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あとから「しまった!」とならないために。図工の時間でカンタンにできる、背景の描き方の提案

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埼玉県公立小・中学校教諭

坂齊諒一(さかさい りょういち)
いちばん楽しいアートバナー

以前拙稿【図工の授業で、子どもの描いた絵がスカスカだった…! そんなとき、どうしますか?】で取り上げましたが、図工の授業で絵を描くとき、背景があったほうが全体的な完成度は高まります。しかし、絵を描いている途中で「やはり背景が必要だ」と思ってから背景を加えることは、技術もやる気も求められ、とても大変です。後から困らないためにも「絵の具で薄く、背景を先に描く」という簡単な背景の提案をいたします。

題字・イラスト・執筆/埼玉県公立小・中学校教諭 坂齊諒一

連載【いちばん楽しいアート】#15

背景のあるなしに関しては、

背景有り➡︎全体のまとまりが増し、描き込まれているように見えやすい。
     技術が必要であり、図工に苦手意識がある子どもにはハードルが少し高い。
背景無し➡︎色がくすまず、描かれているものがくっきりと目立つ。
     手を抜いているように見えてしまう場合もある。

となりやすいと私は考えています。一概に「背景が必要だ」とは言えませんが、児童が表現の引き出しを増やすことで、少しでも絵を描く楽しさにつながっていけばよいのではないかと考えます。
そのため、最も簡単な方法を伝えることにとどめたいと思います。誰でも試しやすく、また背景のありなしの差をかんたんに見られることがねらいです。

上の写真のように、水で薄めた絵の具を、ハケで気ままに画用紙全体に塗るだけです。
ここから絵を描き始めただけで、何もない白い背景からずいぶん違った印象になります。
絵を教師側の指導で描かせるようなことはしたくありませんが、背景を描き込む理由を説明し、児童の納得感を伴った状態で始めることが理想です。

背景を描き込む理由って何?

わたしたち指導する側は、ついつい背景を描き込む理由として、

美術展などに出した際、金賞に選ばれやすくなる。
教室や廊下の壁面に飾ったときに見栄えが良い。
「上手に指導できたね」と周りから思われる。

などといったことを考えてしまいます。これらはすべて「教師の思い」が主体になっていますね。
やはり、児童が「図工で絵を描くことが楽しい」と思えるようになることが大事なのではないでしょうか。教育的な面から考えて主体が「児童」になるようにしてみましょう。

グッと目をひくような絵になるよ。
絵を描くときに使える引き出し(手法)が増えるよ。
白い部分に「ここは何も描かないの?」と言われて困ることが減るよ。
前に描いた絵と比べて、うまくなったと感じることができるよ。

などなど、子どもの思いが主になるように目的を設定して、授業の中に組み込んでいきたいものです。

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