「小1の壁」とは?【知っておきたい教育用語】
厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」によると、男性雇用者世帯のうち、約6割が共働き家庭です。そうした状況のなか、子育てにおいて「小1の壁」による問題が多くの保護者たちを悩ませています。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

目次
小1の壁とは
【小1の壁】
子どもが保育園から小学校に進学する際に、仕事と育児の両立が困難になること。共働き家庭はもちろん、ひとり親家庭にも重大な問題となっている。
小1の壁と呼ばれる現象が起きる要因として「小学校は保育園のときよりも子どもを預かってもらえる時間が短い」ことが挙げられます。保育園の場合、子どもを預けられる時間は原則1日8時間と決まっています(状況によっては最大11時間まで延長することができます)。
一方、小学校の場合、1年生が学校に通っている時間が平均6~7時間と、保育園に比べて大幅に短くなります。そのため、保護者は労働時間を調整しなければならず、結果として仕事との両立に思い悩むことになってしまいます。
「もう小学生だから、留守番できるだろう」という考えもあるかもしれませんが、ついこの間まで保育園に通っていた子どもにとって、一人での留守番はリスクが高く、保護者にとっても心配です。また、宿題といった家庭学習のチェックなどもあるため、小1の壁は働く保護者を阻む大きな壁となります。
小1の壁による問題
小1の壁による具体的な問題点は、下記のようなことが挙げられます。
①朝(登校)の問題
両親が家を出る時間よりも後に、子どもの登校班の集合時間が設定されているため、子どもの登校時間に合わせると、仕事に遅刻してしまう。そのため、子どもを送り出すことができない。また、子どもが自宅の鍵を閉めなければならないため、防犯上の心配もある。
②放課後(帰宅後)の問題
子どもの帰宅時間に合わせると、フルタイムで働くことができない。夕食の準備をしながら宿題のサポートもしなくてはいけないため、家事と両立することも大変。
③仕事(職場)の問題
正社員として働き続けたいが、子どもの登校・下校時間を考慮するとあきらめざるを得ない。職場の理解や制度がまだ不十分であるため、キャリアアップを断念した。
そのほか、夏休みなどの長期休暇中に、子どもの昼食を用意する必要などもあります。こうした、家事と育児の両立の難しさから正社員として働く道が絶たれてしまうケースが多いのです。