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「教員資格認定試験」とは?【知っておきたい教育用語】

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教職課程を修了していなくても教員免許を取得できる「教員資格認定試験」。今回は、その受験資格や試験の内容および方法などについて解説していきます。

執筆/文京学院大学名誉教授・小泉博明

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教員資格認定試験とは

【教員資格認定試験】
教員の確保を図るために文部科学省が広く一般社会に人材を求め、大学などで教職課程を履修していなくても、教員への道を開くために教員としての必要な資質、能力を有すると認めた者に教員の資格を認定する試験のこと。

文部科学省(試験事務は独立行政法人教職員支援機構)が実施する教員資格認定試験には、「幼稚園教員資格認定試験」「小学校教員資格認定試験」「高等学校教員資格認定試験(情報科)」があります。教員資格認定試験の合格者は、居住地の都道府県の教育委員会に申請すると、教員免許状が授与されます。

各認定試験の令和7年度の受験資格は次のようになっています。

幼稚園教員資格認定試験

幼稚園と保育所の連携を一層促進する観点から、幼稚園教諭二種免許状を取得した者と同等の水準に達しているかどうかを判定する試験です。平成17年4月1日までに生まれ、高等学校を卒業した者で、保育士となる資格を有した後、3年以上の実務経験をした者が対象です。

小学校教員資格認定試験

小学校教諭二種免許状を取得した者と同等の水準に達しているかどうかを判定する試験です。平成17年4月1日までに生まれ、高等学校を卒業した者、その他大学に入学する資格を有する者が対象です。

高等学校教員資格認定試験(情報科)

高等学校教諭(情報)の一種免許状を取得した者と同等の水準に達しているかどうかを判定する試験です。平成15年4月1日までに生まれ、高等学校を卒業した者、その他大学に入学する資格を有する者で、情報処理技術者試験の応用情報技術者試験、高度試験または情報処理安全確保支援士試験に合格した者が対象です。

なお、令和6年度以降、特別支援学校(自立活動)教員資格認定試験は当面休止することになっています。

試験の内容・方法

教員資格認定試験は教職教養と専門教科の主に2つの分野で構成され、一次試験はマークシートと論述、二次試験で指導案の作成や模擬授業などの実技が課されます。

令和7年度の試験の内容・方法は次のようになっています。

幼稚園教員資格認定試験

●教科および教職に関する科目(Ⅰ) 筆記試験:マークシート方式(択一式)
→教職概論、幼児教育教師論、教育行財政、幼児教育学、幼児教育心理学、教育制度論、教育行政学、教育社会学、教育経営論等
●教科および教職に関する科目(Ⅱ) 筆記試験:マークシート方式(択一式)
→教育課程論、教育内容論、学習指導論、教育方法・技術論、保育内容指導法、幼児理解、教育相談等
●幼稚園教育の実践に関する科目  筆記試験:(論述式)
→「幼稚園教育要領」、『幼稚園教育要領解説』、文部科学省作成の指導資料等、共通課題を基にした指導案(週案、日案)の作成に関する内容

小学校教員資格認定試験

第1次試験
●教科および教職に関する科目(Ⅰ) 筆記試験:マークシート方式(択一式)
→教職専門科目に関する内容 「教育の基礎的理解に関する科目」および「道徳、総合的な学習の時間等の指導法および生徒指導、教育相談に関する科目」に関する専門的事項
●教科および教職に関する科目(Ⅱ) 筆記試験:マークシート方式(択一式)
→小学校の各教科の具体的な授業場面を想定した指導法およびこれに付随する基礎的な教科内容(国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育、外国語(英語)の10教科の中から6教科を選択して受験する。なお、6教科には「音楽」「図画工作」「体育」のうち2教科以上を含めること。)
●教科および教職に関する科目(Ⅲ) 筆記試験:(論述式)
→小学校の各教科の具体的な授業場面を想定した指導法およびこれに付随する基礎的な教科内容(国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育、外国語(英語)の10教科の中から1教科を選択して受験する。)
●教科および教職に関する科目(Ⅳ) 筆記試験:(論述式)
→教職への理解および意欲、児童理解、実践的指導力等、小学校教員としての必要な能力等の全般に関する事項

第2次試験 学習指導案作成、模擬授業、口頭試問(個別面接)など
●教職への理解および意欲、小学校教員として必要な実践的指導力に関する事項
→教員の確保を図るため、2020年からピアノ演奏や器械体操などの実技試験が廃止されました。

高等学校教員資格認定試験(情報科)

第1次試験
●教科および教職に関する科目(Ⅰ) 筆記試験:マークシート法式(択一式)
→「教育の基礎的理解に関する科目」および「道徳、総合的な学習の時間等の指導法および生徒指導、教育相談等に関する科目」に関する専門的事項ならびに高等学校の「情報」に関する事項
●教科および教職に関する科目(Ⅱ) 筆記試験:(論述式)
→教職への理解および意欲、生徒理解、実践的指導力等、高等学校教員として必要な能力等の全般に関する事項

第2次試験 学習指導案作成、模擬授業、口頭試問(個別面接)等
●教職への理解および意欲、高等学校(情報)教員として必要な実践的指導力に関する事項

過去の問題は認定試験ウェブサイトの「過去の試験問題、正答、合格判定基準」に掲載されています。

教職への社会人招致をめぐる課題

2019(平成31)年4月17日に中央教育審議会に諮問された「新しい時代の初等中等教育の在り方」では、「これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備等について」のなかで、「学校以外で勤務してきた経歴や専門的な知能・技能を有する者など、多様な背景を持つ人材によって教職員を構成できるようにするための免許制度や教員の養成・採用・研修・勤務環境の在り方」の検討が掲示されました。こうした状況を背景に教員資格認定試験があり、社会人の招致を進めています。

教員資格認定試験とは、不足する教員を確保するために実施するのではなく、あくまでも「Society5.0」の時代における教員のICTの活用と指導力を高め、多様な人材を活用することにより、柔軟に対応できる教師集団を形成するためのものでなければなりません。

▼参考資料
文部科学省(ウェブサイト)「教員資格認定試験
独立行政法人教職員支援機構(ウェブサイト)「令和7年度 教員資格認定試験
独立行政法人教職員支援機構(PDF)「教職への社会人招致をめぐる現状と課題ー小学校資格認定試験と社会人特別選考を中心にー」令和2年3月

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