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子供のよりよい成長を促す、集団と個への言葉がけの技術【学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意⑬】

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学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
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子供たちの学ぶ意欲と力を育てるためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて、学習指導の基礎基本を解説します。第13回は、子供のよりよい成長を促す教師の言葉がけについて解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章 

教師の言葉がけは、子供のよりよい成長を促します。それは、小グループや学級全体の集団に対する言葉がけと、個に応じた言葉がけをする場合があります。どちらも子供の実態や学年の発達段階等によって異なるため、正解があるというものではありません。ここでは、多様な子供の実態を踏まえつつ、どの子にとってもよりよい成長を支えるような基本的な教師の言葉がけについて、次の3つのキーワード「求められる子供理解」「集団と個への言葉がけ」「言葉がけをする際の配慮点」でチェックしてみましょう。

CHECK① 求められる子供理解

現在、通常の学級にも、発達障害等があり集団になじみにくかったり一斉学習の授業を理解しにくかったりする子供たちが存在しています。また、学習の理解の早い子供も理解に時間を要する子供もいて、学級担任に求められる対応は多岐にわたります。特に、個々に異なる子供に対して、どのような言葉がけをするかということは大切な視点です。まずは、子供たち一人一人の実態と学級集団としての凝集性や雰囲気等を的確に把握できるように努めましょう

多様な子供の実態把握に努めます

学級に在籍する子供たちには様々な実態があります。学習や生活上の課題、家庭環境による課題、発達障害等による課題を抱える子供など、その状況は多岐にわたります。例えば、発達障害のある子供の言動は、決して、本人の性格や人間性に問題があるわけではありません。「わがまま」とか「我慢するように」といった本人の努力で何とかするという対処法で解決する問題ではないということを理解しておく必要があります。いつもと違う行動をすることができない子、決められた枠の中に文字や絵をかけない子など、多様な現状があることをとらえます。そして、「他の子と同じようにがんばりなさい、わがままは許しません」等の言葉がけではなく、その子の特性に応じた言葉がけに留意していきましょう。

CHECK② 集団と個への言葉がけ

子供への言葉がけは、小グループから学級集団を対象にする場合と個を対象する場合があります。学習指導要領 第1章 総則 第4 児童の発達の支援には、「また、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、個々の児童の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により、児童の発達を支援すること」とあります。集団への言葉がけと個への言葉がけに配慮して、子供たちのよりよい発達を支援できるようにしましょう。

集団への声がけと個への声がけにより支援します

集団への声がけでは、全体の中で注意したり称賛したりする場合があります。集団への教師の言葉がけにより、一人一人の子供が学習や生活への意欲が高まり、集団の一員として自己肯定感を高め、認め合えるようにしていきましょう。特に、集団への言葉がけでは、「簡潔に短く話すこと、印象に残るように話すこと、分かりやすく明快に話すこと」等に配慮します。

また、個への言葉がけも含め、子供に「注意する際」には、次のような視点を踏まえて言葉がけをしましょう。

①即時性(すぐにその場で注意する)
②厳格性(例外をつくらないで注意する)
③沈着性(感情的にならずに注意する)
④一貫性(気分や状況で注意を変えない)
⑤現実性(過去の失敗を持ち出さない)

さらに、個々の子供に対しては、次のような視点での言葉がけが求められます。    

①「感謝」の言葉(Aさんはいつも掃除をがんばっているね。どうもありがとう)
②「相談」の言葉(図書係について、Bさんはどんな活動をすればいいと思う?)
③「期待」の言葉(今度のCさんのピアノの演奏、とても楽しみにしているよ)
④「信頼」の言葉(今度の司会はDさんに任せたよ。いつもの笑顔で頼むね)
⑤「称賛」の言葉(Eさんの友達の意見を生かす発表は、クラスの模範です)

掃除を頑張っている子供に、「いつもありがとう」と感謝の言葉をかける教師

CHECK③ 言葉がけをする際の配慮点

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