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次期学習指導要領が出るまで待っていたのでは出遅れる【次期学習指導要領「改訂への道」#37】

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中教審レポートと関係者インタビューで綴る 次期学習指導要領「改訂への道」
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これまで、全国連合小学校長会常任理事であり、中央教育審議会の総則・評価特別部会委員として学習指導要領の方向性の具体的な議論に参加されている、東京都武蔵野市立第二小学校の松原修校長にお話を伺ってきました。最終回となる今回は、デジタル学習基盤や学習指導要領改訂に向けて現場の先生方に意識していただきたいことなどを伺っていきます。

次期学習指導要領をどう生かすかは、教員の姿勢次第【次期学習指導要領「改訂への道」#34】
校長は学習指導要領改訂の方向性を発信していく必要がある【次期学習指導要領「改訂への道」#35】
♦本校で考えていることは、まずは40分授業に挑戦すること【次期学習指導要領「改訂への道」#36】

次期学習指導要領をどう生かすかは、教員の姿勢次第【次期学習指導要領「改訂への道」#34】バナー

授業の中で使えるような動画教材のようなものがあるとよい

学校にとって大事なポイントとして、もう1点お話ししたいのは、「デジタル学習基盤」に関わるところで、小学校では総合的な学習の時間の中に「情報の領域」を付加する方向で検討が進んできたことです。

GIGAスクール構想以降、ガイドラインも示され、現場ではデジタルや情報、端末をどう扱うかということで試行錯誤してきましたが、教員養成段階で共通に学んだわけではないため、まだまだ教員間で個人差があります。そのような中で、一定の時間が確保され、内容の定着や着実な育成を図っていくことはよいことだと思います。

具体的な内容や育成すべき資質・能力が次期学習指導要領に示されれば、現状よりも取り組みやすくなります。しかし、それだけでは、次にどんな授業を組み立てるかという点で、まだまだハードルが高いと言えるでしょう。ですから、学習指導要領に示され、ガイドライン的なものができるのかもしれませんが、それに加え、授業の中で使える動画教材のようなものがあるとよいだろうと思います。

またGIGA端末導入以降、「まずは慣れましょう」ということで、現場はどんどん端末を使うというステージにあったと思います。しかし、一定程度慣れてきた今は、「より効果的な活用をする」という次のステージがあると思います。論点整理にも、「情報技術は変化が極めて激しいことを踏まえ、教師の負担を軽減する動画教材等を国が提供・更新すべき」とあります(資料1参照)が、より効果的な活用を図るという意味でも、活用場面を想定した動画教材があるとよいだろうと思います。

資料1

具体的な方向性と論点
「改訂を支える十分な条件整備」として、2点目に「動画教材などを国が提供」としている(教育課程企画特別部会「論点整理」より抜粋)。

もちろん、そのような動画があったとしてもすべてをそのまま見せるのではなく、必要に応じて教員が判断し、場合によっては一部を見せるだけでもよいでしょう。例えば、探究の過程で情報検索を初めて行う必要が生じたときに、子供たちの「どうやって調べたらいいの?」という声に対して、「じゃあ、検索ってどういうことなのか、どんなことに注意しなきゃいけないのか見てみよう」と一緒に見る流れが想定されます。つまり、子供の側に何の必要感もない状況で、「今日は検索を勉強します」と言って動画をそのまま見せるのではありません。

図書室を初めて使うときも最初に図書室の使い方を学びますし、言葉を調べるために辞書の使い方を学びますが、同様にデジタルも学習の過程で「必要感」が生じたときに学ぶことが重要です。そのときに情報活用能力に関わる動画教材などがあれば、「ICTは苦手だな」という思いのある教員でも安心して授業が進められるでしょう。

情報技術の進展の速さも学校で指導していく上では課題です。技術の進歩からあまりに遅れてしまうと教育は妥当性を失ってしまうことも考えられますが、そこへの対応を教員の努力だけに求めると過度な負担が生じることになります。その点からも、先のような動画やデジタル教材、手引きなどの更新で対応していただければ、現場としてはありがたい限りです。現行の学習指導要領の下でもそのような教材などがどんどん充実していくと、学習指導要領の改訂を待たずに、地域や学校の差を埋めていけると感じています。

「主体的な学び」をもっと大事にしてほしい

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