小4算数「面積」指導アイデア《面積の単位「アール」「ヘクタール」「平方キロメートル」を知る》

執筆/東京都渋谷区立西原小学校主任教諭・網本幸代
監修/東京都国立教育政策研究所教育課程調査官・加固希支男、東京都板橋区立上板橋小学校副校長・内藤信義
目次
年間指導計画
・大きい数
・折れ線グラフ
・角とその大きさ
・わり算1桁
・小数のしくみ
・垂直・平行と四角形
・わり算2桁
・およその数、計算の見積もり
・そろばん
・倍の見方
・資料の整理
・式と計算
・変わり方
・面積
・分数
・小数のかけ算とわり算
・直方体と立方体
単元の展開(各時の主な学習活動内容)
第1時 図形を構成する正方形や長方形の数に着目し、面積の比べ方を考える。
第2時 面積の意味、単位「平方センチメートル(㎠)」を知る。
第3時 1㎠のますの数に着目し、長方形や正方形の面積を求める公式を考える。
第4時 面積の公式を適用して、面積を求める。
第5時 長方形を組み合わせた図形について、構成する長方形、正方形に着目し、面積の求め方を考える。
第6時 もとにする広さに着目して、大きな面積の表し方を考える。
第7時 1m=100㎝であることに着目し、1㎡=10000㎠であることを考える。
第8時(本時)面積の単位「アール(a)」「ヘクタール(㏊)」「平方キロメートル(㎢)」を知る。
第9時 正方形の一辺の長さに着目し、単位の相互関係を考える。
第10時 表や折れ線グラフに着目して、縦の長さと面積の関係を考える。
第11時 学習内容の習熟や定着、数学的な見方・考え方のふり返りを行う。
本時のねらい
面積の単位(a、ha、㎢)を知り、a、ha、㎢を使って面積を求めることができる。
評価規準
面積の単位(a、ha、㎢)を知り、単位となる正方形のいくつ分かを考えながら、面積を求めることができる。
本時の教材のポイント
本時では、新たな面積の単位(a、ha、㎢)について学びます。これらは㎠や㎡と違い、子供にとってなじみの少ない単位です。そのため、扱う数値が大きくなったり、広さのイメージがもてなかったりすることで、a、ha、㎢を適切に使うことができないというつまずきが考えられます。
授業では、単位とする正方形の広さ(何を1つ分と考えているか)をていねいに確認し、その正方形がいくつ分かに着目して面積の求め方を考えます。その際に求め方だけではなく、これらの単位を用いて表される面積がどのような広さなのか、身近な場所を基準に広さを考えたり、実際にその広さを体感したりすることを通して、広い面積に対する量感を養うことが大切です。
はじめにaという単位について知り、一番身近な広い場所である校庭の広さをaを用いて表す方法を考えます。その際、校舎図などを活用し、その上におおむね校庭が入るような長方形を書き、その面積を求めるようにしました。そして、1aを知り、計算で面積を求めるだけでなく、実際にその広さを実感できることを大切にしました。
そして、あらかじめ10m×10m(1a)の正方形を校庭などにかいておき、実際にその場に行って1aを体感させます。その際に、「1aは〇〇ができる広さ」「1aは〇〇と同じくらいの広さ」など、言語化させて面積のイメージをもたせます。ha、㎢についても、1haや1㎢を学んだ後に、実際に身近な場所として自分の学校、住んでいる町、住んでいる市や区を取り上げ、その広さを実感させる機会を取り入れました。
本時の展開
私たちの小学校の校庭のこの長方形の部分の面積を求めたいと思います。何が分かれば、面積を求めることができますか。
校庭の縦の長さと横の長さが分かれば、面積を求めることができます。
校庭は縦30m、横50mです。面積は何㎡でしょう。
※学校の校舎図の校庭部分の上に長方形を示したものを提示する。縦や横の長さは何十mときりのよい数値がよい。

30×50=1500だから、1500㎡です。
そうですね。1㎡いくつ分でしょう。
1㎡、1500個分の広さです。
1㎡が1500個分もあるなんて広いな。
1㎡の1500個分はこんな感じです。

うわぁ、たくさんあって分かりにくいな。
昨日10000㎠を、もっと大きな単位にして1㎡と表したけれど、1㎡よりも大きい面積の単位はあるのかな。

1㎡より大きい単位で、もっと広い面積を表そう。
一辺が10mの正方形の面積100㎡を1aと書き、1アールと読みます。1aをもとにすると、校庭は何aと言えますか。


見通し
一辺が10mの正方形がいくつあるか数えてみよう。
一辺が10mの正方形の面積が1aだから、その正方形が縦と横に何個並ぶか考えてみよう。
1a=100㎡だから1500㎡の中に100㎡がいくつあるかを考えてみよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
・1aがいくつ分かを考えるためには、縦と横の長さがそれぞれ10mいくつ分か考えればよいことに気付けていない。
B 素朴に解いている子
・一辺が10mの正方形を1つ分と考えて、縦30m横50mの長方形の中に1aがいくつあるかを求めている。
C ねらい通り解いている子
・1aである一辺が10mの正方形が縦30m横50mの長方形の中にいくつあるか考えている。
30÷10=3 50÷10=5
1aが縦に3個、横に5個あるので
3×5=15で15a
・1a=100㎡と考えて、1500㎡の中に100㎡がいくつ分かを考えている。
1500÷100=15
100㎡が15個だから15a
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
どのように考えたか発表しましょう。
一辺が10mの正方形が1aなのでそれを1つ分と考えたらいいと思います。図に書くと、この大きさが1aになります。
1aがいくつあるかを数えました。1aが15個あるから、15aです。(提示した図に1aごとの区切りを入れる)

計算で求めました。1aは一辺が10mの正方形をもとにしているから、30÷10=3、50÷10=5、1aが縦に3個、横に5個並んでいるから、3×5=15で1aが15個なので、15aになります。
違う計算で求めました。10×10=100なので1a=100㎡。だから、1500÷100=15で15aです。
この1500÷100という式はどういう意味か分かりますか。
1500㎡の中に1aの100㎡がいくつ入っているか考えています。
どちらも1aがいくつ分かを考えて面積を求めていますね。ではもとになっている1aを実際に見に行きましょう。(校庭など広い場所に1aをかいておいて、実際に見に行く)
1aって教室より少し広いな。
1aあればどんなことができるかな。
だるまさんが転んだができる。
みんなで寝転ぶことができそう。
大縄跳びができる。
では、教室に帰ってノートに1aがどんな大きさか、感じたことを書こう。
※「1aは教室よりも少し大きい広さ」「1aは大縄跳びができる広さ」など、子供が感じた1aの広さについて考えて書かせる。
みなさんは野球の試合を見に行ったことはありますか。次はこの野球場の正方形で囲まれた部分の面積を求めましょう。

一辺の長さは何mですか。
どのくらいあると思いますか。
50m。
100m。
実は、この野球場は一辺の長さがちょうど100mです。
じゃあ、100×100で面積は10000㎡になります。
aで表すと10×10で100aです。
学習したことを生かしていますね。1aを使って野球場の広さも表すこともできますね。1aは一辺が10mの正方形の面積を表していました。実は、さらに大きい単位があります。一辺が100mの正方形の面積10000㎡を1haと書き、1ヘクタールと読みます。

では、このhaを使ってもっと広い面積について考えてみましょう。みんなが住んでいる〇〇町と同じくらいの広さの形を用意しました。
※一辺が800mの正方形を提示する。

正方形みたい。縦と横の長さは何mですか。
一辺の長さが800mの正方形です。この〇〇町の面積をhaを使って表してみましょう。
※ノートやワークシートに書く。
何haになりましたか。
1haは一辺が100mの正方形の面積で、800mは100mが8個分なので、8×8=64で64haになります。
新しい単位haでも、1haいくつ分かで面積を求めることができましたね。では、この1haがどのくらいの広さか、町の地図の上に重ねて調べてみましょう。
※住んでいる町の地図を用意して縮尺で合うような1haの正方形を重ねる。
学校がすっぽり入った。でもまだ大きい。
学校だけでなく、近くの私の家も入ります。
〇〇公園は1haが4つ分くらいあるよ。
haはみんなの住んでいる町の広さを表すときに使うとよさそうですね。
もっと広い面積を考えるときの単位はあるのかな。
㎡があるのだから㎢もあるんじゃないかな。
では、もっと広い面積について考えてみましょう。この公園は一辺の長さが1000mの正方形の形をしています。

1000×1000で面積は1000000㎡になります。
すごく広いですね。
aで表すと100×100で10000aです。
haだと10×10で100haです。
aやhaで大きい面積を表すことができましたね。実はさらに大きい単位があります。
次は一辺の長さが1000mの正方形がもとになるんじゃないかな。
その通りです。一辺が1㎞(1000m)の正方形の面積1000000㎡を1㎢と書き、1平方キロメートルと読みます。

㎢はどんなときに使われる単位でしょうか。
一辺が1㎞(1000m)もあるから、〇〇町よりももっと広いところを表すときに使われると思います。
私たちが住んでいる〇〇区はどうかな。
みんなが住んでいる〇〇区と同じくらいの広さの長方形の形を用意しました。面積は求められそうですか?
※縦5000横3000mの長方形を提示する。

次は長方形だね。計算で面積を求めることができそうです。
一辺の長さが1000mの正方形1㎢がもとになります。
mは㎞に直して考えたほうがいいかもしれないな。
〇〇区を㎢を使って表してみましょう。
※ノートやワークシートに書く。
何㎢になりましたか。
1㎢が15個分あるから、15㎢です。
縦が5㎞、横が3㎞で、5×3=15だから15㎢です。
新しい単位㎢でも、1㎢いくつ分かで面積を求めることができましたね。では、15㎢をこれまでやってきた㎡を使って表すと何㎡になりますか。
1㎞は1000mだから、5000×3000=15000000。15000000㎡です。
区の面積は㎡を使うと桁が多くて分かりにくい。分かりやすい単位を使いたいな。
そうですね。15000000㎡とも表せるけれど、15㎢のほうが桁が少なくて分かりやすいですね。では、1㎢がどのくらいの広さか、私たちの住んでいる区の地図の上に重ねて調べてみましょう。
※住んでいる区の地図を用意して縮尺で合うような1㎢の正方形を重ねる。
学校の近くの駅が2つとも1㎢の中に入るよ。
私たちの学校と隣の学校も1㎢の中に入れることができるよ。
㎢はみんなの住んでいる区の広さを表すときに使うとよさそうですね。
〇〇区よりも広い東京都や日本の面積も㎢で表せそうです。
まとめ
- 校庭や町などの広いところの面積は、1a、1ha、1㎢のような大きな面積の正方形を単位として、そのいくつ分かで表すことができる。
評価問題
□の中を埋めましょう。
①1aは一辺が□mの正方形の面積 1a=□㎡
②1haは一辺が□mの正方形の面積 1ha=□㎡
③1㎢は一辺が□mの正方形の面積 1㎢=□㎡ ④1ha=□a
④1ha=□a
子供に期待する解答の具体例
①1aは一辺が10mの正方形の面積 1a=100㎡
②1haは一辺が100mの正方形の面積 1ha=10000㎡
③1㎢は一辺が1000mの正方形の面積 1㎢=1000000㎡
④1ha=100a
感想例
- 広い面積を表すときは、新しい単位(a、ha、㎢)があることが分かりました。面積を表すときに桁が多くなりすぎると分かりにくいので、いちばん分かりやすい単位を使って表すことが大切だと思いました。
- a、ha、㎢はそれぞれもとにする正方形の大きさは違うけれど、もとにする正方形いくつ分かを考えることは同じだと思いました。
- a、ha、㎢は、もとにする正方形の一辺の長さが10倍ずつ長くなっていたことが分かりました。面積にすると、100倍ずつ大きくなることに気付きました。
ポイント&アドバイス
構成/桧貝卓哉 イラスト/横井智美・やひろきよみ 図版作成/永井俊彦
