何のために、どんなことを話すの?教育長面談と校長評価~シリーズ「実践教育法規」~
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教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第43回は「教育長面談と校長評価」について。校長は、法令に基づき、教育長等との面談を行うことになっており、主に当初、中間、最終面談があります。面談で話す内容や、意義について解説します。

執筆/杉本 悦郎(早稲田大学教職大学院教授)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)
【連載】実践教育法規#43
目次
人事評価制度に基づく面談
2014年4月、地方公務員法の一部が改正され、勤務評定制度に代えて人事評価制度が導入されました(2016年4月から施行)。
地方公務員法で導入された人事評価制度は、能力と業績の両面から評価するものであり、評価基準の明示や自己申告、面談、評価結果の開示等の仕組みにより客観性を確保し、人材育成にも活用するものとされています。
地方公務員法第6条では任命権者が人事評価を行う権限を有することについて、第23条の2及び第23条の3では人事評価の実施や人事評価に基づく措置について定められました。
また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第44条では、県費負担教職員の人事評価は都道府県教育委員会の計画の下に市町村委員会が行うものとされました。
市区町村立学校の校長は、法令に定められた人事評価制度に基づき、教育長と当初、中間、最終の面談に加え、人事の意見具申、学校が抱える課題対応に関する協議や相談など、必要に応じて随時面談が実施されます(規模の大きな市区町村では指導室長等が、都道府県立学校は学校支援センター所長等が代行する場合があります)。
教育長と校長との面談
学校の個性化・特色化を図り、自律的改革を推進するために、年度ごとに学校経営計画を立て、実施し、評価を行い、改善を図るマネジメントサイクルの仕組が導入されています。
これにより、校長は、中・長期的視点から目指す学校像を明らかにし、教育課程を踏まえ、当該年度における教育活動の目標と、それを達成するための具体的方策及び数値目標を示した学校経営計画を策定しています。
校長は教育長に対して、当初面談では、学校経営計画に基づき、学習指導、生活指導、進路指導、学校運営等や特色ある教育活動などについて説明します。加えて、自己申告書に設定した目標、その難易度や手立て等について説明します。その際、限られた時間で教育長に分かりやすく説明できるよう整理しておくことが重要です。
また、中間面談では、学校経営計画の進捗状況を説明するとともに、次年度の人事構想について意向等を伝えます。
そして、校長は学校運営の改善を図るため、教育活動その他の学校運営の状況について学校評価を行います。学校評価は、学校教育法第42条及び学校教育法施行規則第66条~第68条(これらの規定は、他の学校種に、別の条文によりそれぞれ準用)により、次の事柄が定められました。
1.教職員による自己評価の実施とその結果の公表
2.保護者など学校関係者による評価の実施とその結果の公表
3.自己評価の結果・学校関係者評価の結果を設置者へ報告
最終面談では、学校評価等を踏まえて作成した学校経営報告に基づき、当該年度の成果と今後の課題について報告を行うとともに、自己申告書で設定した目標の達成状況等について説明します。必要に応じて、成果の根拠となる資料等を提示するなど、情報を提供します。
教育長面談の意義
教育長は地域の抱える課題を捉え、住民や保護者が期待する教育の在り方を議論し、政策を練り上げていくことが求められています。
そこで、教育長は校長に対して様々な機会を利用し、教育施策等に関する周知を図るとともに、学校の現状や課題を的確に把握し、適切な指導・助言を行う必要があります。面談の内容は学校の管理・監督や学校経営、児童・生徒のことや地域連携など多岐にわたるものが考えられます。校長がどのように学校運営や経営を進め、児童・生徒を育成するのかを見取り、校長の資質・能力を適正に評価することが重要です。
このことにより、教育長はより一層民意を反映した教育行政を実現していくことができるのです。