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「SEL教育」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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近年、非認知能力を育てる教育実践として「SEL教育」が注目され、世界的に広がりを見せています。今回は、SEL教育の基本的な考え方や学校での実践方法、その可能性について紹介します。

執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

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SEL教育とは

【SEL教育】
「社会性と情動の学習」を意味する“Social and Emotional Learning”の頭文字をとった言葉。子どもが自分自身との向き合い方や他者との関わり方を学ぶなかで、自分自身の感情を理解、コントロールし、よりよい人間関係の構築、意思決定をできる力を養成する。

SEL教育では、非認知能力における感情の理解およびコントロールする力や、円滑な人間関係を築く力、自ら判断・決定する力などを育てます。そのためSEL教育は、学力のように数値を測定できる認知的スキルではなく、数値では表しづらい、人生における幸福度に深く関わる教育です。

SEL教育を提唱したアメリカの教育団体CASELによると、SEL教育は次の5つの能力分野で構成されます。

①自己理解(self-awareness)
自分の感情を理解したり、自分の長所や短所をよく理解したりできること。

②自己管理(self-management)
自分の感情や行動をコントロールしたり、目標を立てて計画的に行動したりできること。

③社会的認識(social awareness)
他者の感情や価値観、その背景を理解し、共感できること。

④人間関係スキル(relationship skills)
円滑な人間関係を構築するためのコミュニケーションや協力、対立を解決できること。

⑤責任ある意思決定(responsible decision-making)
倫理的で責任感ある意思決定をできること。

SEL教育では、上記5つの能力分野を幼少期から成人期における発達段階に合わせて育成します。子どもたちの学業成績の向上につながるほか、協調性の向上やメンタルヘルスケアにも効果を発揮し、いじめ対策や学級風土の改善にも有効とされています。

SEL教育の実践

文部科学省の「生徒指導提要」でも、社会性の発達を支援するプログラムとしてSEL教育が取り上げられています。学級でSEL教育を導入する場合は、道徳や特別活動、総合的な学習の時間に実施する場合が多く、「自己理解」「自己管理」「社会的認識」「人間関係スキル」「責任ある意思決定」の5つにアプローチした授業をデザインします。

例えば、「自己認識」や「自己管理」であったら、「自分がイライラする場面」を想起して怒りの感情をコントロールできる方法を考えたり、「社会的認識」や「人間関係スキル」「責任ある意思決定」であったら、友達同士の会話などのロールプレイ活動を通じて、他者に対する想像力や共感力、自分の気持ちや意見を伝えられたりできるような授業づくりを心がけましょう。

ただしSEL教育を実践するにあたっては、自校の学校目標や教育課程、学年での教育方針、指導計画に沿ったものかをよく検討することが必要です。そのためチーム・ティーチングなど、複数の教員同士で協力・連携し、指導案や教材教具の準備などを進めることをおすすめします。

SEL教育の可能性

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