次期学習指導要領をどう生かすかは、教員の姿勢次第【次期学習指導要領「改訂への道」#34】
小学校の現場は、論点整理に示された次期学習指導要領の方向性やその具体のあり方について、どのような意見をおもちなのでしょうか。今回からは、全国連合小学校長会常任理事であり、中央教育審議会の教育課程企画特別部会委員として論点整理の議論に参加し、現在は総則・評価特別部会の委員として、より具体の議論にも参加されている、東京都武蔵野市立第二小学校の松原修校長にお話を伺っていきます。
初回は、学校現場からの注目度の高い次期学習指導要領の重点化、構造化、表形式化といったことを中心にお話を伺います。

目次
「縦でなければならない」「横でなければならない」といった形式にはとらわれない
学習指導要領の重点化、構造化、表形式化についてですが、論点整理の「学習指導要領の構造化・表形式化イメージ」では、中学校数学と中学校国語の2つの表形式例が示されている(資料参照)ことについて、「全科を担当する小学校の先生方にとって分かりにくいのではないか」という意見もありました。しかし、私はそうは思っていませんし、それは教員が自分の使いやすい使い方を考えればよいことだと思います。もちろん教科ごとに形式が違うなど、多数の形式があるならば混乱するかもしれませんが、むしろ2つくらいで、そのほうが教科の特性を捉え、大切なところに焦点を当てて授業をつくることに資するのであれば、問題はないだろうと思います。
資料


現場の教員は、新たな学習指導要領がそのような形になったら、「算数は…、国語は…」と頭を切り替えられると思います。大切なことは、実際に指導案を書くときに、しっかりと本質に目を向けることができるかということです。専門的な論文や研究会での授業の指導案を書くときには、当然学習指導要領の整理に沿った書き方になるでしょう。しかし、日々の授業での簡易な指導案を書く場合まで、「この教科は縦(並列)でなければいけません。こちらの教科は横(並行)で……」と、形式を整えることばかりに目が向いて、本質が二の次にされてしまってはいけません。
学習指導要領を教科によって異なる表形式で整理するのは、誰にでも見やすく、内容が分かりやすくするためなので、縦や横といった形式にまで配慮する意味があります。ただし、本質を理解した上で教育活動を進めていく段階では、もっと他に重視すべきことがたくさんあるはずです。現場では、「縦でなければならない」「横でなければならない」といった形式にとらわれがちなので、そこは注意する必要があります。
要は「どうしてこういう整理がなされていて、そこに示された単元なりの大事なところはどこか」を教員がつかめばよいわけですから、縦とか横といった形式に現場で拘泥することにはあまり意味がありません。中央教育審議会では、「いかに深い学びを実現していくか」という視点で次期学習指導要領を整理していく一方、学校はそこをしっかり読み解いて、「では実践ベースではどうすればよいか」を考えることに時間をかけることこそが必要です。
大切なことは教員が本質的な理解をすることですから、そのためには、改訂議論の過程を参照していくことが必要です。一方で、十分理解しているのに、いつまでも細々とした記述に縛られるのもまた違うと思います。それは、これまでの学習指導要領の本文と解説も同様でしょう。本文だけを見れば分かる教員はそれでよいし、解説を読む必要がある人は読めばよいわけです。
