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小2道徳科 生きものを大事にするとは「ごめんね、みなみ」

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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官監修による、小2道徳科の指導アイデアです。今回は、D【自然愛護】「ごめんね、みなみ」の実践を紹介します。
本実践では、教材「ごめんね、みなみ」を通して、子供たちが登場人物に自我関与しながらねらいとする道徳的価値を深く考える授業を行います。多様な視点に触れ、他者との違いを考えることで、「生きものを大事にすること」の本質に迫る学びを目指します。

執筆/鹿児島大学附属小学校教諭・椎葉和馬
監修/文部科学省教科調査官・堀田竜次
 鹿児島県公立小学校校長
 鹿児島県小学校道徳教育研究会会長・永里智広

1 はじめに

子供たちが1つの見方にとらわれずに考えることの大切さを、実感をもって学べる道徳科の授業を大切にしていきたいと考えています。

そのために、道徳科の授業のあり方について日々思考し、実践を重ねています。しかし、どれほど準備をしても、子供たちからの多様な考えが出されるたびに、「なるほど、そうきたか!」と驚かされることがあります。これもまた、道徳科の醍醐味だと感じています。

今回の実践では、子供が教材の登場人物に自我関与しながら、ねらいとする道徳的価値について考える授業を行いました。子供たちが、自分の中にある価値観と向き合い、他者の見方や感じ方を比較しながら考えることで、より深くねらいとする道徳的価値について考える授業につながるよう工夫しました。

(教材について)

動物園にいるきりんのみなみが、ある日突然亡くなってしまいます。そのことを聞いた子供たちは、とても悲しみました。さらに、みなみが亡くなった原因について園長から「動物園に来た人たちが捨てたお菓子などの袋やビニールの包みを食べてしまったため」と説明がありました。子供たちは、人間が捨てたお菓子の袋やビニールの包みを食べたことでみなみが亡くなってしまうとは思いもよらず、心の中でみなみに謝るという内容です。

2 展開の概略

 生きものを大事にすることについての捉え方や経験を共有する。
 本時で考えていきたい問題について考える。
 教材「ごめんね、みなみ」を読み、考えていきたい問題について話し合う。
 (1) 登場人物の心情やその変化について感想をもち、共有する。
 (2) 登場人物の言動に対する自分の捉えとその理由、また登場人物の考えを聞いて、感じたことや考えたことを話し合う。
 学習したことを振り返り、自分が考えていきたい問題について、自分なりの考えをノートにまとめる。
 身近な自然に親しみ、動植物に優しい心で接することの大切さについて、教師の説話を聞く。

 

発問の設定までの流れ

視点の焦点化

小2道徳科 生きものを大事にするとは「ごめんね、みなみ」 視点の焦点化

本校では、発問を考える際に、子供たちが本時で考えていく視点を明確にすることを大切にしています。ここでいう視点とは、子供たちが本時にもつ問いのことを指します。視点を明確にすることで、授業の中で何を中心に考えていくのかがはっきりし、学びの方向性が定まります。

視点を焦点化するまでの過程として、まず、「生きものを大事にすることが難しい問題」に対して、子供たちがどのような見方をもつか想定しました。例えば、「ぼくたちにも、原因があるのかな」という見方や「ごみを捨てるなんてひどい」といった見方が挙げられます。これらの見方の共通点を比較することで、「ごみを捨てた人たちが悪いのではないだろうか」という考えが共有されると推測しました。

その考えをもとに、「自分たちにも原因があったのではないだろうか」や「自分たちは捨てていないから関係ない」といった見方を関係付けていくことで「まさか、人間の行動が原因で亡くなるなんて、誰も思わなかった」という視点が生まれると考えました。

小2道徳科 生きものを大事にするとは「ごめんね、みなみ」 視点の焦点化

 

発問の設定について

焦点化した視点をもとに、本時のねらいに迫る3つの発問(①、②、③)を設定しました。この3つの発問は、視点である「まさか、人間がしたことが原因で亡くなるなんて誰も思わないな」という問いを基盤としています。

まず、教材を一読した後に、子供たちが、登場人物である子供たちの言動に注目すると考えました。そこで、①の発問を通して、「かわいそう」「ごみを捨てる人が悪い」といった考えが出てくることが予想されます。これらの考えを受けて、②の「子供たちが、ごめんねと言わなくてもよかったのではないだろうか。」を設定しました。この問いに対しては「もしかしたら自分たちも捨てていたかもしれない」「自分たちは捨てていないから関係ない」といった立場が子供たちから出てくることが想定されます。それぞれの立場の共通点を見つめ直すことで「まさか、人間の行動が原因で亡くなるなんて、誰も思わなかった。」という視点が生まれると考えました。こうした過程を通して、子供たちは、教材の登場人物に自分を重ねながら、道徳的諸価値の理解を深め、自分自身の生き方についての考えを深めていくことが期待されます。

3 指導の概要

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