鮮やかな黄緑色が美しいメジロ。ウグイスに見間違われる、可愛いけどちょっと可愛そうな小鳥。【モンタ先生の自然はともだち】

木々の枝から枝へ飛び移り、花の蜜を吸う可憐な緑色の小鳥。皆さんも外を散歩していて、そんな景色に出会ったことがあるのではないでしょうか? 今回取り上げるのは、筆者も大好きなメジロ。ウグイスと間違われることも多い、ちょっと気の毒な小鳥です。見分け方もバッチリ解説しますので、ぜひ皆さん、覚えてあげてくださいね!
【連載】モンタ先生の自然はともだち #15
執筆/森田弘文
目次
美しい黄緑色の可憐な小鳥

上は、メジロの写真です。一目瞭然、目の回りの白いのが、その命名理由です。尾も含む全長は12センチ程度で、スズメよりもかなり小さく、体の色は、上面は美しい黄緑色で目の回りは白く、下面は喉が黄色く、脇が栗色で、お腹のあたりが白いです。カラーコーディネートが素晴らしいですね。
ピピピ⋯とか、チュチュチュ⋯などと、高く可愛い声で鳴きます。
甘いものが大好きです。果実をついばんだり、ウメやサクラなどの樹々の枝先を移動しながら花の蜜を吸う姿がよく見られます。メジロの舌は、細い管状の舌が筆のように集まった形をしていますので、花の蜜を吸うのがとても得意です。
ミカンやリンゴ等の切った果物を自宅の庭先に吊しておくと、遊びに来てくれますよ。
甘党なだけかと思いきや、雑食なので昆虫やクモを捕らえて食べることもあります。留鳥として全国に分布し林や市街地に住むため、目にする機会が多いです。
「目白押し」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、鳥のメジロに由来しています。数羽で体を寄せ合うようにして木の枝に止まることがよくあり、その様子が「目白押し」という言葉のイメージの基になっています。また、子どもの遊びの「目白押し」というのがありますが、これは、大勢で横に並んで押し合い、列外に出た者がまた端に加わって押し合って遊ぶというものです。
ところで、みなさん「うぐいす色」というと、どんな色を想像しますか? 和菓子の「うぐいす餡」がそうであるように、キレイな抹茶色を想像する人も多いのではないでしょうか?
また花札では、ウメの枝に止まった美しい抹茶色のウグイスが描かれていたりします。
こうした理由から、鮮やかな体色のメジロのことを、ウグイスだと間違っている人も多いようです。
でも、「うぐいす色」の正解は、くすんだ灰色がちな黄緑色です。オリーブグリーンに近い色ですね。
ここで、ウグイスがどんな見た目なのか改めて紹介しますと⋯。

これが「ホー、ホケキョ」と鳴いて春を告げる鳥として、昔から親しまれているウグイスです。上面はかなり灰色のニュアンスが強い黄緑色で、眉斑と下面は汚白色です。その美しい鳴き声に似合わず、控えめな色合いです。ウグイスは、日本三鳴鳥(他にオオルリ・コマドリ)の一つに数えられます。
花札の例にもあるように、「ウメにウグイス」とよく言われますが、ウメにやって来ることはほとんどありません。雑食ですが、花の蜜はめったに口にしません。主に虫やクモを食し、冬場には植物の種を食べます。ササの茂る場所や藪の中で生活し、警戒心が非常に強く、鳴き声が聞こえても、姿を見ることは難しい鳥です。
わずか2週間で巣立つ、驚異の成長スピード
筆者は、かつて家の近所でメジロの卵を発見し、それを継続観察しながら撮影したことがあります。20年近く前のため鮮明さは今ひとつですが、成長過程の様子は理解できるのではないかと思います。
⑴ 2007年6月9日
コケや枯草、小さな木の樹皮、クモの糸などでからめた椀型の巣を見つけました。ドウダンツツジの込み入った枝の中にあり、さらにそこには5つの卵もあることを発見しました。卵の大きさは、約17㎜✕13㎜ぐらいで、1円玉より少し小さく、ウズラの卵よりもはるかに小さい感じでした。色は斑点などは全くなく、白色または、少し青緑色がかった色をしていました。

⑵ 2007年6月12日
生まれたばかりのヒナです。メジロはなんと、卵から雛が生まれて巣立つまで、14日くらいしかかかりません。人間からは考えられないほどの超スピードですね。メジロの野生状態の寿命は3~4年。とても短命なため、成長スピードもそれに伴って速いのではないかと考えられます。まだ羽もなく、目も開いていないような状況ですね。この頃は、天敵であるヘビやその他の動物から狙われる危険性が高いようです。

⑶ 2007年6月19日
上の写真からわずか1週間で、全身の毛が生え揃い、かなり鳥らしくなってきました。体つきやクチバシの形もどんどんしっかりしてきましたが、メジロの特徴である目の周りはまだ白くなっていません。実は、メジロは子どものうちは目の周りは白くならず、巣立ちの後、もう少し成長するにしたがい、美しい白が加わります。この写真から、あと数日で飛べるようになり、元気に巣立って行きます。
