googleが無償で提供しているAIアシスタントです(Googleトップ画面右上の9点リーダーから開くことができます)。
一般的な生成AIとは異なり、アップロードしたPDFやWebサイトなどの特定の資料のみを読み込み、要約や質問への回答を行います。そのため、AI特有のハルシネーション(嘘)が起きにくいのが最大の特長です。正確性が求められる校務には、まさにうってつけのツールです。
作り方はたったの2ステップです。
① NotebookLMを開き、「新しいノートブック」を作成する
② 学校の「教育計画」などのPDFをアップロードする
あとはチャット欄に質問を打ち込むだけです。
「今年度の重点目標を教えて」
「運動会の日時と雨天時の対応を教えて」
「生活科の年間指導計画で、2学期に扱う単元は?」
これまで分厚いファイルをめくって探していた情報が、まるで会話をするように尋ねるだけで、数秒で手元に届きます。教育計画のPDFをアップロードするだけで完成する、最も身近で頼もしい存在が「学校チャットbot」です。
さらに、PDFだけでなく、WordやExcelのデータを読み込ませることも可能です。
例えば、校務分掌で前任者から引き継いだ膨大なデータを全てアップロードすれば、あっという間に専用の「校務分掌bot」を作ることもできます。
3 学年運営が変わる「学年共有ドキュメント」
さて、ここからが本題です。たしかに「学校チャットbot」は手軽で便利です。しかし、情報源がPDFとなると、作成や更新にどうしても手間がかかります。学年の日常的な情報を更新するたびにPDF化してアップロードし直す……。例えば,先週の学年会で決まったことや来月の行事の分担表などを、毎回PDFにまとめて運用していくのは現実的ではありません。
また、学年会の記録が個人のパソコンに眠っていたり、共有ドライブの奥底に散乱していたりする状態では、いくら優秀なAIでも十分に力を発揮できません。
そこで強力な武器となるのが、 Googleドキュメントで作るデジタル共有ノートです。
それも、「学年共有ドキュメント」を作るのです。
学年の情報はすべてこの一箇所に集約します。
驚くべきことに、このGoogleドキュメントを更新すると、連動して「チャットbot」の知識も自動でアップデートされます。これがこのシステムの最も画期的なポイントです。
AIとの連携を抜きにしても、この「学年共有ドキュメント」を1つ作るだけで学年運営は劇的にスムーズになります。まずは、その3つの利点からご紹介します。
① 最もシンプルな「ポータルサイト」
このドキュメントは、学年の先生方が毎日必ず開く「ポータルサイト」として機能します。学年に関わることであれば、ここを開くだけでどこでも必要な情報にジャンプできる、簡易ホームページのような機能を果たします。作成に当たって、特別なウェブ制作の知識は一切不要です。
ドライブ上の各種データ、授業の教材となる動画、参考になるWebサイトなど、この一つのドキュメントにリンクURLをペタペタと貼り付けていくだけです。「あの資料、どのフォルダに入れたんだっけ?」と探す手間はゼロになります。
② 若手の強みも輝く「提案のハードルの低さ」
情報を一元化することで、共有したいアイデアを「いつでも・誰でも・どこからでも」入力し、閲覧できるようになります。スマホからでも可能です。これがチームづくりにおいて極めて重要な意味を持ちます。
これまでの学年運営は、どうしても学年主任からのトップダウンの発信になりがちでした。
しかし、共有ドキュメントというフラットな場があれば、「次の集会の内容の原案を載せておきました」「この動画、次の単元で使えそうです」「こんな教材を作ってみました」……と、誰もが気軽にリンクを貼って提案できます。
学年主任にとっては1人で仕事を抱え込むことなく、若手の先生にとっても存分に強みを生かして活躍できる、協働的な学年チームがこの「共有ドキュメント」を媒介にして生まれるのです。
③ タブ機能が生きる「最強のデジタルインデックス」
Googleドキュメントの「タブ機能」を活用します。
「挿入」→「スマートチップ」→「日付」を選択すると、日付を挿入することが可能です。タブの日付を選択すると、その日に記入したドキュメントにジャンプします。これが最もシンプルな運用法です。

単なる文字の羅列ではなく、見出しやタブで整理された情報は、そのまま検索性の高い立派な「議事録」になります。さらに「学年会記録」「行事計画」「学年だより」などとページを分けることができます。
「リンク集」を最も下段に設けておいて、各学級の時間割表や特別教室使用割当表、ワークシート類やオススメサイトのURLなどをペタペタ貼っておくようにします。
時系列でフォルダに埋もれていくこれまでの記録とは違い、いつでも瞬時にアクセスできる「デジタルインデックス」として機能するのです。

この「共有ドキュメントに情報を集約する」というシンプルな手法は、教員間の校務にとどまりません。例えば、学級の子どもたちや保護者との「連絡帳代わり」に日々の持ち物や予定を共有し、高学年の「委員会活動のホームページ」として児童自身が活動記録を更新していくことも可能です。
情報をポータルサイト1箇所に集約するという原則は、学校内のあらゆる場面で効果を発揮します。
Googleドキュメントには「レイアウトを気にせず気軽に記録できる」「編集した内容がリアルタイムで自動更新される」という強みがあります。手軽さと即時性の両立こそが、日々の記録を継続するうえでの最大の武器です。
4 「学年チャットbot」を生み出す
本当の衝撃はここからです。
この「学年共有ドキュメント」に日々蓄積されていくデジタル化された記録は、今年度の仕事の生産性向上に貢献するだけではありません。なんと、そのまま「未来への投資」になるのです。
「4月の学年集会で子どもたちに話したことを箇条書きで教えて」
「宿泊学習の下見で、危険箇所として挙がっていたのはどこ?」
「運動会の当日の職員の動きと、それぞれの分担を表にして」
と注文するだけで、行事等の計画、準備が画期的に効率化されます。

さらに画期的なのは、元のGoogleドキュメントを更新すれば、その内容がNotebookLM側にも自動的に同期されることです。これが、Googleゆえのドライブ連携の強みです。
「学年共有ドキュメント」という土台に情報をペタペタと貼り付けておけばおくほど、AIチャットbotはどんどん賢くなり、あなたを助けてくれる優秀なアシスタントに成長していくのです。
**↓↓↓ 以下、有料パートで、この「学年チャットbot」の具体的な作り方と、日々の業務をさらに劇的に効率化する応用テクニックを紹介します。損はさせません。ぜひご購読ください! ↓↓↓**
鈴木優太(すずき・ゆうた)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1985年生まれ。2013年より教育サークル縁太会を主宰し、アイデアに富む教育実践と学びの場づくりに定評がある。最近著に『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房・3月31日発売予定)があり、『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)はベストセラーを記録。みんなの教育技術では5年にわたり連載を担当、現在は「子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア」を連載中。
大内 秀平(おおうち・しゅうへい)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1994年生まれ。文部科学省の在外教育施設派遣として、シンガポール日本人学校に3年間勤務。探究的な学びを軸に、総合的な学習の時間やICTを活用した授業づくりに取り組んでいる。Google認定教育者。共著に紺野 悟・大野睦仁/編著『どの教科でも通用する授業づくりのワザだけ集めました。』(明治図書出版)、阿部隆幸/編著『学級経営DX 60のエピソードで示すデジタル活用の実践』(学事出版)などがある。





