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「指導力不足教員」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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教師としての資質や能力が十分でない教員を「指導力不足教員」として認定する仕組みがあります。この認定はどのように行われ、その後どのような対応がなされるのか。その制度について解説します。

執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

指導力不足教員とは

【指導力不足教員】
知識や指導技術、意欲、社会人としての資質能力などの不足により、児童生徒への学習指導や学級経営を適切に行うことができない教員のこと。

「指導力不足教員」とは、病気や精神疾患といった健康上の理由がないにもかかわらず、知識や指導技術、意欲、社会人としての資質能力などの不足により、児童生徒への学習指導や学級経営を適切に行うことができない教員のことを指します。法令上で明確に定義された言葉ではありませんが、文部科学省の通知や各教育委員会の人事管理制度において広く用いられている概念です。

「指導力不足教員」の認定は、各都道府県・政令指定都市の教育委員会が定める基準や人事評価システムに基づいて行われ、課題改善のための研修命令や、場合によっては地方公務員法に基づく分限処分(免職・降任など)が適用されることもあります。

指導力不足と判断される主な要素

文部科学省通知および各教育委員会の基準では、次のような項目のいずれか、または複数に該当する場合に「指導が不適切」と判断されることがあります。ただし、細かな基準は自治体によって異なります。

●教科指導の知識・技術の不足
授業内容の誤りが繰り返される、授業が成立しない状態が継続する、学習指導要領に沿った授業が実施できないなど、専門性や授業設計に問題があるケース。
●学級経営・生徒指導の不適切さ
児童生徒理解に乏しい、過度に高圧的または放任的な対応を続ける、いじめやトラブルに適切に対応できないといった、安心・安全な学級づくりに支障がある場合。
●社会人としての資質・適格性の不足
保護者・地域・同僚との連携不足、協調性の欠如、校務に支障をきたす行為など、学校組織の一員として求められる基本的な資質に課題がある場合。

重要なのは、これが「一時的なスランプ」や「経験不足」といった短期的要因ではなく、一定期間の支援や助言を経ても改善が見られない場合に適用されるという点です。うつ病などの心身の故障に該当する場合は「病気休職」など別の制度が適用され、区別して扱われます

認定の流れと「指導改善研修」

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