小２国語科「日記を書こう」全時間の板書＆指導アイデア

2025.03.24

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、２年生になって初めて「書くこと」について学びます。
本単元で取り扱う「日記」は自分の日々の出来事を記録する文章ですので、見たことや経験したこと、感じたことなど幅広い材が存在します。
「書くこと」は、「題材の設定」「構成の検討」など、一つ一つの活動を積み重ねていく必要があるため、「書くための材を集めるのが大変」「清書までにすることが多くて面倒だ」と感じる子が多いかもしれません。しかし、日記は自分の備忘録であるので、比較的自由度が高く、子供たちにとって取り組みやすいのではないかと考えます。

日記を書くという学習で身に付けたいのは、「自分の経験したことから書きたいことを見つけ、集めた材の中から何を書いて記録しておきたいのかを明確にする」という力です。
「経験を書いて記録する」ということに焦点を当てたければ、学級の始めの頃から「一言日記」や「一行日記」などを続けておくのもよいでしょう。
また、「身の回りの材の中から自分が書いて記録したいことを明確にする」ということに焦点を当てたければ、学級の中でどの子も経験するような「１年生との学校探検」や「遠足」というテーマは共通のものとし、その中で理由を明確にしながら書きたいことを見つける活動を丁寧に行ってもよいでしょう。
いずれにおいても、学級の子供たちの興味や書くことにおける能力などの実態を把握することが大切です。
低学年ですから、まずは自分の「したこと」「見たこと」「聞いたこと」「思ったこと」「感じたこと」などの観点で材を集め、その中から特に書いて記録しておきたいことを決められるとよいでしょう。また、ここでは集めた材を時系列に整理して書く力が定着することを目指したいものです。

2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元の言語活動は「日記を書く活動」です。日常の出来事を備忘録として書く活動なので、自分の過ごした日々の出来事を材として選ぶことができ、取り組みやすい活動だといえます。

２年生の子供たちは、小学校も２年目となり生活習慣が安定してきていること、また初めて上級生となり、新たな発見もあることから、自分の学校での生活を落ち着いて振り返り、したことや見たことなどから心に残っていることを丁寧に思い起こすことができるでしょう。
何気ない日々の中でも子供たちにとっての「とっておき」な出来事は、たくさんちりばめられているはずです。「中休みにドッジボールをしたこと」「給食で初めて野菜を全部食べられたこと」「国語の音読を友達と一緒に上手にできたこと」など、特別な行事がなくても、１日に起こった出来事を振り返ると、書くための材は豊富にあります。

また、日常の出来事ではなかなか材を見つけられない子供が多い場合は、「学校代表として参加した入学式での歌の披露」、「１年生との学校探検」、「公園探検」など、特別な行事の中から自分にとっての「とっておき」をじっくり見つける時間をとってあげてもよいでしょう。

材が見つかれば、思い起こしたことを時系列に並べ、日記として書きます。付箋紙など移動できるものにメモを書き記しておけば、その順序を入れ替えながら時系列に並べていくことができます。このときに、学校での出来事を学級全体でのテーマにしておけば、友達と相談しながら構成を整えることができます。

本来日記は自分のために書き記すものなので、他者と読み合うことはしませんが、本単元では個々が書いた日記を読み合い、材の集め方、書きたいことの中心の選び方、優れた表現などに着目できるようにすると、身に付けたい資質・能力の定着につながります。

「日記を書く活動」に、年間を通して取り組む学級もあるでしょう。その場合は、日記に書く内容や構成を複数のレベルに分け、レベルアップしていけば、子供たちの書く力が高まっていくと考えます。レベルアップの方法については、次の「指導のアイデア」の項で紹介します。

4. 指導のアイデア

国語科の領域の中でも「書くこと」は苦手意識が高かったり、また、書いたとしても筋道が通っていなかったりすることが多く、その力を高めていくには様々な工夫が必要であると考えます。
先ほどから述べている通り、日記は取り組みやすい書く活動ですから、子供たちが楽しみながら「書けた！」という成就感をもてるようにしていきたいものです。

日記を書くことへの抵抗感を減らすために、２年生に進級した当初から一行日記を続けたり、週末に絵日記の宿題を出したりしておくと、本単元への導入がスムーズになるでしょう。

また、一行日記などに継続して取り組む際、テーマを決めておくと、材を探す苦労が少なく、さらにテーマに着目しながら目標をもって一日を過ごすことができます。

例えば、「通学路で見える物」「今日食べたものでいちばん好きな物」「友達からかけてもらったうれしい言葉」など、前日や一日の始まりにテーマを決めておくと、それを見つけるために一日を過ごす中で、普段は気付けないような新たな発見があり、書きたいことが生まれるきっかけになるかもしれません。学びの経験が少ない２年生にとっては、材探しの一助になるはずです。

次に、材を集めて実際に書くという活動については、複数の段階があると考えます。「日記プロになる道」などと題して、レベルアップできるように設定してもよいでしょう。

本単元においては、レベル①「いつ・どこで・だれと・どのように・何をした・なぜしたか・どうだったか」という観点をもとに日記を書きます。よく言われる５Ｗ１Ｈが含まれるように書く活動です。

このような日記に慣れてきたら、レベル②「必ず会話を入れる」という日記を書きます。一つ入れられるようになったら、会話が相手と共に双方向で行われた様子を入れられるようにします。教科書ではこのレベルの手本が書かれているので、本単元では子供の実態によってレベル①②を目指すとよいでしょう。

さらに、レベル③「思ったことや感じたことを二つ以上入れる」という設定も考えられます。出来事に対して自分がどう感じたか、何を考えたのかなどを明確にし、それらを言葉で伝えられる子供たちを育てたいので、自分の考えの形成につながるレベルを設定します。

次に、構成を整えて書く力を高めていきます。レベル④「初め・中・終わりを意識して書く」という段階を設定します。「初め」には出来事の紹介や自分が書きたい中心について書く、「中」には「まず・次に・最後に」などの言葉を使って時系列で出来事を書く、「終わり」には自分の考えを書く、という構成を例示し、それに沿って書くよう指導します。

各レベルの内容については、上述したものはほんの一例なので、学級の子供たちにどのような力を身に付けられるようにしていきたいのか、年間を見通して計画を立てるとよいでしょう。

5. 単元の展開（４時間扱い）

　単元名：きのうのわくわく！　きょうのどきどき！　とっておきの出来事について日記を書こう

【主な学習活動】
・第一次（１時）
① 書きためていた一行日記や絵日記などを見返し、日記のよさについて確認する。同級生が書いた日記や教師が書いた日記など、複数の日記例を比較しながら日記の特徴（とっておき日記になるこつ）をとらえ、日記を書くことへの意欲を高めて学習計画を立てる。
〈端末活用（１）〉今までの日記の蓄積
〈端末活用（２）〉「とっておき日記になるこつ」の格納・配信
〈端末活用（３）〉日々「今日のとっておき」を見つけ、メモしたり写真に撮ったりすることによる材の収集と蓄積

・第二次（２時、３時）
② 集めていた材を「したこと」「見たこと」「聞いたこと」「会話したこと」「思ったこと」「感じたこと」などの観点に分けて付箋紙に書く。シンキングツールなどを用いて付箋紙を整理し、その中から日記として書いて記録しておきたいことを明確にする。
〈端末活用（４）〉日記の題材決定のためのウェビング
〈端末活用（５）〉日記の構成メモ（子供への提示は「日記メモ」）

③ 前時で決定した日記に書く内容が、時系列に並んでいるかを確認する。書く順序を決定し、日記を書く。

・第三次（４時）
④ 互いの日記を読み、感想を伝え合って再度日記のよさを確認する。単元の振り返りを行う。
〈端末活用（６）〉感想を伝え合うためのアンケート機能