3月は新学期0日目! 良いスタートを切るための「早めの準備」完全ガイド

3月、この一年の締めくくりの時期であると同時に1か月後には新学期が始まります。そのスタートの勝敗を握るカギは、修了式前の“まさに今”! 埼玉県公立小学校の紺野悟先生が「新年度準備0日目」からやっておきたい3分野の準備をタスク細分化、具体的な手順とスケジュールまでをマニュアルにして伝授します。学級経営の核となる「学級システムの再設計」まで網羅した完全ガイドで準備は万全。膨大な仕事量の中でも想定外の仕事までこなし、「心の余裕」、「ゆとりの時間」、そこから生まれる「前向きな発想力」まで、早めの準備がもたらすメリットを享受して、希望に満ちた新年度を迎えましょう!
執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟

目次
1.はじめに
2月が終わり、残り1か月となりました。今目の前にいる子供たちと過ごす1年間がまもなく終わりを迎えます。
これまでを振り返ってみると、1年間で成長したところ、微笑ましい出来事、苦労した事件など様々な出来事があったことでしょう。名残惜しい、愛おしい、別れるのが悲しいという気持ちの先生が多いのではないでしょうか。
一方で、苦労が絶えず、課題が山積みの学級を担当した1年間。一瞬の気も抜けないような苦しさをどうにか乗り越えてきた先生も多くいます。
今読んでくださっている読者が、どちらの思いでいるかはわかりませんが、どちらにせよ「あと1か月後には新学期」ということは共通しています。 私は、3月になったら来年度の準備を意識し始めることが、両者にとって良い作用を起こすと感じています。

2.3月から始める「新年度0日目」の準備
〈楽しい毎日が名残惜しい〉先生は、1年間の学級経営が比較的うまくいったと認識していることでしょう。この先生は、残された1か月を目の前にいる子供たちとの時間にしたいと思っています。しかし、仕事は待ってくれません。子供たちとの楽しい時間が仕事であると同時に校務分掌も仕事です。仕事としてやっている以上、子供たちとの時間以外にも仕事があるので、ちょうど良いバランスが必要です。
〈なんとか乗り越えてきた〉先生にとっては、希望の見え始める1か月です。それは、やっとお別れできるという消極的思考ではなく、ここまで乗り越えてきた事実が自信になるからです。多くの苦労があり、満足のいく学級経営にならなかったとしても、ここまで学級を保ってきたことは事実です。こうした先生にとって、「来年度はもっと〇〇したい!」「〇〇したらうまくいくんじゃないか?」という今年度のリフレクションが建設的なアイデアを生み出し、モチベーションを高めてくれます。
このように、3月を「新年度準備0日目!」と捉えて準備を始めることが、どの先生にとっても良い作用をもたらしてくれます。
そこで今回は、新学期0日目! 良いスタートを切るための「早めの準備」について紹介していきます。
3.新年度はもう始まっている!? 年度末と新年度のつながり
①カレンダーで見る学年末と新学期——春休みは短い!
まずは、カレンダーで見てみましょう。おそらく全国どこの小学校も3月25日前後に修了式があります。そこから3月31日までの6日間、会議のない日があります。学校によっては31日にお別れ会があることもあるでしょう。年休を取って旅行に行くこともできます。
しかし、教室の片付け、異動の場合は荷物の運搬、お世話になった先生へのお礼周り、来年度の会議資料作成、引き継ぎ等の仕事は3月31日までに済ませなくてはいけません。4月になると職員会議、学年会、入学式準備と落ち着いて自分の仕事のできる時間はないからです。
しかも、先ほどのカレンダーのように、土日を含めて6日程度ですから、限られた時間で行わなくてはいけません。春休みに入ってからまとめて片付けをしようとか、お礼のお菓子を買いに出かけようとか、本を購入して読み始めようとかではとても時間が足りないのです。この点から見ても、3月上旬から準備を始めておくことが、自分に余裕を与えてくれることがわかります。

②仕事内容で見る学年末と新学期——仕事量は膨大。想定外の仕事が加わることも!
先ほども触れましたが、学期末と新学期はとにかく膨大な仕事があります。とくに新しい校務分掌を受け持つ場合、引き継ぎがあります。引き継ぎは相手がいる仕事ですので、前主任とお互いの予定を合わせる必要があります。すでに仕事内容がわかっている場合もありますが、イレギュラーな仕事が舞い降りてくることもあります(〇〇の報告とか…)。「そんな仕事聞いてないよ!」と思うかもしれませんが、すでに主任を任命された4月に逃れることはできません。
校務分掌の仕事がなかったとしても、ただでさえ「学級開き」があります。次に担任する学年が初めての場合、未知の体験ですから不安です。教科書に目を通してみたい。どのような学年の特質があるのか本を読んで知っておきたい。どんな子たちなのか前担任から聞いておきたい。
こう思っても、時間は限られていますね。だから、早めの準備が必要なのです。

4.「早めの準備」がもたらしてくれる3つのこと
このように、学期末から新学期はとても忙しい時期です。だからこそ、時間を作るには早くから意識して動き出すほかありません。早めの準備によって、以下のような効果が期待できます。
①心理的な余裕が生まれます。
気持ちに余裕があるということは、何事にも代えがたい重要な要素です。春休みまでにある程度進んでいると安心します。心理的に余裕があることでミスを減らすことができますし、生活を豊かにしてくれます。
②時間が生まれます。
時間が生まれれば、急な仕事にも対応することができます。また、同僚と落ち着いてお話しする時間もあります。飲み会に行く時間も生まれるかもしれません。切羽詰まっているときは、こういう場も楽しめませんから。
③アイデアが生まれます。
余裕があって、時間がありますから「学級開き」のアイデアも比較的生まれやすいのではないでしょうか。ふと見たクイズ番組や昼のバラエティーの企画が学級開きのヒントになることもあります。それは、テレビを見る時間があること、「これいいかも!」と思える準備があること、そして何より心に余裕があるからです。

5.いざ、実践! 「早めの準備」って何をするの?
「早めの準備」とは、一体全体何をすればいいのでしょうか。読者の中には、まだ来年度の担当学年すら決定していない先生もいるかもしれません(筆者もまだわかりません)。そこで、本記事でこれから紹介する「新年度準備」は、3月の学期末にできることを中心に取り上げています。学期末と新学期は連続性があります。学期末の「良い準備」が新学期になって「余裕」「時間」「アイデア」となって自分に返ってきます。そのために今できることを、3つの章に分けて紹介します。
【荷造り&片付け編】
効率的で段取りの良い荷造りができれば、実は春休みの掃除がガクンと減ります。想像以上に時間が生み出されます。筆者の実感では、これがスムーズに行くと春休みの余裕が全く違います。
【学級システム編】
新学期になると新しいクラスで学級システムを構築するわけですが、今なら、今年度の反省も踏まえて、基本となるベースは作成しておくことができます。3月だからこそできることです。
【小さなことだけど大事な仕事編】
小さすぎて考えもしないことかもしれませんが、頭の片隅に入れておくだけで、ずいぶんと時間を生み出すことができます。そんな小さな仕事をリスト形式で紹介します。
新年度を円滑にするための準備①【荷造り&片付け編】
学期末に教室を明け渡して、4月1日から別の教室へ移動します。何年かに1度は学校を異動することがあります。どちらにせよ、共通していることは、一度荷物を片付けて移動させること。そして、開封してすぐに使うということです。

つまり、すぐ使うことを想定して片付けなくてはいけません。そのためには、荷解きがしやすい荷造りが大切です。手順を説明します。
手順① ものを場所ごとにまとめるのではなく「使う頻度」でまとめる。
荷物をまとめるとき、よくやりがちなのが「同じ引き出しのものを1つの段ボール箱に入れる」方法です。場所ごとに荷物をまとめることは荷解きが簡単のように見えますが、違います。教室を移動する先生たちにとっては「使う頻度」で分けられている方がずっと使いやすいのです。そのために、荷物を次の観点で3つに分けてみてください。
《頻度A》毎日なくてはならないもの
《頻度B》あったら助かるもの、または1か月に1回程度使うもの
《頻度C》教室を彩っていたもの、または1年に1回程度しか使わないもの
《頻度A》毎日なくてはならないもの
毎日欠かさず使うものです。例えば宿題チェックの印鑑やネームカード、ボールペンなどが当たります。しかし、毎日使うボールペンは1本あれば十分。数本もっている場合は1本だけにします。それくらい、最低限を心がけます。一応というものは全てBに分類します。すると、こんな感じで買い物カゴ1つ分程度になります。

【毎日なくてはならない物の例】
・点検印
・スタンプ台
・赤ペン
・ボールペン
・ハサミ
・パソコンの充電ケーブル
《頻度B》あったら助かるもの、または1か月に1回程度使うもの
毎日とは言わないけれど、結構使うものがあります。例えば、貸し出し用の習字セットや絵の具セットなどです(本テーマとは関係ありませんが、私は百円均一で毎年2セットずつ用意しています)。3月になりますので、片付けてしまってよいでしょう。授業を調整して3月は使わないようにすることもできますし、4月から貸し出しながら、持ち物を持ってくるよう指導していますから子供たちが育ってきているというのも理由です。
また、どこに分類するか迷うものがあります。そういうものは迷わずBに分類します。「5秒悩んだらB」と決めておくと簡単です。なければないでどうにかなるものです。
【あったら助かるもの、または、1か月に1回程度使う物の例】
・様々な種類の磁石(残りの日々は数本で対応)
・粘着テープやビニールテープ
・折り紙
・画用紙
・画びょう(教室の片付けに合わせて外す)
・教科書などを整理するためのボックス
・子供たちの作品(習字や新聞等)
・洗濯バサミ
・辞書
《頻度C》教室を彩っていたもの、または1年に1回程度しか使わないもの
教室を装飾していた飾りや観葉植物などの教室を彩っていたものたち。教室をよりよくしようと持ち込んだ観葉植物や、子供たちが作ってくれた折り紙などはすぐに片付け始めましょう。教室を片付けていくと彩りが消え、無機質になっていきます。すると、子供たちは学級が終わりに向かっていくことを実感していきます。日に日に掲示物がなくなっていく掲示板を眺めて、子供たちはきっと「終わるんだなあ」、「いよいよ◯年生だなあ」という気持ちになっていくのです。つまり、片付けることが心構えを育む機能を果たします。
また、算数で使ったリットルマス、都道府県カルタ、黒板用の三角定規など、先生の私物も学校備品も片付けられるものがあります。回収する教室に運べるものは運び始めてもよいですし、準備をしておくだけでも良いでしょう。私は前回の記事で書いたように、掃除の時間の役割にこうした仕事を入れています。
また、学級文庫も片付けられます。学級文庫などは、あったら読むでしょうけれど、冊数を確認する、片付けるなどの作業もありますので片付けた方がよいでしょう。残りの日々は、図書室や自分たちで持ってきた本でも対応できます。
結構、ここに分類されるものは多く、「もう今年度は使わない」と思ったものは容赦なく箱に詰めていきます。なんだかんだ、段ボール箱などに詰めておいた方が持ち運びは楽です。私は段ボール箱を10個程度捨てずに持っています(自宅の引越しの際にもらったもの)。毎年移動の際に使うので、空き教室に保管しています。
【教室を彩っていたもの、または1年に1回程度しか使わないものの例】
・装飾品(観葉植物や飾り)
・カルタやトランプなどの遊び道具
・教具(地球儀、リットルマス、漢字黒板、定規等)
・学級文庫
・絵本(3月は読まないもの)
・マグネット
手順② 「頻度C」はすぐに荷造りを開始。Cが終わったらBを開始。Aは最終日。
まず、この記事を読んだら迷わずCの荷造りを始めます。とは言っても通常業務がありますから時間を決めましょう。私は毎週火曜日の空き時間を荷造りに当てています。また、子供たちと掃除の時間に行います。先生の片付けを子供たちに行わせるということではありません。あくまで先生の教具であり、学級の道具です。子供たちへの教育活動を行うために使います。そこで、きちんと意味を共有しておくために、以下のように話します。
【学級通信の例】
この教室で過ごす日々が残り1か月になりました。何を思い出しますか? 今、ドアに貼ってある折紙を作って貼った日、宿題に後ろのポスターを書いてくれた日…いろいろありました。運動会もあったし、音楽会もありました。教室には、そのときの写真も貼ってありますね。
(これまでの出来事をつづります。)
さて、残り1か月なので、片付けを始めなくてはなりません。みんなは、学校にある荷物を少しずつ持ち帰ります。これは、「いつ」「何を」持って帰るか、話し合いましょう。
次に、普段掃除できないところも掃除をします。窓の上とか黒板の上とか。高いところは先生がやりますが、みんなにお願いすることもあります。先生はこれまでと違う動きをしますが、みんなは今のように静かに落ち着いて掃除をしてくれると嬉しいです。
最後に、先生も学校を異動、または教室を移動します。ですので、みんなのために使った先生の荷物も片付けなくてはなりません。先生は、掃除の時間に片付けることもあります。掃除の時間にお願いすることもあります。みんなが使ったマーカーや本など、多くの物がありますので、掃除の一つと思ってやってくれたら嬉しいです。
こうした片付けをしながら、少しずつ終わりに向かっていきます。来月には別の人たちがこの教室を使います。できるだけきれいにして、明け渡してあげましょう。
そのために、ここから1か月、これまでの掃除に加えて「特別掃除」の枠(※)を作ります。その時々でやることがわかりますので、指示を出しますね。あと1か月よろしくお願いします。
※「特別掃除枠」については、前回の記事「残り2か月! 失敗しない「学年納め」の手順と方法完全ガイド」で詳しく説明しています。
手順③ 「頻度A」の箱を持って最終日を終える。そのまま次の教室へ。
このように片付けていくと、最終日に教室に残るものは《頻度A》に当たるものだけになります。前回の記事のように最終日の最後に掃除をするなら、そのときにAの荷物も一緒に教室の外に出します。Aはカゴ1つ分程度です。最終日に「さようなら」をした後に、次の教室へそのまま運んでいくことができます。
するとどうでしょう。
もう、新学期が迎えられる最低限の準備が完了しているのです。
春休みに教室の準備を整えることなく、新年度を迎えることができるのです。
準備というより片付けと思うかもしれません。しかし、学年が変わって新しい子供たちがわかって時間を確保できるようにするためには、こうした準備が必要です。
新学期0日目!
4月に時間を生み出せるようにするためには、その前段階での下準備が必要なのです。
新年度を円滑にするための準備②【学級システム編】
①学級システムを再設計しよう
学級システムは、学級を円滑に機能させるために必要な手だてです。学級経営の核となるものです。ですから、なんとなく先輩の方法をそのまま使うことは卒業して、自分なりにきちんと考えてみることをお勧めします。しかもそれは、今の学級を担任している3月だからこそできることです。
下の写真を見てください。

これは、私の学級の掃除当番表です。1年間でこれくらい変化を加えています。私の学級では、約20日(1か月)で交代するシステムです。登校日は約200日ですので、1年間で10回役割が変わることになります。

当番の変わり目のときに「どうすれば、よりよい分担になるか?」を話し合い、変更を加えていきます。先ほどの写真①は、1年間取り組んできて行われた変更の軌跡です。
このように、1年かけて話し合い、より効率的な当番の流れができたわけですから、システムを再設計して来年度に活かすことができます。
②掃除・給食・日直・当番を観察しよう
今の学年を担任しているからこそできること、それはこれまで指導してきた結果、「どのようにできているか」「どこに問題点があるか」を、よく観察することです。3月まで指導してきた様子を見て、指導を振り返ってみる絶好の機会です(子供たちの成長を実感し、所見に活かすこともできます)。
1日ではよくわからないので、3日間掃除を観察してみましょう。すると、いろんなことがわかります。例えば、以下のような点に気付くことができます。
【発見】
・廊下掃除を見ていると、箒の担当より雑巾の担当の方が早く廊下に到着していた。
【課題】
・箒の担当が給食ワゴンを運んでから来ていた。
【改善案】
・箒の担当は給食の片付けで役割がないようにしないといけない。
【発見】
・トイレ掃除に行くと、何をすればよいのかと、よく聞きに来た。
【課題】
・トイレ掃除は4か月に1回、巡ってくるのでやり方を忘れがちである。
【改善案】
・トイレ掃除の流れを箇条書きで書いておく必要がある。
【発見】
・雑巾を二つ折りで掃除している。隙間なく拭けている。
【成果】
・5月に雑巾の使い方を指導した。結構時間をかけたけど、指導が行き届いているな。
このように、観察によって学級システムの良いところにも課題を発見し、来年度必要な修正をかけることができます。3月は、これまでの指導の賜物です。だからこそ、成果も課題も見えてくるのです。
③学級システムのチュートリアル動画を作ろう
4月になると、新しい学級で新しい子供たちと改めて学級にシステムを構築していくことになります。そこで、手助けになるのがチュートリアル動画です。
チュートリアル動画とは、製品やサービスの方法を解説する動画のことです。この場合、システムの動き方を紹介する動画です。これを、新年度の子供たちのために、作ってみるのです。今は、1人1台端末があって、子供たちが作成することもできます。トイレ掃除の進め方や教室掃除の流れ等、動画にまとめておくと、言葉で説明しても伝わり切らない「雰囲気」を伝えることができます。
新年度を円滑にするための準備③【小さな仕事編】
『塵(ちり)も積もれば山となる』
有名なことわざのように、小さな仕事も積もり積もって、仕事が増えていくものです。例えば次のような仕事が挙げられます。子供たちと一緒に行えば、案外早くできることもたくさんあります。
◆終業式までにやっておきたい掃除
- 教室のカーテンを洗う
- 配膳台カバーを洗う
- 掃除用具入れを掃除する
- 学年のトイレ
- 学年の水道の鏡
- 水道の排水溝
- 教室の窓の外側
- 窓枠
- 書類をシュレッダーにかける
◆4月に向けた準備
- ビニールテープを切って番号を書く
⇒鈴木優太先生のアイデア『家庭学習ラベル』の準備 - 買いたいものを書き出しておく
- 今年使ったデータを整理する
*例えば、所見シート、成績処理用のシート、学級の掲示物などのデータ - その中で来年度に使うデータはコピーして「来年度使用フォルダ」にまとめておく
*一つにまとめておくと探す手間が省けます。 - 学級開きの本を読む
*SNSや書店に立ち寄ったときに見付けておくことができます。 - 小分けのお菓子を買っておく(もらったときのお返し用)
*前もってわかっていれば、出かけた先で用意しておくことができます。
【小さな仕事編】で大事なことは、前もってやることがわかっているということです。この記事で取り上げたことは一部に過ぎません。何をしておくとよいか、昨年度の記憶を思い出し、リストアップしておくことで、出かけた先で賞味期限の長いお菓子を買っておくとか、SNSで紹介されていた学級開きの本を購入しておくとか、ちょっとできた放課後の隙間時間で掃除しておくとか、どんどん進めることができるのです。
6.終わりに
本連載のテーマ「失敗しない」ということに基づき、新年度準備について書いてきました。記事の大半が、実は年度末に行うことであるということにお気付きでしょうか。新年度準備の0日目は、もう始まっているのです。準備といっても学年がわかる時期も学校によって様々です。実際に担任する子供たちがわかるのは、4月に入ってからかもしれません。たとえ何年生を担任することになっても、同じ準備なのであれば、縁あってこの記事を読んでくださった、今その時から始めてみてください。
日本のロックバンド「かりゆし58」の『オワリはじまり』という曲にこんな一節があります。
この夜の向こうで 新しい朝が世界に降り始めている
旅立ちの時はいつだって少し怖いけど
これも希望のかたちだって ちゃんと分かってる
終わりがあるなら始まりがある。
気付いたら、新学期がやってきます。
そのときを迎えるのはちょっと怖いですが、きちんと準備さえしておけば、希望がたくさん詰まった新しい1年を過ごせるのではないかと思っています。

執筆者:紺野悟(こんの・さとる)
埼玉の教育サークル clover 代表。イベントを数多く企画・運営し、価値ある教育情報を広めている。共著『全単元・全時間の流れが一目でわかる!社会科 6 年 365 日の板書型指導案』(明治図書出版)他多数。
イラスト/Remi ISHIZUKA
JASRAC許諾番号:9009003021Y43128
年度末の片付け・整理整頓・掃除に役立つこちらの記事もご覧ください。
⇒年度末・学期末の掃除指導のひと工夫
⇒学年末「教室・職員室」整理整頓のコツ
⇒学校専門の整理収納アドバイザーが指南「教師のための年度末整理整頓術」
⇒身の回りをすっきり!「教室・職員室」整理整頓のポイント
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