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情報活用能力とは「活用」と「適切な取り扱い」と「特性の理解」【次期学習指導要領「改訂への道」#40】

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中教審レポートと関係者インタビューで綴る 次期学習指導要領「改訂への道」
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前々回から、ICT教育の先進校である茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校の教頭であり、同分野の中央教育審議会ワーキンググループの委員も務める、総則・評価特別部会の中村めぐみ委員にお話を伺っています。 今回は、中村先生の学校で取り組まれている、情報活用能力の育成などを中心にお話を伺っていきます。 

情報活用能力とは「活用」と「適切な取り扱い」と「特性の理解」【次期学習指導要領「改訂への道」#40】 バナー

探究や各教科等の中で学びの基盤として働く情報活用能力

情報活用能力の育成については、それ自体が育成すべき資質・能力の柱として明示されていますし、その育成は総合的な学習の時間(小学校)と技術科(中学校)の時間の中だけで行うべきものではありません。どの教科にも情報活用能力という言葉として示されており、特定の教科だけで育む資質・能力ではないというイメージをもっていただきたいのです。 

もちろん、次期学習指導要領の技術科の中では、より高度で系統的な情報活用能力の育成ができるのだと思いますが、それはあくまで技術科の中で取り上げる情報活用能力という狭義なものになると思います。それに対し、探究や各教科等の中で基盤として働く情報活用能力は、子供たちがデジタル学習基盤を活用して、多様な情報を入手したり、発信したりすることを常に行いつつ、学びが展開されていく過程で育まれる、広義の資質・能力で、これが学びの基盤なのだと思っていただきたいのです(資料1参照)。ですから、探究や技術科の中だけで取り扱うものだと誤解されないように、私も先生方に伝えていきたいと思っています。 

資料1

情報活用能力の育成に関わる各教科等の関係
総合的な学習の時間や情報・技術科(仮称)で身に付けた情報活用能力が各教科等で効果的に機能することにより、より確かな力となる(情報・技術ワーキンググループ資料より抜粋)。

この情報活用能力の育成については、表現として変わったところがあります。情報活用能力については、これまでは「情報活用の実践力A 」と「情報の科学的理解B 」と「情報社会に参画する態度C 」と示されていたものが、情報技術の「活用」と「適切な取り扱い」と「特性の理解」に整理し直されました(資料2参照)。これは、小中高通じた育成体系の強化や、生成AIが入ったことも少し影響をしているでしょう。 

これらは、情報リテラシーを身に付けていくことを大前提として行われる情報活用能力の育成だとすると、技術や探究の中だけで情報リテラシーを教育できるものではないので、全ての教科・領域で情報を取り扱うときに発生する場面を通して育成していくことが必要です。例えば、社会科で情報を集めて自らの考えで書き換え発信していくのであれば、著作権や真偽のファクトチェックが教科学習の中においても必要になってきます。 

ですから、先生方も、「探究の中で情報リテラシーを身に付ける」とか「技術科だから情報リテラシーをやる」とかと考えるのではなく、どんな教科でも情報を取り扱う時には基盤となるリテラシーを身に付けさせるという意識をもってほしいのです。もちろん、「探究」や「技術科」の中で特出ししてやることが必要な部分もありますが、常に情報モラルという視点をもっていなければなりません。 

資料2

情報活用能力として育成すべき資質・能力を体系的に整理するイメージ
情報活用能力として育成すべき資質・能力は、「情報技術の活用」「情報技術の適切な取り扱い」「情報技術の特性の理解」に整理された(情報・技術ワーキンググループ資料より抜粋)。

今はデジタル学習基盤があるわけですから、子供たちは常に発信が可能になります。ですから、先生は常に「この言葉を発信したときに、他者が見たらどう思うか」という視点をもっていなければなりません。そうなると、道徳で学ぶことも必要になってきます。その前提として、学習指導要領改訂の1つの視点であるwell-beingを踏まえ、自分にとっても他者にとってもよりよく情報が受け渡しされなければならないと考え、道徳の中で学ぶことも重要なのです。 

それが、「情報モラル教育」という狭義の学びで取り扱えばよいと思われてしまうと問題であると思います。例えば、自治体調査の中でも、「情報モラル教育を何時間やりましたか?」というような質問項目の調査が行われることがあります。そうすると、「〜時間やらなきゃいけない」「〜時間やればいい」と勘違いしてしまうのです。しかし、先にも触れた通り「情報モラル教育を特出しで〜時間やればOK」なのではなく、「そういう視点をもちましょう」「それを全体に波及しながらやっていきましょう」ということが大切で、そのような発信が必要です。それがないと、各論で「〜時間やれば…」と取り違えられてしまう危険性があり、そこが気になるところです。 

理念を社会全体や保護者にも理解してもらうことが必要

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