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ICT活用で濃い学びを実現!子どもが主人公の授業を支える「情報BOX」【理科の壺】

連載
理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
【理科の壺】シリーズタイトルバナー

「子どもが自分たちで、実験の準備や実験を進めたり、実験結果をもとに考察をまとめたりできるようになってほしい」と願う先生はたくさんいることでしょう。しかし、実際には新しく行う実験の指導のみならず、既習事項やノートの書き方の説明に時間がかかってしまい、自主的な活動を支えられなかったと感じることはありませんか。今回は、ICTを活用することでこの課題をクリアし、子どもが自ら学びを進める環境を作り出す方法を紹介します。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような“ツボ”が見られるでしょうか?

執筆/北海道公立小学校主幹教諭・加藤久貴
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

1.ポータルサイトの準備

Point 1:学年専用のポータルサイトを作成する

画像①b

まずは、学年専用のポータルサイトを作成します。最近では、使用アプリも様々ですので、ポータルサイトに一元化することで、簡単にそれぞれのアプリにたどり着くことができます。上の画像は、6年生用に作成したポータルサイトです。

子どもは、必要に応じて様々なページにアクセスします。画像の「6年生の学習」フォルダにある「☆理科学習で大切なこと」をタップすると以下のような項目が出てきます。

<☆理科学習で大切なこと>
画像②b

このように、このフォルダには、それまでに指導した内容や、自分で学習を進めていくためのポイントをいつでも振り返ることができるようなものを入れておきます。ノートに考察をまとめるときなどは、「ノートの取り方(結果→結論)」を自分で確認することで、自分で学習を進めていくことができます。

2.ポータルサイトの活用

Point 2:単元ごとの学習ページを作成しておく

例えば、6年水溶液の学習のページをこのように作成しておきます。

画像③b

Point 3:学習に必要な参照ページを作成しておく

この単元で子どもは、「塩酸に溶けたアルミニウムの粉ともとのアルミニウムは同じものだろうか」という問題のもと、自分の予想や仮説を設定していくことになります。どのようにして自分の予想や仮説を証明するか検証方法を立案する際に、

  • 電気を通すかどうか調べたい
  • 水に溶けるかどうか調べたい
  • 重さを量って調べたい 

など、子どもによって異なる方法で実験を進めていくことが考えられます。このように問題解決の方法が複数にわたる場合、全ての実験の仕方について教師が説明をしていると実験の時間が足りなくなってしまうことも考えられます。

そこで、ポータルサイトの出番です。

画像④b

重さを量って調べたいという子どもは、これまでの学習で活用した上皿てんびんを活用して調べることになります。その際、グループの仲間と上皿てんびんの使い方について、ポータルサイトにある「実験器具の使い方」フォルダ内の「上皿てんびん」を活用して、正しい測定方法を確認しながら実験を進めることで、自信をもって実験を行い、正しい実験につなげることができます。このように、ポータルサイトは、これまでに学んできた実験器具の使い方を振り返る手段として活用することができます。

両皿てんびんの使い方をタブレットで確認する

また、直前に教師が説明していても自信をもてずに、なかなか実験に踏み切ることができない子どももいます。実験方法を間違えてしまうと正しい結果を出すことができず、その後の活動に影響が出てしまいます。そのため、既習の内容も含めた実験器具の使い方や実験方法について、いつでも確認できるようにすることで、自信をもって自分たちで実験を進められるようになります。ICTを子どもが必要に応じて活用することで、教師からの指示は抑えられます。

Point 4:いつでも理解を深められる「振り返り」の場所を作っておく

画像⑤b

今回は水溶液の単元で実施しましたが、ポータルサイトは様々なアプリを一元化できるので、毎時間の振り返りシートを貼り付けておくことで、いつでも簡単に振り返ることができます。授業の終わりに振り返るのもよいですし、時間が経ってから思い出したことを付け加えることもできます。

3.ICTは自分の意思で活用できる「便利な情報BOX」

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