【教壇に立つあなたへ】ベテランがこっそり教える、若手教員マストバイアイテム10プラス1

教職に就いたあなたへ。期待と不安が入り混じる日々の中、少しでも安心して教壇に立てるよう、10個の必須アイテムプラス1を選びました。これらのグッズは、日々の業務をスムーズにし、あなたを強力にサポートします。さあ、これらのアイテムを手に、自信を持って教員生活をスタートしましょう!
【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

目次
こだわりアイテムを使うよさ
教職員の使う道具は、必要最低限のものしか支給されないことが多いです。特に事務用品などは大抵、コスパが重視されていることが多く、必ずしも使い勝手が良いとは言えません。
もっとも、よほどお金持ちの会社ならさておき、一般的な企業でも同じような状況だろうと思います。
仕事に私財を使うのか…という矛盾はありますが、環境がそうである以上、自分のほうから環境に最適化していくことも大事なのではないかと思います。
より効率よく仕事をすることは、眼の前にいる児童への関わり方を、より良くしていくからです。
そこで今回は、たとえ自腹でも購入する価値があるアイテムを紹介したいと思います。時間の短縮や便利さ、そして仕事の効率が上がるのであれば、十分に価値があると考えています。
自分専用で持ちたいアイテム10プラス1
必須アイテム1 デジタルカメラ
<記憶と記録の宝箱!>
●目的 授業や行事の記録、児童の作品撮影、学校生活の様子を記録
●用途 授業の振り返り、保護者への情報共有、学校の広報活動
●活用方法 授業中の児童の活動を撮影し、後で振り返ることで授業改善に役立てる。運動会や学芸会などの行事を撮影し、保護者と共有する。
●解説 スマホのカメラ性能のほうが優れている場合も多いですが、個人情報の流出などの危険性がついて回るため、個人のスマホは教育現場に持ち込まないほうがいいです。その点、写真専用機のデジカメなら安心です。授業での児童の輝く瞬間、運動会での真剣な表情、学芸会での感動的な演技…。児童たちの貴重な瞬間を捉えて保存するだけでなく、教育活動の記録としても活用できます。例えば、授業中の児童の様子や板書を撮影し、後で振り返ることで、授業の改善点を見つけたり、児童の成長を実感したりすることができます。また、運動会や学芸会などの学校行事を撮影し、保護者の方々と共有することで、学校と家庭の連携を深めることにも役立ちます。児童の作品を撮影し、ポートフォリオとしてまとめることで、児童の学習意欲を高めることにもつながります。授業の記録として板書を撮影しておくと、後々何かと便利です。画像の細部まで拡大できる、4Kカメラが特にオススメです。画像に検索しやすい名前をつけておけばあとで役に立ちます!
必須アイテム2 クリップボード/用箋挟(ようせんばさみ)
<立ったままの頼もしい相棒!>
●目的 立ったままメモを取る、授業参観での指導案へ書き込む、資料を挟んで持ち運ぶ
●用途 授業中の板書計画、児童への指示メモ、提出物の管理
●活用方法 授業中に児童の発表内容や質問をボード上の用紙にメモし、授業後に振り返る。児童の提出物を挟んで管理し、紛失を防ぐ。
●解説 授業中、立ったまま児童の様子を観察しながら、さっとメモを取りたい時、用箋鋏は非常に便利です。児童の発言や質問、授業のポイントなどを書き留めておくことで、後で授業を振り返る際に役立ちます。また、児童の提出物を挟んで管理したり、掲示物を作成したりする際にも、用箋鋏は活躍します。さらに、緊急時には、児童への指示や連絡事項を書いて、すぐに伝えることも可能です。いつもそばに置いておきたいです!
必須アイテム3 太字水性ボールペン
<見やすくて書きやすい速記ツール!>
●目的 素早くメモをとる、児童のノート添削、連絡帳への返信
●用途 授業中の板書、ノート添削、連絡帳記入
●活用方法 授業中、児童が後ろの席からでも見えるように、太字で板書する。児童のノート添削に使い、コメントを目立たせる。
●解説 職員会議や研究会、初任者研修会ではさまざまな情報をメモしなくてはなりません。太字ペンはささっと書くことができます。また、児童のノートを添削する際にも、太字のボールペンでコメントを書くことで、児童の目を引き、学習効果を高めることができます。さらに、先輩方に情報を伝えるとき、太字のボールペンでタイトルや見出しを書くことで、見やすく、分かりやすい連絡メモを作成することができます。いろいろ試し書きをして推しのボールペンを探してみてください!
必須アイテム4 リズム太鼓(タンバー、体育用太鼓)
<リズムに乗った楽しい学びを!>
●目的 児童とのコミュニケーションを深める、授業にリズムや楽しさを取り入れる
●用途 音楽や体育の授業、行事の練習、グループ活動
●活用方法 授業中にリズム太鼓を使用して、リズム感を養うとともに、児童の協調性を高める。例えば、音楽や体育の時間にリズムに合わせて太鼓を叩き、リズムを身につけさせるだけでなく、学級の行事や発表会の練習でも役立つ。また、太鼓の音を使って、静かに集中する時間や、学級が一致団結して行動することを促すこともできる。体育の時間はもちろん、リズムを使ったゲームやアクティビティを通じて、授業がより活発で楽しいものになる。
●解説 リズム太鼓は、リズムに合わせてテンポよく行動する練習ができる、集団行動において非常に有益な道具です。変化をつけにくいホイッスルと違って、リズムや音の大きさで児童が動くという主体的な授業構成をすることができます。児童の集中力も途切れにくく、特に体育の授業では効果絶大です。わたしも個人で所有し、かなり便利に使いこなしました。
必須アイテム5 遠くまで聞こえるホイッスル
<いざというときの安心感!>
●目的 緊急時の合図、児童への注意喚起
●用途 体育の授業、運動会の練習、避難訓練
●活用方法 避難訓練で、児童に集合場所や避難経路を指示する。不審者侵入などの緊急事態を知らせる。
●解説 運動場や体育館などの広い場所では、大きな声を出しても伝わらないことがあります。とくに緊急時に危険を知らせたり、避難を促したりする際の注意喚起に最適です。児童に、このホイッスルの音がしたら注意だよ、とあらかじめしっかり伝えておきましょう。わたしは、サッカーの審判用のものを使っています。かなり遠くまで聞こえます!
必須アイテム6 大きめの付箋紙
<アイデアとコミュニケーションの架け橋!>
●目的 授業中のアイデア出し、児童・生徒へのメッセージ、掲示物作成
●用途 グループワーク、時間割作成、連絡事項
●活用方法 授業中、児童にアイデアを出させる際に、付箋紙に書いてもらい、グループごとにまとめる。連絡事項を書いて、教室に掲示する。そのほかメモを書いてノートに貼り付けておくなどさまざまな使い方ができる。
●解説 授業づくりのために付箋紙に自由にアイデアを書き出し、整理統合しながら進めることができます。また、時間割や連絡事項を書いて、教室に掲示したり、児童へのメッセージを書いたりする際にも、付箋紙は活躍します。また、児童の配慮事項について、アイデアを整理したり、コミュニケーションを円滑にしたりするための便利なツールです。
小さめの付箋紙は学校で用意してくれていますが、大きい付箋紙はなかなかありません。いろいろな付箋紙を用意してみたいです。ある意味教員は文房具オタクにならないと!
必須アイテム7 担任の名前と月日が入った「検印」
<確認と信頼の証!>
●目的 文書の確認や承認の明確化、手続きの効率化
●用途 通知票や連絡帳、児童の提出物への確認印
●活用方法 担任の名前と月日が入った「検印」を使うことで、児童の提出物や連絡帳などに確認したことが一目で分かるようになります。通知票やプリント、課題提出時に使用し、児童や保護者に対して、教師が確認したことを明確に伝えることができます。また、月日が入ることで、どのタイミングで確認が行われたかも分かり、記録としても活用できます。迅速に作業を進めつつ、確認作業を効率よく行うことができます。
●解説 「検印」は、教師が文書を確認したことを示すための重要なツールです。担任の名前と月日が入った検印を使うことで、児童や保護者に安心感を与え、プリントチェックの手続きがしっかりと行われていることを示すことができます。特に、連絡帳、提出物の確認作業が多い学校現場では、効率的に確認作業を進めるための必須アイテムです。私費購入のアイテムの中では、最も使用期間が長く、文字通り一生のパートナーとなります。先輩に聞きながら納得の一品を用意してください!
必須アイテム8 分厚いノート
<情報の一元管理を!>
●目的 会議メモ、授業のアイデア記録、研修内容のメモ、児童・生徒の記録
●用途 授業準備、研修参加、学級日誌
●活用方法 会議で出た大切なことを記録したり、授業で思いついたアイデアや反省点を記録し、授業改善に役立てる。研修で学んだ内容をメモし、後で振り返ったりと、何でもこの1冊があれば完結するようにします。
●解説 あらゆることを1冊のノートに書き記すことで、情報の散逸を防ぎます。授業で思いついたアイデアや反省点、研修で学んだ内容、児童の成長記録や授業の記録など、何でも書き記しておくと後で大変よい資料になります。自分自身の学びと成長の記録としても価値が高いです。
ポイントは、持ち歩かずに職員室のデスクに常に置いておくこと。絶対になくさないことで、記録の習慣付けになるのです。
記入した内容を持ち出す必要があるときは、スマホで撮影するといいですよ。
必須アイテム9 疲れないシューズ(エア入り)
<足元から支える!>
●目的 長時間立ち仕事の疲労軽減、足の負担軽減、健康維持
●用途 毎日の学校生活 体育の授業
●活用方法 授業や会議、行事などで長時間立ちっぱなしでも、足の疲れを軽減する。体育の授業や運動会の練習など、動き回る際にも、足の負担を軽減する。
●解説 わたしたちは長時間立ちっぱなしになることが多い仕事です。エア入りなどクッション性が高く、足のアーチをサポートしてくれるシューズを選ぶと、足への負担が軽減されます。特にオススメなのは、靴底に滑りにくい加工がされているものです。これだけで飛躍的に移動がしやすくなり、疲労感が貯まるのも軽減してくれます。緊急事態にダッシュできるのもメリットです。アーチサポートのソックスを履くのもオススメですよ。
必須アイテム10 持ち運び用カゴ
<整理整頓の強い味方!>
●目的 教材や書類の整理、教室間の移動、児童・生徒の作品運搬
●用途 授業準備、教材整理、作品展示
●活用方法 授業で使う教材や資料を整理し、教室間を移動する際に持ち運ぶ。児童・生徒の作品を運搬し、教室や廊下に展示する。
●解説 授業で使う教材や資料、児童の作品、テスト用紙など、教員は多くのものを持ち運びます。持ち運び用カゴがあれば、これらのものを整理整頓し、スムーズに持ち運ぶことができます。また、教室間の移動や、児童作品を運搬する際にも、カゴは活躍します。整理整頓された環境は、仕事の効率を高めるだけでなく、心の余裕を生み出すことにもつながります。授業用と会議用の2つ持ちもいいですよ!
プラス1アイテム ラベル作成機
<整理と明確化!>
●目的 物品の整理整頓、情報の明確化
●用途 教材や備品、ファイルのラベル作成
●活用方法 ラベルシールで用途や名前を貼り、児童にわかりやすく、また整理しやすくします。例えば、教室の本棚や文房具棚、パソコンやプロジェクターなど、物品を管理する際に非常に便利です。また、文書を保管するファイルにラベルを付けることで、必要な情報が一目で分かりやすくなります。さらに、急いで対応が必要な場合に素早くラベルを作成でき、効率的に物品や資料を整理できる。
●解説 学校の備品となっているところも多く、それほど使用頻度が高くないためプラス1としました。活用されたことのない方は、是非試してみてください。ラベル作成機は、教室内での物品管理に欠かせないアイテムです。教材や備品にラベルを貼ることで、整理整頓が進み、無駄な時間を減らすことができます。また、ラベル作成機は、情報を明確に伝えるためにも役立ちます。児童が使う道具や教材に名前を付けることで、混乱を防ぎ、整理整頓が進むだけでなく、効率的に作業を進めることができます。
このほか、学校の備品になっていることが多い便利なものとしては、高機能ステープラー、製本機、高機能穴開けパンチがあります。これらも是非使って、価値高さを感じてみてください。
児童とよりよい関わりを作るために、効率化を
教職は、児童の成長を支え、未来を育む、非常にやりがいのある仕事です。日々児童と向き合い、彼らの学びを助け、心の成長を見守ることは、何にも代えがたい達成感と喜びを感じさせてくれます。例えば、学習面で難しい問題を解決したり、友情や協力を学んだりする瞬間、教職としての存在意義を強く実感できるでしょう。これこそが、教職が持つ最大の魅力です。
しかし、その一方で、教職は非常に大きな責任を伴います。児童の未来を担う立場として、授業を行うだけでなく、精神的なサポートや生活指導、保護者とのコミュニケーションも求められます。日々の授業準備や課題の採点、授業後の振り返りなど、その仕事は決して楽なものではなく、非常に多忙です。また、学級経営や人間関係の調整も大きな課題となります。加えて、児童一人ひとりの成長に責任を持ちながら、常に最善の方法を模索し続けることが求められます。この仕事は大きなやりがいと同時に、多くの困難やストレスを伴うものでもあります。
そのため、教職生活を少しでも快適にするためのツールが重要と言えるのではないでしょうか。自分で費用を持ち出すことの負担感は否めませんが、眼の前にいる児童たちと少しでも長い間、少しでもよい関わりをもつために、授業準備や事務の効率化を考えていただきたい…。本稿の意図はそこにあります。
わたしたち教員は、未来を担う児童たちにとって、重要な存在です。あなたがその仕事をより充実させ、楽しみながら続けていけるように、心から応援しています。
イラスト/坂齊諒一
山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、様々な分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、様々な資格にも挑戦しているところです。