ベースボール型の入門期におすすめの教材ってありますか? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #92】

#91「かっとばし」で身につけた、バットでボールを打つ技能を生かして楽しめる「かっとばしゲーム」を紹介します。攻撃時にバットでボールを打つことや、自分が打ったボールを見てどこまで進めるか判断することを学習できる教材です。
執筆/東京都公立小学校教諭・逸見淳一
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1 場の設定
#91「かっとばし」の場(下の図を参考にしてください)を使ってゲームに進みます。
かっとばしから追加しているのは、打った後にバットを入れるためのコーンとベンチゾーンです。コーンにバットを入れるのは、ボールを打った後にバットを離さないようにするためです。また、ベンチゾーンがあることで、万が一バッターがバットを離してしまっても、大きな怪我を防ぐことができます。
守備の子は3点のコーンより後ろに位置し、打ってから動くよう指示します。

※スタートライン〜1点コーンと、コーン間は5m程度の距離にします。
※スタートラインからベンチゾーンは7〜8m程度の距離にします。
2 やり方・ルール
基本的なやり方とルールです。
⚫︎4人1組(体育班)で行います。
⚫︎1人1回ずつ打ち、全員が打ったら攻撃と守備を交代します。これを1回の表・裏とします。
2回の裏までで勝負を決します。
⚫︎並べたコーンの方向に打つことにします。
⚫︎攻撃側は、打つ子以外はベンチで応援します。
⚫︎打った子はバットを指定のコーンに入れて走ります。安全のため、バットをコーンに入れないと得点できないルールとします。
⚫︎守備は、打者が打ったボールをできるだけ早くスタートラインに戻します。戻し方は投げるか、持ったまま走るかのどちらかです。投げる場合は守備側の子が、スタートラインの内側でボールをキャッチすることを条件とします。
⚫︎ボールがスタートラインに戻ったタイミングで、どちらが早いかを判断します。
打った子がボールより早くスタートラインに戻れれば、以下の得点となります。
1本目のコーンを回って戻ってくることができたら1点、2本目なら2点、3本目なら3点、4本目なら4点。
ボールの方が早ければ、「アウト」。0点です。
⚫︎打ったボールがフライやライナーになって、ノーバウンドで取ってもアウトにはなりません。
⚫︎審判は自分たちで行います。
正々堂々勝負します。
3 得点をたくさん取ろう!
ベースボール型で、守備に関して思考場面を設けている授業を見ることがありますが、本教材は攻撃を重視します。この教材で味わわせたいのは、思い切りバットを振ってボールをかっ飛ばし、得点を取る喜びです。これが、子どもたちの意欲を継続させるエネルギーになると考えているからです。
4 考えさせたいこと
この教材は、打つだけでなく打球に応じて何本目のコーンを回れそうかを判断しながら走ります。ボールを遠くにかっとばせたとしても、守備が上手だと高い得点を取ることは難しくなります。逆に、あまり遠くに飛ばせなかったとしても守備がもたつけば、遠くのコーンを回り、高い得点を取ることができます。
このように、予想できないことが起こるのがボールゲームの特性です。ゲーム中の状況に応じた判断ができるようになるには、トライアルアンドエラーが必要です。
より高い得点を取るには、どこを狙って打てばいいのかを考えながら、打撃機会を何度も経験することが必要となります。
5 進めていくと……
次のようなケースが出てきます。
①セーフなのかアウトなのか判断でもめる。
②あまりにも違う方向に向かって打つ。
③負けたことをいつまでも引きずってしまう。
①については、「もめたらじゃんけん」と決めておきます。
話し合わせることも大切ですが、その間に他のチームはゲームが終わってしまい、みんなを待たせることになります。折り合いをつけて楽しくゲームができるように、気持ちを早く切り替えることを粘り強く指導していきます。
②については、正々堂々とプレイすることを改めて確認します。真剣に打とうとした結果、狙いとは違う方向にいってしまうのと、打つ方向を変えるのは違うことを理解させましょう。
③については、本気で取り組んでいる証でもあります。勝ったり負けたりをたくさん経験させて、気持ちの切り替えができるようにしていきます。そのためにも、2回の表裏で1試合を区切り、ゲームがたくさんできるようにします。
ボールゲームでは、ここに挙げたようなトラブルがたくさん出てくるはずです。勝ち負けを経験し、しっかりと受け入れること。正々堂々と勝負すること。相手がいることへの感謝の気持ちなど、技能面と合わせて、これらも一緒に学習させます。
6 さいごに
いかかでしたか?
打った後コーンを回って戻ってくるだけのシンプルなゲームですが、思考しながら楽しめるおすすめの教材を紹介しました。バットでボールを打つ技能を身につけていれば、
⚫︎バットで思い切り打って
⚫︎全力で走って
⚫︎勝ったり負けたりしながら
かっとばしゲームを楽しむ姿が見られるはずです。
ぜひ取り組んでみてください!
【参考文献】
・平川譲『体育授業に大切な3つの力』(2018)東洋館出版社
イラスト/佐藤雅枝
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執筆
逸見淳一
東京都公立小学校 教諭
1980年 東京都中野区生まれ。「みんなができる、みんなでできる」体育授業を目指し、日々研鑽中。子供たちにとっても教師にとってもよりよい体育授業が広まるように、オンラインで研修会を行っている。『「資質・能力」を育成する体育科授業モデル』(共著)(学事出版)

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
