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体育授業が落ち着く授業開き~最初におさえておきたい3つのこと~【絶対うまくいく! 体育の超マネジメント#1】

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教科書がない科目、体育。体育を指導する教員の立場から見ても、指導内容を学ぶための資料が他教科に比べて少なく、なかなか難しいと感じている方も多いと思います。また、あまり運動や体育が好きではない先生も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、実技というよりも「マネジメントする」体育を重視。どんな先生や子どもにとっても分かりやすく、また学級づくりにも役立つような体育のノウハウを共有します。

「集合がなかなかできない」「説明をしても子供が聞いていない」――体育の授業でこのような悩みを感じたことはありませんか。体育は教室とは違い、動きや興奮が生まれやすい授業です。だからこそ、年度初めの「授業開き」で基本となる約束や動き方を共有しておくことが大切になります。今回は、体育授業を落ち着いて進めるために、最初におさえておきたい3つのポイントを紹介します。

執筆/環太平洋大学次世代教育学部講師・中安翼

「安全」に「楽しく」

体育の授業開きでは、まず「安全」と「楽しさ」について、しっかり子どもたちに伝えましょう。体育は体を動かす楽しさを味わえる授業ですが、その楽しさは「安全」の上に成り立っています。そのことを子どもたちが理解していることが体育づくりの土台です。まずは、しっかり以下のような話をしましょう。

先生は、みんなと楽しく体育の授業ができたらいいなと思っています。でも、楽しく授業をするために、これだけは大切にしてほしいことがあります。それが『安全』です。
どんなに楽しくても、ケガをしてしまったら楽しくなくなってしまいます。だから体育でいちばん大切なのは安全です。
安全に気をつけるなら、運動をしないのがいちばん安全ですね。でも、それでは体育の学習にはなりません。だから、防げるケガは防げるようにしましょう。そのために必要なのは、先生の話をよく聞くことです。ふざけたり自分勝手な行動をしたりしないことも大事。今、みんなは真剣に話を聞いてくれているよね。集中して聞けていると、ケガはしにくくなります。皆さんは今、とても素晴らしいと思います。

また、安全は体のケガだけではないということも子どもたちに話します。

ケガというと、血が出たり骨折したりすることだけではありません。実は、心のケガというのもあります。からかわれたり、ひどいことを言われたりすると心が傷つきます。心のケガは見えにくいです。だからこそ、自分の言動が人の心を傷つけていないか気を付けながら、心のケガも防いでほしいと思います。

体育の活動では、つい言葉が強くなったり、相手をからかったりしてしまうことがあります。だからこそ、授業の最初に「心のケガ」という言葉で伝えておき、子どもたちが言動にブレーキをかけやすくするのです。そして私は最後に、

先生は、この安全に関してだけは厳しいです。もし誰かの体や心をわざと傷つけようとする人がいたら許しません。また、活動中に先生が危険だと判断したときは、どんなに楽しくても一度止めます。これはみんなの安全のためです。わかってくださいね。

と伝えます。このように話すと子どもたちは真剣に聞き、納得します。子どもたちは「体育の楽しさは安全の上に成り立っている」ということを理解し、自分から安全に気を付けて活動するようになります。

楽しむのは自分だけではなく「みんなで」

「ケガ」からの流れで理解しやすいので、体育の「楽しさ」についても丁寧に伝えておきます。

体育は楽しくしたいよね。でも、楽しむっていうのは『自分だけが楽しければいい』っていうことかな?

すると多くの子どもが

違う!

と答えます。そこで続けてこう伝えます。

そうだよね。体育は、みんなが楽しめる方がいいよね。頑張っている友達がいたらバカにしたりからかったりするのではなく、応援したり、一緒に挑戦したり、アドバイスしたりしましょう。そうすればみんなで楽しみながら高め合える体育になると思います。そんな体育をつくっていきましょう。

『みんなで楽しみ高め合う』という考え方は、体育の授業をつくっていく上での基本になります。

自分だけが楽しむのではなく、友達も楽しめる体育を目指すことが、授業を安定させることにつながるのです。

遊びから自然に、教員の指示や話を聞く姿勢を

上記の話を丁寧にすると、時間にして5〜10分ほどになります。そろそろ、子どもたちの集中力も限界です。このタイミングで、子どもたちに身体を動かさせてあげましょう。最初は楽しく、余計な説明の不要な「鬼ごっこ」が良いでしょう。

しかし、ただ子どもたちを遊ばせるだけではなく、今後の授業運営につながる内容も入れます。
ゲームを開始する前に、子どもたちに合図を2つ教えます。
ここでは太鼓での合図を例にしますが、ホイッスルでも同様にできます。

  • 太鼓を「ドドドドド!」と連続で鳴らしたら、先生の近くに走って集合する
  • 太鼓を「ドン・ドン・ドン」と3回鳴らしたら、その場で止まって先生の方を向く

さあ、子どもたちお待ちかねのゲームの開始です。しばらく遊ばせて、途中で「ドン・ドン・ドン!」と太鼓を鳴らします。はじめのうちは鬼ごっこに夢中になり、止まるのが遅れる子もいます。しかし、周りの子が止まっていることに気づき、少しずつ反応が早くなっていきます。

その後また鬼ごっこを再開し、再びタイミングを見計らって静止の合図を出します。
時には「ドドドドド!」と鳴らして集合させます。

集合は「バームクーヘン」の形で

集合の際には、素早く集まれた子や遠くから走ってきた子を積極的に褒めましょう。
また、安全に活動できていたか、みんなで楽しく運動できていたかも確認してください。
そして、集合の形として、なるべく教師の近くから扇形に広がるように集まることを伝えます。
例えば、

バームクーヘンのように集まりましょう。

と伝えます。バームクーヘンの形は誰でもイメージできますので、子どもたちも容易に教師を中心とした曲線状の並び方を把握できるでしょう。もし隙間があれば、こう声をかけます。

スカスカのバームクーヘンは、虫に食べられているみたいでおいしくありません。ぎゅっと詰まったおいしいバームクーヘンにしましょう。

すると子どもたちは自然と動き、コンパクトな集合隊形ができあがります。集合がコンパクトになると、指示が通りやすくなり、私語も減ります。

「ガチャピン座り」で話を聞く姿勢をつくる

集合したら、次に指導するのが話の聞き方です。いわゆる体育座りですが、私はこの言い方を使わず、「ガチャピン座り」と呼んでいます。


中安翼(なかやす・つばさ)
1983年生まれ。広告会社の営業マンから小学校教員に転職。岡山市公立小学校や岡山大学附属小学校の教諭を経て、2025年より環太平洋大学次世代教育学部講師。小学校教員としては体育専科や体育の教科担任を合計10年間経験。15年間で60学級の体育を年間指導してきた。「第38回東書教育賞」最優秀賞「第23回ちゅうでん教育大賞」教育優秀賞など、体育の実践論文における受賞多数。新著に『はじめての小学校体育専科』(アメージング出版、2026年)がある。


イラスト/坂齊諒一

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