年度末の理科主任って何をするといいの？【理科の壺】

理科主任は年度末にどのような仕事をするのでしょうか。担任としては成績処理があると思いますが、理科主任は自分の担当学年だけではなく、全学年の次年度の準備をするという仕事があります。理科主任は、若いうちになることも多いため、どのような仕事をするのかみてみましょう。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか？

執筆／東京都公立小学校主幹教諭・山﨑哲平
連載監修／國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

忙しい年度末…新年度に向けて理科主任の仕事って？

今年度もまもなく年度末を迎えます。学級のまとめ、諸帳簿の整理など忙しい日々が続いていきますが、新年度スムーズに校内の先生方に理科の授業を始めてもらうために、理科主任の先生はどんなことをしておくといいのでしょうか。今年度初めて理科主任になった先生方は正直戸惑っていることと思います。校内に理科の先生がいない場合などは、さらに不安ですね。そこで今回は、そんな先生方に年度末の理科主任の仕事といくつか効率的に仕事を進めるコツをまとめました。少しでも先生方のお力になれればと思います。

その①　指導計画・カリキュラムを見直そう！

今年度の指導計画の実施状況を確認して、新年度の計画の改善に生かしましょう。各学年の先生方に今年度の理科の学習をどのように実施したか、来年度の行事計画案を見て、関連させて行ったり、教科横断的に実施したりできる単元はないか（カリキュラム・マネジメントの視点をもって）などを聞き取るなどして、新年度の見通しを立てられるようにしましょう。もしかしたら、学習発表会などに合わせて、単元の配列を変更する必要があるかもしれません。今年度のうちに新年度の指導計画・カリキュラムの内容を見通せていれば、新年度になって、あたふたする…なんてことは減るのではないでしょうか。ゴールを見据えた計画…とても大事です。

その②　理科室を見回ろう！

実験器具の点検をして、実験器具の整理をしましょう。例えば、多くの学年に関わるビーカーや試験管などのガラス器具。破損したまま、保管されていないか、数は班の数だけあるかなど、新年度に向けての確認と、必要に応じた補充をしましょう。ガラス器具だけでなく、毎年必ず使う消耗品などについても下のようにリスト化して、整理・補充ができるとよいですね。リスト化して、使った数を校内の先生方に記入してもらうシステムを作れば、消耗品の購入計画を立てる際に、グッと作業がはかどりますよ。

さらに、可能であれば、各学年で使用する実験器具は、理科室や準備室に学年ごとにまとめて収納されているかを確認したり、片付けの際に元の配置に戻してもらえるように、整理整頓されている状態を画像に収め、収納棚などに貼っておいたりすることもおすすめです。そうすることで、校内の先生方も原状復帰をしてくださり、理科主任の先生が理科室整理をしなくてはならない…という仕事も解消されることが期待されます。また、定期的に行われる区市町村の研究会の際には、可能であればいろいろな学校の理科室や準備室を見せてもらいましょう。学校ごとに、それぞれの実態に合わせて、とてもよい工夫をされていることが多いです！

その③　新年度の各学年の学習を見わたそう！

新年度を迎える４月はとても慌ただしく、しかも植物単元が控えている学年にとって、いざ観察をしようと思っても、その植物がない…なんていうことが起こらないように、見通しをもって準備をしていくことが大切です。少なくとも１学期を見通した準備ができるととても安心できますし、新年度その学年を担当される先生方にも喜んでいただけるはずです。「各学年の年度内にやっておいた方が新年度安心できるリスト」を作りましたので、参考にしていただけると幸いです。

改めて整理しましょう。年度末の理科主任の仕事は、
①指導計画・カリキュラムの見直し
②理科室を見回り、教具のチェック・補充・整理整頓
③新学期（特に１学期）の授業準備
が主な仕事です。校内の先生方が安心して理科授業を行えるように、取り組んでいきましょう。

イラスト／難波孝

「このようなテーマで書いてほしい！」「こんなことに困っている。どうしたらいいの？」といった皆さんが書いてほしいテーマやお悩みを大募集。先生が楽しめる理科授業を一緒に作っていきましょう!!
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＜執筆者プロフィール＞
山﨑哲平●やまざき・てっぺい　東京都公立小学校主幹教諭。大学時代は社会科（メディアコミュニケーション）が専門分野だったが、民間企業でのサラリーマン経験を経て、念願の教職の道に入る。初任時代に出会った先輩教員の影響で理科の世界へ入る。現在は、東京都小学校理科教育研究会リーダー研究推進委員として、理科を中心に日々実践研究を行う。共著に『理科の見方・考え方を働かせて学びを深める授業づくり』（大日本図書）など。

＜著者プロフィール＞
寺本貴啓●てらもと・たかひろ　國學院大學人間開発学部 教授 博士（教育学）。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。