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オールコートのバスケットボール前に簡単にできるゲームは? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #89】

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使える知恵満載! ブラッシュアップ体育授業
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小学校教諭

平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

前回のシュートゲームで高めたシュート技能を生かして、バスケットボールタイプのゲームを楽しみましょう。公式のバスケットボールやミニバスケットボールをイメージして、はじめからオールコートでゲームをすると、動きが分からずに苦労する子が多くなります。ハーフコートのゲームでシュートの機会を保障しましょう。ゲームのルールも大幅に簡易化します。多くの子が実質的にゲームに参加できるように、ドリブルはなしで、パスのみでゴールまでボールを運んでいきます。
シュートゲームでの様相やデータを基にして、教師がチームを作ったり、子どもたちにチーム作りを任せたりしてもよいでしょう。

執筆/筑波大学附属小学校教諭・山崎和人
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

1.3on1

① ゲームのやり方

<ルール>
⑴ 1チーム4人で、前半・後半のゲームとします。
⑵ 攻撃チームは3人でハーフラインに並びます。
⑶ 守備チームは1人がコートの中に入ります。
⑷ 攻撃チームはパスのみでボールを運びます(ボールを持ったら動いてはいけません)。
⑸ 攻撃チームのシュートを決めた(得点した)子は、参加していなかった1人と交代します。
⑹ 守備者は、ボールを持っている子の手が届く範囲に近づいてはいけません。
⑺ 守備者は、自分がボールをキャッチするか、攻撃側の得点で交代します。
⑻ シュートが決まったら、ハーフラインから再開します。
⑼ 一定時間(2分程度)行ったら、攻守を入れ替えて後半を行います。
⑽ 後半が終了したら、勝敗を決します。
⑾ 対戦相手の交換は、入れ替え方式がおすすめです。

3on1はハーフコート、攻撃3人、守備1人で行うゲームです。
シュートゲームでシュート技能が高まってきたら、相手(守備)を1人入れるというイメージです。大きく変えるというよりは、「シュートが上手になってきたので、じゃまを1人入れるよ」というように、元々やっていた教材に少し変化を加えるという形で提示すると、ルール理解がスムーズになります。
3on1はボールを持っている子の他に、味方が2人います。守備は1人のため、ボールを持たない2人のうち、どちらかがパスを受けやすい状況にあるのが特徴です。攻撃有利の状況で、ボールを持ったとき、持たないときの、判断と動きをたくさん経験させるのが、このゲームのねらいです。

② 場の設定

3on1はハーフコートで、8チーム、4試合同時に行うことができます。

図表1

③ ゲーム進行のポイントや注意点

1回目は、ルールを説明してお試しのゲームをします。
小さめのコートでは、ハーフラインからのシュートがゴールまで届いてしまい、ゲーム開始や再開の1投目での得点が可能になります。これを認めると、バスケットボールタイプ教材の学習にならないので、「最初の子は必ずパスをすること」、とルールで定めます。また、ゲームの開始や再開は、攻撃側が「いくよ」と声をかけ、守備側が「いいよ」と返してから始めます。
1回目のゲームが終わったら、全員を集合させて、分からなかったことや困ったことを発言させます。質問は、「全体にとって大切なものを3つまで」と指定して、受けるとよいでしょう。
2回目以降の授業では、思考場面を設定して、ゲームの中での動きについて学習を進めていきます。

2.思考場面の視点は?

3on1での思考ポイントは、ボールを持ったときの判断と、ボールを持たないときの動きになります。基本的には、子どもをコート内の指定の位置に配置して、シュートなのかパスなのか、どのように動いたらパスを受けることができるかを思考させていきます。

図表2

<ボールを持ったとき>

シュート
ボールを持ったときには、シュートかパスかを判断する必要があります。シュートができる位置にいるにもかかわらず、パスをしてしまうと無駄に時間が過ぎたり、相手に捕られたりしてしまうことになります。このような例を示し、シュートできる位置にいる場合には、積極的にシュートすることを意識づけていきます。

パス
ゴールまで距離がある場合や、守備者が近くにいてシュートできない場合は、空いている味方にパスします。パスを選択するときは、ボールを持たない味方との連携が大切であることも理解させます。

<ボールを持たないとき>

パスを受ける
近くに守備者がいなくて、ゴールの近くにいるときは、味方からのパスを受けるのに最も適している状況です。このようなときは、積極的に声を出して、パスをもらうようにします。 

パスをもらいやすい位置に移動する
自分とボール保持者の間に守備者がいると、ボールを持った子がパスを出せません。そのため、ボールを持たない子は、パスをもらえる位置に移動する必要があります。この時、できるだけシュートしやすい位置を意識できると、さらに有効です。

3.まとめ

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