「学習性無力感」とは?【知っておきたい教育用語】
自己効力感が持てず、「何をやってもダメだ」という心理状態に陥ってしまう子供がいます。こうした「学習無力感」はなぜ生じ、どう克服すればよいのでしょうか。「学習無力感」という概念およびその対応について解説します。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

目次
学習性無力感とは
【学習性無力感(Learned Helplessness)】
自分の行動と結果との間に因果関係が見いだせない経験が繰り返されることで、「何をしても状況は変わらない」と認知してしまう心理状態を指します。
1967年に心理学者セリグマンとメイヤーが提唱した概念で、教育現場では、努力が成果に結びつかない経験を重ねた子供が学習意欲を失い、「どうせ自分には無理だ」と自己効力感を低下させてしまう背景要因の一つとして注目されてきました。単なる「甘え」や「怠け」ではなく、経験によって形成された心理的な反応であることを理解する必要があります。
「努力と結果の断絶」が招く3つの欠如
学習性無力感の核心は、「自分の行動(努力)」と「結果(成果)」の間に因果関係がない(非随伴性)と認識してしまうことにあります。「いくら勉強しても成績が上がらない」「何を言っても先生に信じてもらえない」といった経験が積み重なると、子供たちは次のような症状を示すようになります。
●動機づけの欠如(意欲の低下)
「やっても無駄だ」と考え、自ら状況を変えようとする行動を起こさなくなります。新しい課題へのチャレンジを拒否したり、指示待ちになったりします。
●認知の欠如(認識のゆがみ)
たまに成功したとしても、「これはまぐれだ」「たまたま運が良かっただけ」と捉え、自分の能力や努力の結果だと思えなくなります。成功体験を自信に変える回路が遮断されてしまうのです。
●感情の欠如(情緒の混乱)
不安や抑うつ、苛立ちといったネガティブな感情が支配的になります。自尊感情(セルフエスティーム)が著しく低下し、自分を価値のない人間だと感じるようになります。
